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私の空想世界  作者: リリ
2/5

リアル夢物語

「海原くんのことが好きです。私と付き合ってください!」


校舎裏に呼び出されたと思ったら、突然そんなことを言われた。

生まれてこの方十六年。恋愛のれの字もなかった俺にも、ようやくモテ期とかいうヤツが来たようだ!


「それなんの罰ゲーム?」


なんて、喜ぶと思ったのかこいつは。

目をパチクリさせこちらを向く女に、俺は再度問う。


「なんの罰ゲームだって聞いてんだよ。お前らの魂胆なんてお見通しだ」


お前ら、と複数形にしたのは言うまでもなく、こいつ以外でこんなふざけた罰ゲームを考えた奴らのことだ。相変わらず、こういった人種の考えはよく分からない。


「……罰ゲームなんかじゃないよ!!」


そいつは叫びながらそんな戯言を口にした。


「罰ゲームじゃない?そんなわけないだろ。俺みたいなのをいつも避難するお前がか?馬鹿も休み休みに言えとはこの事だな」


ハッと嘲笑いながらそいつを見下す。こうしとけば、その内めんどいだの何だの言ってどっかに行ってくれるって寸法だ。ソースは俺。


「……どうしたら、信じてもらえる?」


……なかなか食い下がるな。

いつもの奴と違う反応で驚きつつも、ポーカーフェイスを気取りそのことを顔に出さないようにする。

しかし、なんて言ったらいいんだか……。


「……そうだなぁ。なら、今ここで服を脱げ」


「え?」


「俺のことが好きなんだろ?なら、そんくらいできるはずだ」


俺がそう言うと、女は下を向き黙り込んだ。

もちろん、そんな事が非常識だとは分かっている。例え、例えの話として、こいつが俺を好きだとしてもだ。屋外で裸になれるやつなんざそうそういない。

暫く待ってやったが一向に話を切り出さない女に、これでやっと帰れると体を後ろに向け、歩を進めようとした。しかし。


「……分かった。脱げば、いいんだよね」


「……え?」


そいつはおもむろに自分のカッターシャツに手を伸ばすと、ボタンを一つ一つ外し始めた。


「は、はぁ!?お前馬鹿じゃねぇの!?罰ゲーム如きで裸になるなんて――」


「だって、貴方のことが好きだから」


一瞬、脳がフリーズしたような感覚が起きた。

こいつ……まじで俺のことが――いやいやいや、そんなわけ……。

必死に冷静さを取り戻そうとするも、そいつがいつの間にか下着姿になっているのを見た途端、逃げ出さずにはいられなかった。実際、俺は全速力で逃げ出した。


「あ、待って!!」


後ろから俺を止めようとする声が聞こえるも、お構い無しに走っていく。

なんだこれは……なんだこのギャルゲーみたいな展開は!!

一刻も早くこの悪い夢から抜け出そうと角を曲がると、ちょうど人が来ていたらしく、これまたギャルゲーにありそうな曲がり角イベントが発生した。


「いったた……」


「……お前、こんな所で何してるんですか?」


ぶつかった相手は、幸運なことに部活の後輩だった。


「……それはこっちのセリフですよ。先輩を探してたら、こっちから声が聞こえたので来ました」


「俺をか?今日は部活休みのはずだろ?」


「いえ、部活の話ではありません」


その言葉に、妙な違和感を覚えた。

こいつはなかなかのめんどくさがり屋で、基本周りに興味を示さないやつだ。最低限の話しかしようとしないこいつが一体……。


「先輩、私先輩のことが好きです。是非お付き合い願います」


……なんだこのデジャヴは!?


「お前まで罰ゲームなのか!?」


「罰ゲームとは心外ですね。私がそんなおちゃめなことするとお思いですか?」


「……いや」


「でしょ?つまり本気なんですよ」


そう言いながら立ち上がった後輩は、何故かカッターシャツのボタンを外しだした。

先ほどと全く同じの手と仕草だ。


「いやなんでだ!?」


「先輩が証明しろって言ったんじゃないですか」


俺はお前には言ってないんだが!?というよりなんで知ってんだよ!!

そう叫びたかったが、驚きのあまり声が出ず、ただ口をパクパクすることしかできない。


すると、更に追い打ちをかけるが如く聞き覚えのない声が一気に押し寄せた。


「あ!海原君だ!」「やーっと見つけたよ~」「やっぱりカッコイイなぁ♡」「ちょっと!抜け駆けしないでよね!」「海原くーん!!」「焦り顔も素敵……」


そいつらは口々にそんなことを言いながら俺に駆け寄ってきた。


「う、うわぁぁぁ!!」


逃げ出そうとするも、そいつらのせいで体が埋もれてしまい身動きすらとれない。


「「「海原君!!私と付き合って!!」」」


全く同じ声が、何重にも重なって聞こえたような気がした。







「こんなリアル、嫌だぁぁぁぁ!!」


ガバッと体を起こすと、見えたのはリアルの女などではなく、俺が最近プレイしているギャルゲーのヒロインだった。

汗だくの額を拭い、辺りを見回す。


やっと意味が分かった。

俺は深いため息を吐きながら、ボソリとその言葉を口にする。


「……なんつーもん見てんだよ俺は……」

以前ネ友に1作目と2作目を読んでもらった時、「1作目は携帯小説で2作目はラノベって感じだね!」って言われました。書きやすいのは2作目なんですが、オリジナルで一番書いてみたいのは1作目みたいなタイプですね。ドロドロの人間関係的な。

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