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「お話というのは私の昔話です。他人の昔話なんて、とっても若い小唄くんにとっては退屈なだけだと思いますけど、私は小唄くんに、『私の昔のことを知っておいて欲しい』のです。ですから、我慢して聞いてくれますか?」と睡蓮さんは言った。睡蓮さんはとても真面目な表情をしていた。だから小唄も真面目な表情になって、それから睡蓮さんに「はい」としっかりとした返事をした。睡蓮さんは小唄の態度に満足したようにうんうんと頷いた。
それから睡蓮さんはとてもゆっくりとした口調で、小唄に言い聞かせるようにして、自分の昔話を始めた。
「私は若いとき、ある男性と愛し合うようになって、その人と恋愛結婚をしました。私には両親の決めた婚約者がいたので、本当はそのかたと結婚をしなければならなかったのですが、私は一度もお会いしたことのない、写真でしか見たことのないそのかたよりも、私のそばにいつも一緒にいてくれる彼のことをずっと、ずっと愛していました。だから私は彼とこのままずっと一緒にいたいと思って、両親の反対を押し切って彼と結婚をしました。それは私の生れて初めての両親に対する反抗であり、子供特有の初めての『わがまま』でした。




