表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

人間界って怖い

魔界では力が全てだった。

誰もがそれを認識し、正しいと感じていた。


しかし、地上でいくら力を持とうと、それは無力であった。


私達兄弟4人は同時にこの地上に訪れた。


本来なら姉も来ているはずだったのだが、予定外の事が起き、今地上に来ているのは私達だけだ。勝手の解らない地上、人間界。


最初は、この人間界等なんら問題はないと考えていた。

天界へ到達するための単なる通過点。


その程度の認識だった。それが私達の最初の間違いだった…。

<二男>


久しぶりの人間界は何があったのか、その様相を180°変えていた。この大地はかつて、人工も少なく、何より信心深い人達により、ありとあらゆるところに壮厳な教会も建てられていた。木々が失われ、生物も棲みかを奪われている。それになり変わりに君臨しているのは、なんの暖かみも感じられないこのガラス細工の高層ビル群。あぁ、人間よ。


お前達は神を捨てたのか…原罪を忘れ、また罪を犯そうというのか…。


なんと愚か。そして、なんと喜ばしい事か。これは、きっと…天上の者を裏切り我らの側につかんとする意思の現れだろう…。俺達が、地上に出てから丁度一年が経つ。そして、今日この日…俺達はこの場所に一度集まる事を約束していた…。


約束の午前10時、5分前。


少しではあるがあれから一年、一切連絡を取らないでいたので気の知れた兄弟でも緊張感はある。たった一年。悠久とある俺達の時間にしてみれば、僅かな時間だ。対して変わっていないとは思うが…。


2人の兄や弟は元気にしてただろうか…。


約束の10時になる。


俺達が、最初、魔界より出てきた場所は東京の新宿と呼ばれる所である。そこの公園にある噴水の水面から出てきた。勿論、水浸しになったのを覚えている。いきなりテンションの下がった地上デビューというやつだ。


10分が過ぎた。一向に誰も現れない。


仕方ないので俺は噴水近くのベンチに腰掛ける。他にも、二メートルくらいの間隔でベンチは並んでいる。規模の大きい公園で整備もきちんとされているのだが……こんな公園でも、ホームレスの排除は難しいらしい。1つ横のベンチを一人の浮浪者が新聞と段ボールで出来た鎧を纏い、占拠している。おっと、目が合いそうになった。ここの生活で学んだこと…それは危うきには近ずかず。


少しでも、厄介事に巻き込まれそうな気配がしたら目を反らす。これが、今の人間の生き方らしい。それにしても、遅い。


しばらくすると、自動車でパンを売るサービスをしている業者が公園の敷地内に侵入してきた。そのパンの匂いにつられて空腹を思い出す。そう言えば、約束の時間に遅れない為に朝御飯を抜いてきたのだった。時計を見る。10時10分。まだ、兄たちと弟はあらわれない。


財布の中には、もしもようにカードと現金三万四千八百二十三円ある。


小銭で、一個八十円のクリームパンを1つと、コーヒーを自販機で買おうと考えたが、兄達が来てからでも遅くない。


俺は待った。


ふと、パン屋の車がある方向を見ると、野良犬が匂いにつられたのか、どんどん近づいていく。


おいおい、止めとけ。


お前みたいなみすぼらしい犬に売り物を恵んでやる人間なんていない…と、思ったのだが、意外にも予想は外れた。パン屋の店員はパンを犬に差し出したのである。それを丁寧に口に加えると、一礼の様に首を前後にふる。。


今時珍しい人間もいたものだ…。


ん?


どんどん犬の影がこちらに近づいている。


何故かは知らないが、遠くにいた野良犬は、私のいる方向に進んでいる。


程無くして、私の足元までやってくる。


「ん?どうした?ベンチで食事したいのか?」


俺の言葉に頷くような素振りをして、俺の座るベンチの空いているスペースに体を乗せ、口に加えていたパンを俺の横に置く。


すぐには、食べないのか?という疑問が浮かんだのだが…そんな事は気にしてられない。


左手にはめた腕時計を見ると、10時15分を差していた。


まだ、許容範囲だ。


兎に角来ないはずはない…待てばきっとくるはずだ。


ふと、視線を感じ横を向く。



兄弟が到着したのか…?


いや、違った。


隣で佇むホームレスだった…。


明らかにこちらを凝視している。


目をあわせちゃいけない。

厄介事に…


いや、その視線は僅かだがずれていた。


そう、パンだ。


明らかに、犬がくわえていたメロンパンに視線が集中している。


マジか…止めろ、これはこいつの、犬の戦利品だ。


これにまで、手をつけたらあんたは人ではなくなる。やめろー。何故だかわからないが、俺は一人無意味にドキドキしていた。しかし、俺の予想に反してそいつはパンを横取りにしなかった。


なんとか、人としての境界線は踏み越えずにすんだようだ。


10時20分。


無駄な時間が過ぎていく。

本来なら平日のこの時間帯は働いている時間帯だ。それを俺は上司に無理を言って今日の為に有給休暇をとったのだ。無駄な時間は出来る限り過ごしたくないもの……だ。どうやら俺は人間界に馴染み過ぎたらしい。数分の遅れでさえこんなにもイライラしている。


平日のこの時間帯は公園とは言え時折ジョギングを楽しむ老人が通りすぎるぐらいだ。緩やかで無音の時が永遠と過ぎていくような気がした。


ふと空を見上げるといつの間にか曇り空が広がっている。


ついてない。


降られたら事だ…。

いや、紙と段ボールの鎧を纏う隣人の方が雨は死活問題だろう…。


ピカッ!!と辺りに閃光が走る。

俺は反射的に空を見上げる。


雷の音が、聞こえてくるのかと思ったが、いつまで経ってもそれは聞こえてこなかったが、ある異変に気付く。


閃光と同時にいつの間にか暗雲は消え去っていた。晴天である。


助かった…俺も、隣人も犬もパンも…視界をもとの正面に戻すと、先ほどの風景と何処かが違ってみえた。


それを理解するのに十秒要した。


目の前にある噴水に、ずぶ濡れになった少年と少女の姿が風景に追加されていた…。


<長男>


我らが、地上に出てから丁度一年が経つ。


そして、今日この日…我らはこの場所に一度集まる事を約束していた…。我が弟達の事だ。人間界の空気など、この一年で容易く読む事が出来ただろう…我らがこの地に来た時、かつての様な大地の臭いは失われていた。


同族の臭いだけではない。憎き天使や、初めて嗅ぐ存在もいくつかあった…ここでは様々な姿になって存在を隠さなければ、天使どもの追跡から逃れられないであろう…我はこの地に着き、最初に見た生き物の姿を借りる事にした。


その生き物は 『イヌ』 と言う生命体だ。


人間に飼われ、従順に従い、愛らしい上に品格を持ち合わせている。鼻の利く我には丁度いい。


……時折我に向って人間くさい食物を押し付けてきたり、無理矢理に身体を撫で回そうとするけしからん輩がいるが、この姿ならどこに居ても人間は不信感を覚えない。


何故か、丸い物が目に入ると追い掛け回したくなる気もするのだが…まぁ他に支障はない。それにしても、この公園はいつ来ても悪魔の臭いが強い。 魔界と繋がっているせいでもあるのだろうが…天使に気付かれないよう、我一人では臭いを消すのもやっとだ。

(マーキングしとこぅU・ω・U)


…しまった!少し時間を過ぎてしまったか!!


しかしまだ辺りには、冴えない男と浮浪者、あとはパン屋のみか…パン屋よ、なかなか賢いではないか。悪魔臭さが消えてゆく…


そして何より悪くない匂いだ。


我の鼻に適うとは、なかなかの人間である。人目見てやろう。


ふむ…。


若い割には、洗練されたパンが作れるようだな。


何故か懐かしい匂いもするが…


「わっ!ビックリした!! 犬かぁ~わりぃな、忙しいんだ。コレやるから、あっち行ってろよ」


ふん…言葉の使い方が分からん人間のようだが…まあ許してやるとしよう。


メロンパン。よい匂いだ…さて、仕方がないからベンチでゆっくり食してやろう。


ベンチには冴えないサラリーマンが座っている。まるで空気のような存在感だ。無視して隣で食べよう。…このベンチ、悪魔臭さが染み付いているな。


「ん?どうした?ベンチで食事したいのか?」


そうだ。我はこの匂いがたまらなく好きである。


だからお前になど差し出さん。男の視線はすぐにそれたが、隣の浮浪者の視線が気になる。こっちを見るな。お前にも差し出さぬ。特に、この浮浪者は色々な臭いを放っておる。


目を合わせぬ様にしなければ。


その手が伸びてこようものならば、我は迷わずお前の腕を落としてやるぞ。


………どうやらメロンパンへの視線は解かれたようだが… とても食事をする気分になれないではないか。


まったく弟達は何をしているのだ。


早く集わなければ、我はこのメロンパンをたいらげ眠ってしまうではないか。


その時だった、


ピカッ!!と辺りに閃光が走り、パンの臭いが悪魔臭さで薄れていく…目の前にある噴水に、ずぶ濡れになった少年と少女の姿が風景に追加されていた…。


<二男>


あれから一年・・・確か今日が約束の日。

そう言うと、レオボルトは日課となった段ボールの鎧を、黒いフード付きコートの上から胴、両腕、両足に装着していく。


私は、他の魔界の者とは違い、体裁面を気にする性質だ。本来ここが魔界であれば、今日の様な大事な日に合わせて、ミスリル銀で出来た壮麗な鎧を着こみたい所だがここは人間界。


そういった鉱物はなかなか手に入らず、鍛冶職人もなかなかいないようだ。


しかも、ここは日本、資源にもお金にも乏しい国と、隣人の中富さんから聞いた。中富さんというのは、この公園という所を掌握しているいわば公園王だ。


彼の知識と、過去の英雄譚に比べれば…魔界の王の次男という肩書も霞んでしまうだろう。


この鎧に使われている段ボールも、私の住む家に使われているブルーシートも彼がどこからか仕入れてきてくれたものだ。


私はこの男に恩を感じており、その恩を返すまではここをでるつもりはない。


いや、誤魔化すのはよそう…正直に言うと、魔界へ通じる門があるこの公園からは恐ろしくて出られないのである。


この世界は魔界より恐ろしいかも知れない。


一年前、兄弟3人が思いの方向に散らばった後、私は空を見上げた。ふと思ったのだ。


私達の住む世界が地獄と呼ばれるように、世界の階層の下に位置する、天界とはその意味のごとく天上にあるのではないだろうか。


もちろん、ここと魔界の様に異世界をつなぐ門を介してしか移動は出来ないと考えるのだが、万が一、人間がその門に足を踏み入れたらたいへんではないか。


人の到底及ぶことの出来ない地点に門はあるのではないだろうか。


そう考え出すと、私は鋼の翼を広げて、空を、天上を目指さずには居られなかった。


魔界では天上を目指したとしても限界はある。


しかし、この人間界は広大で、限界などが存在しないようであった。


いくらこの星の大気の層を抜け、宇宙空間を突き抜けて行けど、その端はないように思えた。


私は、魔界でも1、2を争う程の速さの持ち主だと自負しているが、これではキリがない。


考えてみれば、人間の住む星と離れた所に門を造ったとして…肝心の人間の監視など出来ないではないか。


出来たとしても、地上に足を運ぶ際、無駄に体力を消費してしまう。

そこに魔界の者に出くわした場合の危険性を天界の者が考慮しない訳はない。


やはり、天界への門は地上の違う場所に存在するのだ。


私は考え直し、来た道を引き返す事にする。


音や光よりも早い速度であっという間に大気の層にまで帰ってきた私だったが、そこで不幸な出来事に見舞われる。天界の者に見つかったのである。

地上から、光の筋が放たれたかと思うと、私をそれが直撃したのである。



その一撃をまともに食らった私は、意識を失ってしまい、気づいたのは地上から4千KM離れた空中だった。この星の重力に引っ張られて落下している訳だが、体全体に感じる大気の感覚は悪くない。


しかし、そうこうもしていられない。

この星そのものの自転や、大気の流れからか、最初の場所からかなり遠くに流れてしまっていた。


私はしぶしぶ最初に出てきた場所の気配を探った。その時である、2体の天使が現れたのは。その二体の天使の姿を、私は今も忘れる事が出来ない。


天使と言っても様々だが、標準的な大きさは私達と大差ない。

しかし、その天使達は自らの体を巨大な鳥を模した鎧に身を包み、

高速で飛びまわっているのである。


私が知る天使とはかけ離れた姿だった。

時折発せられる言葉は聞き取りづらく、どこか機械的な会話であった。


高速であるとは言え、私程の速度は無く、脅威では無いのだが、その異形な姿と高音、煙を吐きながらの無意味アクロバティックに私は恐怖心した。


そして、何より魔力感知が通用しない事がネックであった。


通常、天使に対して空中戦をしかける場合、死角に回られない為に予め魔力を感知し、マーキングした上で戦闘を行う。

高速戦闘となると、都度眼で認識してからの工程はタイムロスになるからだ。その魔力感知が通用しない。狼狽する私を余所に、尚も奇声を放ちながら飛び回る2体。なんとも無礼である。


「私の名はレオボルト。魔王の・・・」


と私が言い終わらない内に、その2体の翼から何か鉄の塊が切り離された。


「なんと無礼な…貴様それでも天界の…」


すぐさまその塊から煙が出ると、なんと私に高速度で直進してくるではないか。


鎧の一部を切り離しぶつけてくる。なんと野暮な攻撃方法だろうか。


もちろん、私に対応出来ない速度ではなく、なんなく魔力の弾をぶつける事が出来た。


「なんとも容易い・・・」


しかし、その攻撃はそれで終わりでは無かったのである。


なんの兆候も無く、突然その鉄の塊は大規模な爆発を起こしたのである。

その業火に巻き込まれた私は逃げ出す事しか出来なかった。


ぼろぼろになった鉄製の鎧は、力なく私から剥がれ落ち、海洋に沈んでいく。

頑丈さは鉄製の為ほとんど無いものの、デザインがお気に入りだったので何とも無念であった。


私もそのまま沈みかねない状況であったが、私は何とか元いた場所までたどり着く事が出来た。私はあの得体の知れない巨大な鉄の鳥を思い出し、震え上がった。


そして、情けなくも元居た場所から動けないでいた。


すでにこの世界には、何万という天使が蔓延り、悪魔が侵入して来ようものなら容赦なく攻撃を仕掛けるのである。顔を青くし、私は2日間もがたがた震えていた。すると一人の中年男性が声をかけてくれたのである。


それが中富さんであった。

彼は私にこう言ってくれたのである。


動けねぇなら、無理して動く必要は無いと・・・。


あれから一年、私はこの中富さんから受け継いだ黒いフード付きコートを愛用している。

そして、多少不格好ではあるが、この段ボールという素材で出来た鎧もなかなか気に入っている。


この新宿公園という場所の住民には、ホームレスという何とも恰好のいい肩書が付き、リーダーである中富さんもしかり、それぞれ本名とは別の名前を持っている。


ちなみに、中富さんの通り名は「救世主」である。おっと、こんな与太話をしている場合ではない。


もうすぐ10時である。そろそろ行かねば、では失礼する、ラ・オウ殿。


「ん、もういくんかえ…?ジュダイの騎士ちゃん。」


「はい、今日は少し大事な用事がありますので…」


私が話していたこの老人は少しもの忘れがひどく、いつも私に過去話をするようにせがんでくるのだ。ちなみに、私のジュダイの騎士という通り名は、公園にやって来た外人が片言の日本語でそう呼ぶのでいつの間にかホームレス間でもそう呼ばれるようになった。

余談だが、その中の外人の一人にナイトサーベルというプラスチック性の役に立たなそうな光る剣も貰い受けた。


その剣は今も私の腰にぶら下がっている。

そして、私と別れる際には皆こういう。


「ジュダイちゃん…ホースのご加護を」


「はい。ラ・オウ殿にもホースのご加護を」


あまり意味は解らないが、ここの住民も外人観光局が使うこの意味深な挨拶を使用するようになった。無論、私も傍から見れば外人のような顔立ちではあるのだが。


私は、段ボールの鎧を壊さないように慎重に集合場所まで歩いていく。


途中で、通りかかる子供からは、ガンタムだ!などと言われてしまうが、その意味もよく解らない。しばらくすると、横をパン屋の車が通り過ぎる。


そのパンの甘い匂いに私は心を奪われそうになるが、この気配…間違い無く弟のものである。向こうも気づいているなら、車という鉄の箱に乗せてくれてもよかったものだが…まぁいい。


車は公園内の車道の関係からか、集合場所とは違う方向に去ってしまうが時期に追いついてくるだろう。


公園内の木々の間を私はショートカットし、猛然と突き進む。集合場所へは、一足早くスーツ姿の三男が到着していた。この一年で、上手く人間界へ馴染んだようだ。

中富さんも昔はサラリーマンという職業で先ほどの様な鉄の箱を売っていたらしいのだが、自分と向き合う為にこの公園にやってきたのだそうだ。


しばらくすると、全員が揃った。


私は逸る気持ちを抑え、互いの再会を祝するそのタイミングを待っている。そう、周りはすでに天使の支配下だ。少しの気の緩みが死に直結する。


20分程の膠着状態が続いた。

もう安全だと踏んだ私はベンチから立ち上がろうとする。


「久し・・・」


その時、閃光が辺りを包む。迂闊だった、天使だ!!そう感じた私はすぐにでも戦闘出来る態勢をとる。しかし、そこに天使の姿は無く、変わりに目の前にある噴水に、ずぶ濡れになった少年と少女の姿が風景に追加されていた…。


少年の方は誰だかは解らないが、少女の方は魔力の感じでリルム姉さんのものだと解る。どうやら、傷は癒えたようでなによりである。今日は何とも喜ばしい日になりそうだ。


<四男>


地上に出てから丁度一年くらい。


俺ら兄弟でこの場所に集まる約束したのは、たぶん…今日だったかな。 兄貴達は何してたかな…兄貴達と違って、あんまり腕っ節には自信ないけど、俺なりに今日まで色々とやってきたつもり。


自身があるのは情報収集だな。


俺が地上に来た時、最初に目に入ったのが人間の若い女二人組みだ。


魔界の女に比べちゃうと…アレだけど…まぁ、悪くない。 女達が美味しそうに食べてたのは ”パン” と呼ばれる人間界の食べ物で、

公園内で売られていた。 俺が甘い匂いに釣られて、そのパンを食べた時、こんな上手いものが人間界にあるなら、もっと早く来ればよかったとさえ思った。


…だが、そこからが大変だった。


人間界には ”お金” と言うものがなければ、物を手に入れる事が許されないのだ。


そんなことは知らずに目の前のパンを口にした俺は、兄貴よりも怖いおやっさんと出会う事になった。おやっさんは、公園でパンを売り続けて30年以上と言っていた。


俺達悪魔からすれば、30年なんてたかが知れてるが…短い命の人間からすれば、それはそれは長かったんじゃないかな。


俺は魔界から来たばっかりで、人間界の奴らとは身なりがまるで違ったから、最初は勝手にパンも食っちまったせいで、 ”ケーサツ” ってとこに連れて行かれそうだった。


だけど、わけ分かんなくて暴れてる俺を、おやっさんは引き受けてくれたんだ。


そっから俺は、おやっさんにパンの作り方を教えてもらってたんだけど…おやっさんは居なくなった。おやっさんには家族が居なくて、オマケにか弱い人間だ。


悪魔の俺でも治してやれない病気にかかってて、あっと言う間に逝っちまった。人間って、あっさり死んじまうんだな …


兄貴達との約束もあるし、諦めようと思ってたんだ。でも俺は、おやっさんの代わりにパンを売ることを決めた。


俺が唯一自慢できるのが、生まれつき目が良いこと。人間の肩に乗ってる薄気味悪いやつとか、


あとは公園近くの川に、頭に皿乗せた緑のヤツとか、色々見える。それに…魔界から持ってきたマンドレイク。


コイツは俺が住みついてる空き家でこっそり育ててる。引っこ抜く時は、今でも細心の注意が要る。最近になって、ようやくおやっさんのパン作りを収得した。


これをパンに練り込めば、同族なら鼻を利かせて食いに来ると思いついた。


俺の目なら、近寄ってきたヤツが悪魔かそうでないかは分かるはずだ。


同族だったら、賺さず天使の警戒が強い場所なんかを聞いた。常連に蝿の姿をしたムスカってやつがいるが、そいつは俺の一番上の兄貴と一緒で鼻が利く。


色々と教えてくれるうちに、仲良くなった。


今日はまだ来てないみたいだが…


「わっ!ビックリした!!」


いつの間に近づいてきたのか…。ただならぬ空気を纏った犬だ。


ただの犬とは思えない…だが悪魔臭くはないな。どちらかと言うと…犬くせぇ…


「…犬かぁ~。わりぃな、忙しいんだ。コレやるから、あっち行ってろよ。」


ふと辺りを見回すが、いつもよりもひと気がない。


あの浮浪者…色んなオーラが見える。


あとは変な犬と、疲れてそうなスーツのにーちゃん……ん??


あのにーちゃん、やけに透けて見えるが…大丈夫か?


人間界も、楽じゃねぇよな…


あとは……わっ!きたきた!!


いつもここでジョギングしてるじーさんだ!


正直言って、俺はあのじーさんの目を見れない。何故かは分からないが、恐怖心にも似た不安が押し寄せてくる…


あのじーさんだけとは、関わりたくない…



そろそろ…兄貴達来ないかな~。

兄貴達用に、新メニュー考えてきたんだけど…


その時だった、


ピカッ!!と辺りに閃光が走り、僅かだが懐かしい魔界の空気を感じた…


目の前にある噴水に、ずぶ濡れになった少年と少女の姿が風景に追加されていた…。


<末子>


――何かすごく冷たい。

しばらくは、自分の身に起きた異変を把握する事が出来なかった。


あまりの突然の状況の変化に頭がついてこない。


そう、先ほどまでは…確か、魔界の門を抜け、地上…人間界に足を踏み入れようとしていた…。一体この状況はなんだ?


一瞬にして衣服が水で張り付き、その冷たさから呼吸困難を起こす。


俺の身に何が起きたんだ?

何も出来ないまま、体を硬直させていると、目の前にあった水の壁を押し分けて手が伸びてきて、俺の手をしっかり掴み、今居る場所から救い出してくれる。


その手の暖かさに、安心した俺はやっと事態を飲み込む事が出来た。


自分は今、ずぶ濡れになっている。私を引き上げてくれた人物の顔は、無精髭を生やし、黒いコートを着込んでいた。その力強い瞳には高貴ささえ感じさせる。


横を見るとすでに救出されているずぶ濡れになったリルム姉さんがいた。頭の上に乗っかっていた蝙蝠型生物も、体を横に振って水気を飛ばしている。


嫌そうな顔をしながらこっちを向くリルム。


「ウェルティー・・・・・・ありえないわね」

「同感だ・・・リルム姉さん」


(ウェルティーというのは、姉が私の名前を呼ぶ時に使う愛称だ。)


「おや?義姉さんの事をそう呼ぶという事は・・・君が噂の末っ子くんかい?」


「え!まさか・・・貴方は・・・?」


リルム姉さんに確認の視線を送ると、コクリと頷いた。


「いかにも。魔王が次男、レオボルトだ。実際の対面は初めてだね。ウェルティーくん。」

「ウェルティアです」

しばらく考え込むレオボルトさん。

「ふむ、それにしても君は奇妙な気配をしているね。

悪魔の気配がほとんどしない・・・。むしろ、天使いや、人間のそれに似ている・・・かも知れない。」

返答に困る俺に代わり、リルム姉さんが答えてくれた。


「そんな事いいじゃない、レオボ。

私達の兄弟に違いはないわ。」


不可思議に感じていたレオボルト兄さんも、リルム姉さんの一言で、表情が晴れる。

妙な詮索はしない、いい人のようである。


「じゃあ…僕は、ずぶ濡れの兄弟の為に、救世主さんの所に行って、タオルと段ボールを借りてくるよ。」

「なんか、すいません。兄さん。」 (ん?段ボールってなんだ?今、俺達に必要なモノなのかな?)


そう考えながら俺は、染み込んだ水を衣服を絞り追い出す。


「救世主って」


リルム姉さんだ。


「まさか、キリスト教の伝道師、ナザレのイエス?」


俺にはピンとこないが、意外と長く生きているリルム姉さんには馴染みがあるらさく、驚いた顔をしている。


そして、どことなくそわそわし始めて、頬も気のせいか赤く染まっている。


「ねぇ…レオボン。よかったら、その人もここに連れてきてくれないかしら?」

「リル姉?まぁ…一応お願いしてみるよ。」


そう言うとレオボルトさんは歩き出した。そして、ひっそりとリルム姉さんが私に耳打ちをする。


「本来なら、悪魔がキリストを崇拝するのはご法度だけど…あの人だけは例外よ」


「どうして?」


「自らの命も省みずに、布教活動に人生を賭け、貧しい者を救う為に旅をしたという…その姿勢に私はやられたの。」


「そういえば、リルム姉さんも昔、魔界中を旅したって…」


「そう。いわば私の心の師にあたる存在よ」


そわそわふわふわする姉を余所に、ある事に気付く。レオ兄さんが歩いたコースに沿って、滴る水跡と供に、なんだかよく解らない、薄茶色のもやもやした…紙くずが点在していた。

後ろを振り返り、噴水も確認してみると、やはり薄茶色のもやもやしたものがふやけていた。


「なんなんだ…これは一体…。」


周りを見渡してもう一つ気付いた事実がある。


さっきから、異様に此方を伺う視線が4方向からあるのだ。



その4つの視線の発信元をそれぞれ辿っていくと、


白い鉄製の箱の傍でいい匂いの食べ物を売る好青年に、ベンチにやたらときっちりとした服装をしている成人、きょとんと此方を見ている犬、


そして、遠くの茂みから人間の老人らしき人物から発せられるものだった。


そして気付く、俺達が少し浮いてる事に。


魔界には決して差し込まない陽光、高さに限りがないのではないかと思える位に高い青く澄みきった空、そこに悠然と自由に浮かぶ白い雲。


その全てが、鬱陶しい程に清々しかった。


「……地上の日の光……やっぱり、好きになれないわ。ね?キィちゃん?」


キキっと返事をしたキィちゃんは、必死に翼を広げてリルム姉さんの体に降注ぐ陽光をガードしている。


見た感じ、キィちゃんが一番辛そうなのは気のせいだろうか…。


「まぁ、これだけ日光が降注いでるんだったら、タオルいらないかも知れないわね…。」


と、黒いワンピースの裾を絞る。


その加減で魔界で育つ者特有の生白い足が露になる。よく見ると…いつの間にか、リルム姉さんの耳は丸く、人間の様になっていた。慌てて俺も耳だけを形状変化させる。


悪魔の第3世代と呼ばれる俺達の大半は人間に近い骨格を持って生まれる。


第1世代の様な姿形を根本的に変質させるような事は出来ないが、角や爪、耳等の身体の一部を人間のように変化させる事が出来るようになっている。


何故だかは解らないが、進化論的に言うと、生きていくためにはその方が都合がいいということだ。


視線を送る人々からは十分距離はあるものの、

誤魔化し切れたかは少し危うい。


何せ、急に悪魔(人間)が二匹(二人)噴水から姿を現したのだから。


一番遠くにいた老人の姿は見えなくなっていたのは幸いだったが、依然と強く視線を感じている。

リルム姉さんはそれらのあまり気にしていないように見えるが…違う、ただキリストに会えるから落ち着かないだけであった。


「く~……さすが生ける奇跡、単身で転生を繰り返してらっしゃるのね…。 キィちゃん、ウェルティー、ちゃんと挨拶できる?」


出来るよ、と俺は戸惑いながら答えた。


なんだろうこの違和感は…。しばらくすると、頭と胴体が四角いゴーレムがやって来て俺達二人にタオルを手渡す。


その横に居るのは、救世主と呼ばれる男だった。兄さんはどこに行ったのだろう?もしかしたら、この四角いゴーレムは兄さんが召還した・・・。


「え~と…こちらが、公園王救世主さん。」


ぽこっと、四角い頭を取り外すレオボルト。


おい!っと兄に突っ込みを入れたくなったウェルティアだったが

すごく我慢した。


浮かれ気味の姉には悪いが、この少し汚らしい人物がホントに救世主

と呼ばれたキリストなのだろうか…。


急に熱が冷めていくウェルティアの横で、リルムの熱は最高値になっていた。


「キャー!!あなたがあの救世主様!?」

「え、まぁ…こんな私ですが、皆からはそう呼ばれております。」



「やはり、ここへは布教活動か何かで来られてるんですか?」




「え、まぁ…世の中の流れと言うか、不況の波に煽られまして…。」



「こちらの公園という所には、どんな目的を持って来られたんですか…?」

少し陰りのある表情になる救世主。


「悔いを改める為に。」



「まぁ…なんて哲学的…。」


リルム姉さんは、乙女モードMAXらしい。


「リル姉、救世主さんになんのようだったの」


「え、いえ。その…用事というものはないのだけど…。」


「よかったら、家に招待しますよ?」

「宜しいのですか?」




「服も濡れていますし、そのままでは風を引いてしまいますから。」


「なんて紳士な方なんでしょう…ありがとうございます。」

そして、俺達4人は救世主さんの家に向かう事にした。


「なんだろ…この違和感。最初は、助けられた時の感謝一杯な目で見ていたから気付かなかったけれど…客観的にみたら、二人ともただの小汚いおっさんじゃ…。それに、なんでレオ兄さんは、あんな箱を被っていたんだろ…」


その場に、唖然とするサラリーマンと、野良犬、パン屋が残された。くるっと振り向き、レオボルトは人知れずこの3者にウィンクをした。


だが、その合図に反応出来たのは野良犬ただ一匹だけだった。


俺はハッとして立ち止まる。

一瞬、耳元でかすかだったが、何かが聞こえたのだ。


『何故お前から血の匂いがするのだ!父の血の匂いが!!』


辺りを見回すがそれらしきモノは見当たらなかった。

その声は混沌としていたが、怒りと困惑を強く感じた…


<長男>


犬:「…ひとまず、あやつらレオボルトに任せよう。」


こちらはこちらで、いろいろと策を立てねばな…

しかし、アレが我が末の弟とは…先行きが不安である。

かすかな魔力を纏うばかりで、至って普通の人の子の様であった…


フレイラ:「兄貴っ!」


パン屋の四男が駆け寄ってきた。


フレイラ:「兄貴が…犬になってるなんてなーw」


犬:「兄貴ではない…良いかフレイラよ。

人間界で我を呼ぶ時は ”ポチ” と呼ぶのだ。」


フレイラ:「ぽ……ポチ(^w^)

それよりこれからどうする?俺の弟あんなだったよ…」


ポチ:「あんなとは何だ。…あれも大事な弟だ。

三男、あやつが一番地味だからな。

あやつにはしばらくの間、姉上や末の弟達の偵察をさせる。」


心の中で強い口調で示した。


ポチ:【絶対に目を離すな、あやつらに何かあった時は、すかさず知らせろ!】


ベンチの男は動揺しているようだが、コクリと小さく頷いた。


ポチ:「フレイラよ。我らは場所を移すぞ。

この一年、お前が集めた情報の確認をせねばならん…

……特にパンも食わねばならんU・ω・Uハァッハァッ」


フレイラ:「兄貴…パンが食べたいだけだろ…」


ポチ:「何お言うか、この戯けめ!」


久し振りの我が弟らはたくましく成長していた。嬉しいやら悔しいやら…

そんな事よりも…


ポチ:「…我らは、得体の知れぬ気配を引き寄せる。」


フレイラ:「えぇー!得体の知れないって…まさかあの老人!!」


ポチ:「あぁ。あやつは毎回ここに来ているからな…何を仕出かすか知れん。」


???:「やめた方がイイゼー。」


公園には我が弟や老人以外の気配を感じなかったはずだ…

しかし何者が話かけてきた。


???:「ここ、ここだよオイッ!」


そこには小さな蝿がいた。


フレイラ:「ムスカ!今日も来てたのかー。

…って今日は人型じゃないんだな。」


ムスカ:「こんな変な気を纏った奴らがいっぺんに公園に集まってるんだぜ?

わざわざ目立つ格好なんかしねぇよヴァーカ。」


ポチ:「何なのだこの口と頭の悪そうな蝿は…」


蝿はすかさず言い返した。


ムスカ:「なんだ、この弱そうな犬っころw」


初対面でも大体分かる事はある。

恐らく一生かかっても、この蝿は相容れない存在であろう。


フレイラ:「まぁまぁ…落ち着けって二人とも!

今はそんなことしてる時じゃないだろ!!

…ムスカ、あの老人の事知ってるのか?」


ムスカ:「フン…アイツはたぶん天界から来たヤツだぜ。

いっつもこの辺嗅ぎ回ってるしな。」


フレイラ:「確かに…いつもここに来て…

あの噴水(門)の前で休憩するんだよな。」


老人は当たり前のように噴水の前に腰掛けた。

すると何やらブツブツと囁いている。


ムスカ:「アイツ…何かやらかすぞ!」


ポチ:「しまった!!」


気付くのが遅かった。

恐らくあの老人は、毎日ここに来ては少しずつ噴水(門)を壊すための呪文(スペル)を植え込んで来たのだ。


老人は事が終わるとすぐにまた走り出した。


それまで静かに水を垂らしていた噴水は、まるで思い出したかのように、

ピシピシとヒビが入り始めた。

そして、一気に大きな音を立てながら粉々に飛び散ったのだ。


ポチ:「…くっ、もう戻れぬ…という事か。

あやつは、我らが揃う日を待っていたのかも知れぬ。

幾度もここに来ては、それを確かめていたのだ。」


フレイラ:「そんな!」


ムスカ:「ハハッ!俺は別に構わないぜっ。

あんなとこより、こっちのが楽しいからなぁ!」


ポチ:「フレイラよ、あやつを追うぞ!」

ムスカ:「…おぃっ!フレイラ!」


フレイラ:「どうした?」


ムスカ:「…さっき、噴水から出てきた男は」


フレイラ:「あぁ、俺の唯一の弟。

今まで兄貴ばっかりだったけど…やっと弟に会えて、

俺も兄として頑張らなきゃな…ってね。」


ムスカ:「そうか…俺はそいつに用がある。」


フレイラ:「?」



ポチ:「何をしているフレイラ!早く来いっ!!」


老人からは、何としても噴水を壊した目的を吐かせねばならない。

戦闘になる前に、人目につかぬ場所まで引き寄せなければ!


老人の姿はしていても、かなり早いスピードで走っている。

ザコ…とは言えんくらいは強いであろう…


老人の後ろ姿に向って、言葉を投げつけた。



ポチ:【オマエは何者だっ!】



すると老人はピタっと足を止めた。

ゆっくりこっちに振り返ると、我が目から視線を外さない。

どうやらヤル気である。


このまま公園の森林に引っ張るしかない!


白昼の公園。

人間達はエネルギーを摂取するのに、何故かここを使うものが少なくない。


そうなる前に片を付ける!


さすがに戦闘になってしまうと、犬の姿では到底不便である。

我本来の姿に戻ると、 老人はこちらを見つめながら口を開いた。


老人:「イヌ…ではナイ…?オ前は悪魔ダナ。」



ポチ:「…そうだ、我は悪魔である。

お前は何者で、何故門を破壊した。」


老人:「悪マは排除っ!」


老人は口から閃光を放ち、問答無用で攻撃を仕掛けてきた。その姿は今までとなんら変わらず、無表情のままだ。しかし、いつの間にか老人の両脚は鋭い刃へと変わっていた。


老人は一瞬消えると、 いつの間にか目の前に現れ、ハッとする。


蹴りを寸前で避けるが、我が髪の鋭い切り口を見ると、スッパリと一直線に揃えられている。なかなかの速さと切れ味である。


だが、怯む暇などない。瞬時に老人の顔を手で掴むと地面に叩きつけた。


力が抜けた所で、素早くそのまま森林へと引きずった。辺りは砂埃が立ち込めている。木々にとまる鳥達は逃げていった。 爪先に力を集中させ、まずは老人の武器である脚を一瞬で切断した。しかし、老人は次に両腕を刃へと変貌させた。斬り付けられたが、これもかわし、腕を落とす。


「やめろ。殺す前に、お前には聞かねば成らぬ事がある。何故門を破壊したのだ。あちら側にはまだ、お前たち天界の者が残っていたはず…」


「もう遅イ…魔界ニハ一軍が進行シテイル… 戻ル事は許されヌ…進行スルだけダ…」


「なにっ!」


「残念ダッタなぁ…アト数日もスレバ、魔界ハ我ラ天使が落ス… 二度ト天に届クなどと考えヌヨウ、軍モロトモ封印スルノダ…」


そう言うと老人の額に赤い光が点滅する。


「私の目的ハ果しタ…ゲートは塞ガレタ…ミカ…ル様…」


「自爆かっ!!」


強い耳鳴りのような音と共に老人は空間を巻きこんで消え去った。

即効で集う魔王姉兄弟達。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ