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Vの者!~挨拶はこんばん山月!~  作者: サニキ リオ
第二章 ~化け物集団 三期生~
27/346

【3Dカラオケ】Vtuber大集合!バーチャルカラオケ大会! その1

「Vtuber大集合!」


「「「バーチャルカラオケ大会!」」」


 リハーサルと同様、イルカに続くようにレオ以外の三人がタイトルコールを行う。


[きちゃぁぁぁぁ!]

[待ってた!]

[レオ君が出演すると聞いて]


「さて、始まりました! みなさん今日は集まってくれてありがとうございます! わたくし、本日の進行役を務めさせていただきます板東イルカと申します。魚のみなさん、キュッキュー!」


[キュッキュー! ¥20,000円]

[すげぇ大型企画だな]

[これは期待]


 コメントを読むために少し間をおいて、イルカはゲスト紹介に入る。


「それでは、本日のゲスト紹介に入っていきたいと思います。まずはこの方!」

「みんな、やっっほ――――! 但野友世だよ! 今日はよっろしくぅ!」


[音量注意]

[鼓膜死んだ]

[鼓膜破壊助かる]

[助からないんだよなぁ]

[替えの鼓膜代 ¥3,000円]


「七色和音……です……。今日はよろしくお願いします……」


[え、何だって?(難聴)]

[友ちんの後に和音ちゃん持ってくるな]

[音量調節間に合わない]

[挨拶できてえらい ¥5,000円]

[腹から声出せ]

[歌だとあんなに力強い声なのになぁ]


「ふっはっは! 魔王軍の諸君! 今宵は吾輩が貴様らをもてなそう! 存分に楽しんでいってくれ!」


[はい、魔王様! ¥2,000円]

[偉そうに振舞っても隠しきれない善人感]

[相変わらず魔王軍はホワイト企業だなぁ]


 一通り三人の自己紹介を終えると、次はレオの出番だ。


「あら、一人足りませんわね。確かにじライブからは獅子島レオさんが来ると伺っていたのですが……」


[確かにレオ君がいないぞ]

[どうせ何かする気だろ(疑心暗鬼)]

[てか、レオ君3D化してないのにどうやって出る気なんだ]

[まさかモデルがないから透明人間とか……]


 打ち合わせ通りにイルカがレオへの合図を出す。

 レオは軽く咳ばらいをした後に、リハーサルと同様――いや、それ以上の勢いで猛々しく咆えた。




「GRRRRRRRRRRRRRR!!!」




[!?]

[!?]

[!?]


 二回目とはいえ、さらにクオリティの上がったライオンの咆哮に出演者達は唖然とした表情を浮かべ、和音に至っては轟音に驚いて涙目になっていた。

 レオは助走をつけると高くジャンプして、カメラにうまいこと着地の瞬間が綺麗に映る角度でセットの中へと飛び込んだ。


[ライオン!?]

[えっ、何これ!?]

[今の肉声!?]

[クッソwwwそういうことかwwww]

[ガチライオンで大草原]

[うっそだろwwwww]


 カメラで見るとライオンが飛び込んできたようにしか見えない演出に、レオを知らない視聴者達は大いに驚き、袁傪達は事情をすぐに察して大爆笑していた。実によく訓練された袁傪達である。


「「「「ぶふっ!?」」」」


[全員吹き出してて草]

[そりゃこんなん笑うなって方が無理やろw]

[てか、登場の仕方すごない?]

[獅子島って人が実際にこの動きしてるの!?]

[マジのライオンかと思った……]


 そして、先ほどの音響トラブルで実際に動くライオンのモデルを見ていなかった他のVtuber達は映像に映し出されるレオの姿を見て派手に吹き出した。

 可愛い女の子やカッコいい魔王に紛れるただのライオン。その絵面の破壊力は言うまでもないだろう。


「袁傪のみんなも、それ以外の初け袁傪の方々もこんばん山月! にじライブ所属のバーチャルライバー獅子島レオです!」


[キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!]

[初け袁傪www]

[まーたにじライブか]

[レオ君大暴れで草]


「登録者数爆増で調子に乗ってたらライオン化が進んでしまったので、本日は謙虚な姿勢を忘れずガチライオンの姿で歌っていきたいと思います」


[かつてここまで面白い3Dライオンがいただろうか]

[ロールプレイ完璧で草]

[ツッコミどころ満載なんだがwww]

[伝説しか作れないライオン]


 レオの登場によって配信はさっそく大盛り上がりだ。

 この数分後に〝獅子島レオ〟〝ガチライオン3D〟がトレンド入りしたことは言うまでもないことだろう。


「ふっ……くくっ……それ、では……くっ……全員自己紹介も、終わったので……ふっ……カ、カラオケ大会を、始めたいと思います!」


[イルカちゃんツボってるwww]

[ちゃんと最後まで言えてえらい ¥1,000円]


 ちなみに他の共演者達もいまだに腹を抱えて笑っている。


「ふー……えっと、獅子島さんってデビューして二ヶ月なんでしたよね?」


 全員が笑ってまともに話すことができないという不測の事態に真っ先に動いたのは、七色和音だった。

 軽く息を吐きだすと、気合で笑いを堪えて場をつなぐためにレオへと話を振る。ちなみにレオはまだ四つん這いの姿勢のままである。


「はい、ありがたいことにたくさんの方に支えられて登録者数八万人を越えることが出来ました。これからも応援してくださるみなさんのためにも精いっぱい頑張っていこうと思います」


[全然調子に乗ってないやん]

[謙虚なんだよなぁ]

[ちょっとチャンネル登録してくる]


 レオはいたって謙虚な姿勢で和音に答える。良い声の端正な顔立ちをした青年が、真剣な表情で、四つん這いの姿勢のままで。


「ほ、本当に、凄いで――ぶふっ!」


[耐えられなかったか]

[何で急に笑ってはいけないカラオケボックス始まってるのwww]

[新手の放送事故で草]


 しまった、ウケすぎた。

 全員の腹筋に深刻なダメージを与えてしまったレオは、慌てて笑いすぎて過呼吸になっているイルカの代わりに企画の進行をすることにした。


「えー、それでは、今回の企画を説明します! 今回は私達Vtuberが順番に歌を歌っていきます! 今回はライブドゥム様の協力の元、こちらの採点システムを導入しております! ドン!」


 レオが合図を送ったことで、スタッフは即座に動画の画面に採点システムの画面を表示する。


「歌い終わるたびに点数が表示されますので、みなさんにはハッシュタグ〝#Vtuberカラオケ大会〟で呟いていただいて、点数の予想や我々の歌の感想など呟いて盛り上げていただけると幸いです」


[さらっと進行役交代してて草]

[すごい聞き取りやすいしゃべり]

[何か慣れてる感じするな]


「はー……ごめんなさい、レオ君。進行ありがとうございます。お礼にレオ君のチャンネルの宣伝しましょうか?」

「いえ、俺はこうして出演させていただいただけでも十分――あ、もしよければ三期生の茨木夢美と白雪林檎の宣伝をしていただけないでしょうか?」


[こんなに謙虚なのに人間に戻れないライオン]

[嫁の宣伝を忘れない旦那の鑑]

[きちんと白雪も忘れず宣伝しててえらい! ¥500円]


 レオとしては自分の宣伝など、この企画に参加している時点でそこまで必要なわけではない。宣言したければ存在感を示せばよいだけなのだから。

 それよりも、せっかく他企業のVと絡む機会なのだからと、同期の二人を宣伝することにしたのだ。


「あー、ゴミカスの子と焼き林檎ちゃんですね」


[クソみたいな覚え方で草]

[どっちもデビュー一週間以内に炎上してるんだよなぁ]

[残当]


「スタッフさーん、お二人のプロフィールって出せますか?」


 イルカの質問に、スタッフは急いでU-tubeを開き、夢美と林檎の代表的な切り抜き動画を開いた。

 夢美の動画は当然一番知名度を上げた、ゲーム実況で絶叫した場面の切り抜き動画、林檎の動画は月一にじライブのときにクズ扱いされて開き直ったときの発言をしている場面の切り抜き動画だった。


「というわけで、こちらが獅子島レオさんの同期のお二人になります」


[やべぇ奴しかいなくて草]

[ゴミカスとゴミクズだな。覚えたぞ]

[酷い覚えられ方されとるwww]


 ちなみに、リアルタイムで見ている夢美はあんまりな紹介のされ方に頭を抱え、林檎はゲラゲラと笑っていた。


「イルカさん、二人の宣伝ありがとうございました」

「いえいえー。それより、レオ君。謙虚な姿勢でいたからちょっと人間っぽい動きもできるようになったんじゃない?」


 四つん這いの状態から元の姿勢に戻る機会を逃したレオは、ずっと四つん這いの状態でいたためそろそろ辛くなってきたところだった。

 そんなレオを見かねてイルカは設定を崩さないよう自然なフォローを入れた。


「おっ、二足歩行できるようになりました。イルカさん、ありがとうございます!」

「うんうん、良かった良かった。それでは、魔王様のお隣にお座りくださーい」


[立って歩いてるだけでも笑える]

[存在だけで笑かすのずるいわw]

[これがにじライブかぁ……]


 一通り出演者の腹筋も落ち着いたことで、イルカは尺のことも気にして早速カラオケ企画に入ることにした。


「それでは、改めましてVtuberカラオケ大会を開催したいと思います! トップバッターはわたくし板東イルカが務めさせていただきます」


[何を歌うんだろう]

[イルカちゃんも歌うまいから楽しみ]

「一曲目転送!」


 デンモクを持っている振りをしてイルカがそういうと、さっそく一曲目のイントロが流れ始める。

 イルカが歌ったのは怪異が出てくる小説のアニメシリーズの最初のオープニング曲だった。


「~~~♪ ~~~~~♪ ~~~、~~~~~♪」


[これ好き!]

[清楚だ……]

[本当綺麗な声してる]


 イルカはVtuberとして話すときは地声よりも高い声を出している。歌っているときはどうしても地声に近い声になってしまうが、元々地声も透き通るような声をしていることもあって、歌っているときの彼女の姿は多くの視聴者達を魅了した。


「~~~♪ ~~~♪ ~~~、~~~~~♪」


[うおおおおおおお!]

[イルカちゃんの高音最高すぎる!]

[これを聞きに来た ¥10,000円]


 サビに差し掛かったとき、視聴者達の盛り上がりは最高潮に達していた。

 最近のイルカはゲーム実況がメインのため忘れられがちだが、歌だってうまいのだ。

 故にゲーム実況からイルカのファンになった視聴者達は驚きつつも、彼女の思ったよりも高い歌唱力に感動していた。


「~~~~♪ ……ありがとうございました! おっ、90点だ!」


[これは素晴らしい]

[最初からハードル爆上げなんだよなぁ]


 一曲目から高得点が出たことで、他のVtuber達に緊張が走る。


「じゃあ、次は誰がいきますか?」

「アタシが歌う!」


[耳が!]

[急にしゃべるなwww]

[音量調整しなきゃ……]


 次に歌うのは友世だ。

 友世が選択したのは、レオも好きなアーティストの曲で、曜日シリーズと呼ばれている内の一曲だった。


「レオ君! 適当でいいから躍って!」


[無茶振りしやがったwww]

[人を巻き込むのが好きな陽キャの権化]


「あ、いいですよ」

「いいの!?」


[えっ、何で余裕でいられるの?]

[友ちんの方が困惑してて草]


「ハニワ好きなんで、踊ってみたとかも見てましたから。うろ覚えですけど一応踊れますよ」

「マジで! ハニワ好きなの!? 今度コラボしよ!」

「はい、喜んで!」


[おい、その場の勢いでコラボ決まったぞ]

[陽キャみたいな会話してる……]

[これが陽キャか……]


 元気さと声量に定評のある彼女が歌う曲は、レオと友世の両名が好きなアーティストの曲だ。

曲が始まるのと同時にレオは踊り始めた。


「~~~~、~~~~~♪」


[こんなテンションで金曜日を迎えたい]

[友ちんの歌声聞くと何か元気出るよな]

[ライオンの動きキレッキレでワロタ]

[これでうろ覚えとか嘘だろ……]


 友世もレオと同じように踊っていたが、可愛い動きの友世に対して、レオの動きのキレに驚いていた。


「~~~~~~♪ ……~~~~!!!」


[だから急に叫ぶなwww]

[鼓膜破壊兵器]

[鼓膜の代わりに元気をもらったよ]

[隣のライオンからは笑いをもらったよ]


「~~~~、~♪ ……イェェェェェイ!」

「イェェェェェイ!」


[ライオンとハイタッチしてるwww]

[すげぇ絵面だな]


「おっ、88点だ! ブイ!」


[踊りながらこれは凄い]

[さっきからレオ君の盛り上げ力がすごい]

[まだ二曲目という事実]


 レオと友世が踊りながら歌ったことで、視聴者達は大いに盛り上がった。しかし、それと同時に次に歌う者にプレッシャーがかかっていた。

 次に歌うのはサタンだった。彼は動画でこそ気丈に振舞っているが、それは動画というリテイクの聞く環境だからである。こうして生で歌うことは初めてだったのだ。


「さ、さて、そろそろ吾輩の出番か!」


[大丈夫、魔王様緊張してない?]

[声震えてるぞ]


 魔王のロールプレイをしながらの生配信で得意ではない歌を披露する。サタンの緊張は極限まで高まっていた。


「魔王様、恐れながらも」


 そんなサタンにレオが芝居がかった口調で話しかけた。


「カラオケとは歌を楽しむものでございます。私も最近まで忘れていましたが、何も気にせず思いっきり歌うと――最っ高に気持ちいいぞ!」


 ニカッと笑ったレオの笑顔を見て、サタンの肩の震えが止まる。

 そして、レオに釣られるように笑顔を浮かべると、マイクに向かって思いっきり叫んだ。


「感謝するぞ、獅子島レオ! 吾輩は大事なことを忘れていた! 配下達よ、吾輩の歌を聞けぇぇぇ!」


[うおおおおお!]

[いっけぇぇぇ!]


「~♪ ~♪ ~♪」


[きちゃ!]

[そういや魔王様ヒロアカ好きだもんな]


 サタンが歌ったのは人気少年漫画のアニメのオープニングだった。


「~~~、~~~、~~~~♪ ~~~~~♪」


[イケボやん]

[やっぱ地声の方が高いのか!]

[魔王様の歌が聞けて嬉しい ¥30,000円]


 今まで歌を披露したことがなかったサタンの歌に視聴者達は歓喜する。声はところどころ上ずっており、そこまで歌がうまいわけではなかったが、それでも楽しそうに歌うサタンの姿を見れたことが視聴者達は嬉しかったのだ。


「~~~~♪ ~~~~~♪」


[魔王様万歳!]

[魔王様万歳!]

[魔王様万歳!]


 何とか歌い終わってほっと一息ついたサタンは改めてレオへと向き直って言った。


「77点か……まあ、いいだろう。それよりも獅子島レオ。我が魔王軍と同盟を組む気はないか?」

「かの大魔王サタン様にそう言っていただけるなんて光栄です」

「こんなにも雄々しい獅子と同盟を組めるとは我輩も運が良いな!」


 お互いにファンだったこともあり、レオとサタンは笑顔を浮かべて握手した。


[泣いた]

[一曲終わるたびにコラボ相手が増えるライオン]

[とんでもないライオンがいたもんだ]


 三曲目が終わり、レオはふぅと小さく息を吐いた。

 先程からレオは全力で気を張り詰めて、周囲の共演者に気を遣っていた。

 アイドル時代の経験があるとはいえ、あまりにも突発的な事態が多かったため、レオは少々精神的な疲労感を感じていた。もちろん、辟易するほどのものではないが、この調子で何時間も過ごして歌うのは大変だろう。

 そんな彼の様子を見かねたイルカはアイスブレイクもかねて軽く雑談を挟んだ。


「それにしてもレオ君のポテンシャルは凄いですわね。本当にまだデビュー二ヶ月?」

「あはは……こう見えてもまだ二ヶ月なんです」

「やっぱりにじライブはぶっ飛んでますねぇ……さて、レオ君は一周目の最後に歌ってもらいますからね。楽しみにしていますよ。とりあえず今はのど飴でも舐めて待っててください。あとでたっぷり歌っていただきますから」

「お気遣いありがとうございます」


 レオは素直に先輩からの好意に甘えることにした。……どこか引っかかるものは感じたが。

 それから休憩がてら数分の雑談を挟んでから歌枠は再開したのだった。


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