女神様からのお言葉について
……三人で笑いあってたら、シオンがすねた。
ちょっとほっといちゃったからな。
「シオン」
「なに」
すねたシオンに話しかける。
「わたしのことは呼び捨てでいいですよ。シオンもマリーも」
シオンはさん付け、マリーはちゃん付けだったし。
「いいの。可愛いからキキョウちゃんって呼びたいんだもん」
「……わかった。キキョウって呼ばせてもらうよ」
とりあえず、呼び方についてはこれでよし。
「……じつは、もうひとつ重要なお話があるのです」
「?なんだ」
「……昨日、夢の中でお二人の話を聴いてしまった訳ですが、……そのあとに女神様からお話がありまして……」
「……」
……三人とも、絶句しちゃった。
とりあえず、落ち着くのを待とう。
しばらくして、ようやくトキワが復帰した。
「……女神様って?」
「トパーズ様です。話があるから、神殿まで来てほしいと。ただ、訪ねるのはいつでも構わないとも仰っていました。
……わたしをこの世界に呼んだのは、神様ではなく、そのためにわたしを縛るものがない、とも。あと、天狼を使い魔にするといい、とも仰っていました」
「……」
再び絶句……、ってまあ仕方ないか。
「天狼を使い魔にって、女神様が仰っていたのかい?」
シオンの言葉にうなずく。
「はい。便利だからと仰っていました」
「便利……」
「と、取りあえずキキョウちゃんは天狼を使い魔にできるくらい優れた人間、ってことよね……。そのこと自体は納得できるわ」
?出来ない人もいるのかな?
「……誰でもできることではないのですか?」
「うん。普通にどこにでもいるような精霊とか、妖精、魔獣といったものならともかく、神々の眷族である神獣は人格・能力に優れた者としか契約をしないから」
ふーん。
「トパーズ様の神獣が天狼として、他の神々はどのような神獣がいるのですか?」
「そうだね。まず北の水神ラピスラズリ様の眷族は海馬、南の火神ガーネット様の眷族は火炎獅子、西の風神エメラルド様の眷族は四翼烏、そして創造神たるダイヤモンド様の眷族は、真竜だよ」
なるほど。
「ま、取りあえずはプレナイトへ帰るぞ。神殿行きについてはそれからだ。使い魔についても、ギルド長のモエギに話を聴いてからにの方がいいだろ。あいつの使い魔も天狼だし。それにあいつには嬢ちゃんについて、きっちり話しといた方が融通が利くからな」
「他の方には話さない、ということですね」
「……そうね。キキョウちゃんの正体はかくした方がいいわね。何があるかわからないし」
「そうだね。記憶をなくしてふらふら歩いているところを見つけた、でいいと思うよ。保護して一緒に行動をしてたら、剣と魔術の能力を持っていることが解った。だから、僕たちはキキョウを仲間として一緒にいることにした。これでいいかな。あながち間違ってもいないし」
確かに。記憶喪失以外はほぼそのままだな。
「そうしましょう。個人的なことはなにも覚えてない。それなら、常識外れをしても、一応言い訳はたちますね」
「……そっか。キキョウちゃん、この世界の常識って知るわけないよね」
「はい。ですから神殿に行くのは、そこら辺を覚えてからの方が良いかと」
「だな」
ようやく方針が決まった。
先ずは町へ。そして次は神殿へ。
あたしたちは歩き出した。
取りあえずは町に行きます。
町での行動は省略の予定です。
あしからず。