そのころ草原では
~サイド???~
ノーンは先ほど分かれたばかりの少年のことを思いだしたのか笑みをこぼした。
「彼は非常に稀有な子でした。まさか神の種族を引き当ててしまわれるとは」
先ほどの無邪気だった姿とは全く違った雰囲気を放ちながら話すノーンはどこか、掴みどころのないように思われた。
そのこぼした笑みは何を意味するのかは分からないが、その表情もすぐに悲しみをたたえた顔になる。
「彼は帰ってきてくださるでしょうか?帰ってきていただけなかった……、いえ、それは彼が決めること。もしもの場合は私も覚悟を決めねばなりませんね」
「―――様!勝手なことをしないでくださいよう!これは僕の仕事です!」
一人で考え込んでいるノーンに話かける存在が現れた。よくよく見てみると、ノーンと同じ姿をしている。その姿を目にしたノーンは笑いながら
「ごめんなさいね。少しやってみたかったの」
そう言いながらクルリと一回転すると、そこには先ほどまでのノーンの姿はどこにもなく、いるのは一人の女性だった。
肩程まで伸ばした銀髪に黄金の目、均整の取れたプロポーションは完璧としか言いようがない。絶世の美女とはこのことだと言わんばかりである。
ただそこにいるだけで存在感を放ち、それが圧力となってのしかかる。しかし同時に触れただけで崩れてしまうような儚さを持ち合わせているため、矛盾をかかえている不思議な存在と言える。
先ほどまでノーンだった存在は新たにやってきたノーンと顔話合わせる。
「―――様、何か良いことでもありましたか?」
新たに来たノーンにそう聞かれた―――は、そんなに分かりやすかったかと苦笑しつつ答える。
「えぇ、私たちの希望となるやもしれぬお方と少し話しまして。それに彼の手はとても温かかった………」
―――は自分の頭に手を当てつつあの時のことを思い出したのか、とてもうれしそうにやわらかい笑顔を浮かべていた。
どうも!
今回はかなり短めとなってしまいましたが、次回からは前と同じくらいの文章量に戻ります!
では次回お会いしましょう!