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「君は人間なのに、どうしてあそこに行きたいって思うんだい?」と古代魚は言った。「だって、君がいなくなってしまったら、僕は一人ぼっちになってしまうから」と小唄は答えた。「一人は嫌なのかい?」と古代魚は言った。「いやだ」と小唄は古代魚に言った。一人ぼっちになるのは、もう絶対に嫌だった。

「僕はどうして魚になっていないんだろう?」と小唄は言った。暖かい風が小唄たちの周囲を吹き抜けた。小唄はその風の優しさに触れて、危なく涙をこぼしそうになってしまった。

「……人は、自分の姿を選べない。君が魚になっていないのは、まだ君がそうなる運命じゃないってことさ」

 運命。それは小唄の嫌いな言葉の一つだった。

「さてと」と古代魚は言った。「じゃあ、そろそろ僕はいかなくちゃ」と言って古代魚は小唄の顔を見た。

「え?」と小唄は驚いた。「もう行っちゃうの?」と小唄は言った。「うん。本来は、こうしてのんびりと群れからはぐれたりしてはいけないんだよ。僕たちは彗星に向かって泳いでいく仲間たちの輪の中に入って行って、みんなと一緒に行動して、なるべく集団の意思を崩さないように行動しなくてはいけない存在なんだ」

「そうなの?」と小唄は言った。「うん。そうさ」と古代魚は言った。「僕がこうして一人で行動しているのは、君の姿を見かけたからなんだ」

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