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「……僕の名前は小唄と言います」と小唄は言った。

 小唄の言葉を聞いて、睡蓮さんは少し(その元から大きな目をさらに)目を大きくして、なにかに驚いた様子を見せてから、元の表情に戻って、それから嬉しそうな顔でにっこりと笑った。「あなたの名前は小唄くん」と睡蓮さんは優しい声で小唄に言った。

「私は小唄くんを迎えに来たんです」と睡蓮さんは言った。「これから小唄くんは私と一緒に長い旅をしなければいけません。でも、安心してください。私たちはなにもしなくて良いのです。こうして、ここに座っていればいいだけ。そうすれば、時間はかかりますけど、この列車が私たちを目的の場所まで運んでくれます」

「この列車はどこに向かっているんですか?」と小唄は言った。するとは睡蓮さんは微笑んで「とっても、とっても遠いところよ」と楽しそうな声でそう言った。

「……とっても、とっても遠いところ」と小唄は睡蓮さんの言葉を繰り返した。

「小唄くんは迷子なのね」と睡蓮さんは言った。そんな自覚はなかったのだけど、言われてみると確かに小唄は迷子だった。……友達を失い、名字を失い、帰る場所も、目的地も失った迷子だった。

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