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沈黙が支配すると、暗闇がその力を増してきた。真っ暗闇の世界は小唄の心を不安にさせた。だけど、そばに古代魚がいてくれたから、小唄は自分の足を止めることなく歩き続けることができた。小唄は古代魚と一緒に移動している間ずっと、空に浮かぶ白色の彗星の姿に視線を向けていた。小唄たちはそれなりの距離を移動したと思うけど、彗星との距離は一向に縮まらなかった。
空に浮かぶ彗星は、とても美しかった。
「見て、あそこにベンチがあるよ」と古代魚が言った。久しぶりの古代魚の声を聞いて、小唄は彗星を見ることをやめた。下を見ると、そこには確かにベンチが存在していた。「あそこで少し休憩していこうか」と古代魚が言った。小唄は古代魚に「うん」と返事をした。真っ暗な世界の中に置いてある小さな白いベンチの端っこに小唄は腰を下ろした。そこから小唄は古代魚と一緒に彗星を見上げた。それはとても幻想的な風景だった。
「僕もあそこに行きたいな」と小唄は言った。「それは無理だよ」と古代魚は言った。「どうして?」と小唄は聞いた。「だって君は人間だもの」と古代魚は言った。確かに小唄は人間の姿をしていた。小唄の視界に入る小唄の腕と足と胴体は確かに見知った形をした小唄自身のものだった。