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閑話 新しい魔道具の作り方

この世界の魔道具と呼ばれる物の作り方。

ある意味、桔梗の故郷よりも進んでいるところがあります。

ホント、この世界の魔術って便利……。

シオン曰く、先ずは基本となる本体を作る。

例えば水の出るパイプとかだな。

次に染料で文字を書く。う

この場合は、『水 排出』とかかな。

単に水って書くだけだと、パイプ全体から水が吹き出しちゃうからね。

あとは使用箇所に設置して、魔力を通せばオッケー。

魔力がない存在はこの世界にはないし、ちっこい子供でも、水を出すのに苦労はない。

どうやら魔力を多く必用とするのは、口にする、文字を書く、といった直接魔術語を使うときらしい。


「……それで、これが魔道具に文字を書くときに使う染料の材料」

となりには魔力草と魔石があった、って、魔力草ってアロエかよ!鑑定してみたから間違いない。……ホント魔術って便利。ってそれはよくて。魔術で調べた結果、このアロエ魔力を豊富に含んでる。

「魔力草は、自然の魔力だまりにしか生えないんだ。ただ、繁殖力は旺盛だから一株残せば、一週間後にはまた生い茂ってるけれど」


ーーここでこの世界の暦について説明を。

一週間、ってのは五日間。地、火、水、風、天、とそれぞれの神様を現してるよう。

一年は365日で、月は5つ、名称は日と同じ。一月は14週。

余った3週間のうち、2週間は終わりの時と呼ばれる。つまり年末だな。残った1週間……5日間は始まりの時。いってみれば新年。終わりの時に準備しといて、始まりの時はお祭りになるそう。ちなみに今は地の月。つまり祭りは終わったアト。残念。


「魔石は魔力を持つものなら、誰でも作れるよ。ただ、魔術語を知ってることが前提だけど」

そう言ってシオンは手のひらを上に向ける。

『魔石作成』

コロン、とシオンの手のひらの上に石が転がった。これが魔石か。シオンの魔石は、青み掛かった紫色だった。

「魔力草の身をよく煮込んで、そこに砕いた魔石を入れる」

できたての魔石を鍋の中に入れると、無色透明から紫っぽい色に変わった。なるほど、確かに魔術用の染料だな。

「魔道具の元となる道具に、これで文字を書けば出来上がり。ところで店長、この染料はいくらで買い取ってくれますか?」

……今、あたしたちが居るのは、魔道具屋さん。目の前に居るのは、店長のコキヒさん。赤毛のホビットさんですね。

コキヒさんが染料を作ると赤色に生るそうで、ときどき魔術師のシオンに染料作りを頼むんだとか。人によっては色にこだわるそうな。

「質問ですが、魔道具を作る時って、道具に書き込むだけですか?刻むとか定着させるようなことはしないのですか?」

「刻む?定着させる?どういうこった」

ホビットという小柄なかわいらしい種族なのに、口調はおっさんくさかったり。

「……そうですね」

あたしは近くにあった、水道(ではないケド、水が出ヤツ)用の道具に、筆で文字を書き込む。その後、魔術を唱えた。

『定着』

……よし。確かに文字は定着してる。なんかないと落ちない。

「これが定着です」

擦っても色が落ちないのをみて、二人は目を丸くする。

「定着って、そう言う意味だったのか……」

「た、確かにこれなら、何度もかけ直さずに済む……」

『消去』

……うん、これで定着させた文字も消えるか。

次にあたしは袋から針を出した。ーードラゴンって、かーなーり、高く売れたのよ。売ったのは肉の一部だけだったけど。

そのお金で趣味を兼ねた手芸用の道具を買いました。武器と防具については調整中。

あたしは針に硬化の魔術と刻むという魔術を掛けた。

その針で消去した文字の代わりに、同じ文字を刻む。

そして染料を刷り込む。

……うん。文字を書き込む時に魔力は消費したけど、刷り込む時は消費しないな。魔道具としての効果は、染料を刷り込んだ後から発揮しているようだ。

「こちらは、魔術語を刻む時に魔力を必用としますが、魔道具としての効果は染料を刷り込んだ後から発揮しています。このとき魔力は必用としませんから、もし、定着の効果が切れても、染料さえあれば誰でもその効果を発揮させる事が出来ます」

「……」

もはや何も言えないか……。

もういっこあんだけど。

最後にあたしは染料に糸を着けて染めた。定着もしっかりとさせる。そして持っていた布切れで手のひらサイズの巾着袋を作った。そこに今の糸で『容量拡張』と刺繍する。

……これも刺繍する間ずっと魔力が取られるか。まあ、水を出す魔道具を使い続けるくらいだから、魔術師なら大した影響はないな。

ふんふんふーん。

思わず鼻歌まで歌っちゃったよ。あー裁縫ってた・の・し・い。

完成した巾着は、容量大きなカバンくらいに抑えた。慣れるとここら辺も制御が効くね。

「これなら、普通に洗っても問題ないですし」

と出来上がった巾着を見せた。

「キキョウ……随分、器用なんだね……」

「あっという間にこんな魔道具、作っちまったかんな……」

そんな驚くことかね。まいいけど。

「どうでしょうか?」

お伺いをたててみた。

「凄すぎるわ!なんでこんなん思い付くんじゃ⁉」

「……わたしとしては、思い付かなかったことの方が不思議です」

「ぐぬぬぬぬ……」

「……あ、そうだ。キキョウも染料作ってみる?」

「やってみたいです!」

ということで、先ずは魔石作り。

『……魔石作成』

……シオンもコキヒさんも、髪と同じ色だったから、あたしは金茶もしくは目の色の紫になるかなって思ってました……。

これは……透明だな……。

「透明、ですね」

はあ、残念。これでは色が付かないから、染料としては使えないよ。

「……もしかして……」

「?」

シオンが何か思い付いたよう。魔石を砕いて、鍋に入れた。

「キキョウ、この染料に魔術語で色を言ってみて?」

「うん」

よくわからんけど……、ってひょっとして……。

『黒』

何となく黒羽の色を言ってみた。

……うん。染料、黒くなってるね。

「キキョウの魔石は、自由に色を変えれるってことだね」

そのようだな……。

いや、あたし規格外すぎ!

「いや、とにかく新しい技術には感謝する。ありがとさん」

「いえ、わたしも楽しかったです」

「それじゃまたね、店長」

「またきます」

あたしたちは挨拶をして店を出た。

今回、暦についての説明も入れました。

次回はやっぱり閑話で、服飾の話。


後の話で順序を間違えてしまいました。

すみません。

その為、風と水の順序が逆になります。

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