スーべニール(コデイン)
読んでください!オナシャス!
きっかけは雨への嫌悪感としか言えない。
およそ6年前、骨を貫く様な12月の夕立から身を隠すべく、
私は寄る辺ない心持ちである街歩いていました。
私はその頃年は18歳で、仕事がない。
取り立てた約束もないので、汚い部屋でじっとしていればいいのだが、
連続した停止に耐えかねて外へ出たのでした。
雨はせっかく私のスニーカーも鞄も、髪もズボンも皆汚してしまった。
腹立たしげにふらついていると、やっと大きな軒下のある建物があります。
木でできたドアは中を覗くことはできず、看板もないので初めは民家かと思ったのだが、
郵便受けも表札もない民家などあるでしょうか。
私はしめたものとばかりに軒下を借りました。
夕立は一向に止む気配が無く、カラカラと音を立てて私を笑う様に思われた。
きっかり 7分が経った頃、 もたれ掛かっていた木製ドアが重量を帯びた音を立てて開いた。
紳士的ななりをした、重たそうな瞼をした、白髪の壮年の男性が出てきました。
男は何も言わず会釈し、空から落ちてきた虹色のこぶし大の球をあらかじめ持っていた袋に入れ、
またドアの向こうに消えました。不思議じゃありませんか。
私は断然この建物にもあの男性にも興味を覚えました。
木の扉はノックをすると、ふにゃけた音を鈍く2回鳴らした。
20秒数えても返事が無かったため、私は改めて、ぼんぼんと2回やった。
やはり返事はありませんでしたので、諦めた。雨は止んでおりました。
その日はそのまま家に帰って大体13時間就寝し、起きてからまたその建物に行くと、
昨日の男性が軒下でタバコを飲んでおりました。
元来人と会話は嫌いですが、私は話しかけた。
昨日の雨宿りのお礼を言うと、男は、かまいませんよ、といった。
所で昨日のあの球は何ですか、綺麗でした、ここは何の建物ですかと(一気に喋りすぎるから嫌い)聞くと、
ありゃ雨の素みたいなです。ここは倉庫の様な物です。と穏便に答えてくださいました。
私はまだ不思議が残ったが、あまり質問攻めして困らせたくないので、黙っています。
男はそれじゃあと言って室に戻った。
釈然としないまま2ヶ月と5日が経った雨の日、私は同様の虹色の小さな球をキャッチしました。
丁度目玉くらいのつるつるとした球をポケットに入れて指で撫ぜていると、不思議と心が落ち着きます。
あの建物があった場所には、今は若者向けの薬屋になりました。
来週も読んでくれよなっ!