表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーバレット ~蒼穹の撃鉄~  作者: アスタリステラ
1/5

追憶

毎日更新

今まで赤く染まっていた空が再びその色を変え今一時、ほんのわずかな時間であるが、そこに蒼穹を取り戻した。

それを見つめながら思い返していたのは、冬を迎えてからしばらくたった1月の黄昏時のことだった。

今だからこそ言えるのは、あれは運命のクソッタレに導かれたものであり、そして俺の人生の中で最悪の出会いといっても過言ではない出来事だった。


振り返れば、あの頃の俺はといえば、夢も無ければ知恵もないただのそこらへんに腐るほど転がっている学生の一人でしかなかった。

朝から夕方にかけて授業を受け、それから先はバイトで生活費や小遣いを稼ぐようなつまらない日常。

自分で選んだのだから仕方がないといえば仕方がないのかもしれないが、それはそれとして退屈に感じるのも仕方のないほどに灰色に満ちた日々だった。

さすがに世界が滅べとか、他人の不幸を望むとかそうしたことはないが、どこか遠くでも身近でもいいから、一波乱おきて退屈な日々に多少の色どりを与えてくれないものだろうかと、甘いだけで大して美味しくもない、ただ惰性で飲み続けてしまっているだけの200円ばかりのエナジードリンクを片手に、そうしたことを考えるのがここ最近の常だった。

しかしながら、今だからこそ言わせてもらうが、波乱なんてものは外から眺めているからこそ面白いのであって、いざ自身のみに火の粉が降りかかるとなれば話は別なのだ。

今はもう波乱のさなかへと飛び込んでしまった後だから、今更日常に向かって戻ることはできないが、もしもあの時の己に何か一言伝えることができるのなら、己はこう言おう。

「暁紅音に関わるな」

けれでも、思い返してみれば初対面の女の名前なんて知るはずもないのに伝えれる情報があいつの名前だけしかないというのは、本当に避けようのない出会いだったかのように思えて、どういうわけかカフェイン特有の苦みが口の中でほんの少しだけ増したような気がした。

さて、今から語られるのはあの少女の物語が始まる前の全日譚。

俺とあいつらの始まりと、そして破滅へと続く物語。

しばし主役には舞台裏で眠っていてもらうこととしよう。


たぶん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ