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圭子は、次の部活にも来なかった。

 あれから何度連絡しても、返事はない。



 そんなある日。

 部活が終わり、いつものようにスマホをチェックすると、着信が入っていた。

 その数三十四件。


「え……? なにこれ……?」


 それはすべて圭子からの着信だった。一時間前から約二分間隔で、ずっとかかってきている。


――― ブルルルルルル……ブルルルルルル……


 私の携帯が震えだす。

 画面には圭子の名前があった。



「圭子!? 今どこにいるの? みんな心配して……」



「智子! 助けて! 私が! 私がいなくなる! 助けて、私が!!」



「どうしたの? 落ち着いて、ゆっくり話して?」



「ダメ! もうあいつが来るの、もう一人の……あっ……」



 かかってきたと同じように、圭子の電話は突然切れてしまった。

 その後何度かけ直しても、圭子が電話に出ることはない。


 私は圭子の言葉に大きな不安を抱えながら眠った。

 いや、眠れるわけがなかった。





 もう一人の。





 圭子はあの後、なんて言おうとしたのだろう。

 あの靄の中にいたのは、誰だったのだろうか。



 考えれば考えるほど、嫌な予感は深まっていく。



    ●   ●   ●



 次の日、私は部長と共に、圭子の部屋を訪れていた。

 部活のない日だったが、部長に連絡したところ、私も気になっていたから、と何も聞かずについてきてくれた。


 圭子の家は、高校に併設された女子寮。地元が地方にある圭子はこの場所で一人暮らしをしている。

 本当は、行きたくなかった。行ってしまったら、知りたくないようなことまで知ってしまうような気がして。



―――ピンポーン……ピンポーン……



 インターフォンを鳴らしても、誰かが出てくる気配はなかった。

 何度鳴らしても、ただ部屋の中から虚しい音が響くだけ。




「いないみたいね……帰ろっか」


「はい……あの、部長……」



「ん? どうかした?」


「いえ……今日はついてきてくれてありがとうございました」




 私は、昨日、圭子から電話があったことを話せなかった。

 

 そしてこのことを、一生後悔することになる。







 翌日、圭子は、遺体で発見された。

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