君にしか詠えないうた
鮮明な色を詠う
甘やあな味を詠う
軽やかに匂いを詠う
密やかな音を詠う
君にしか詠えないうた
誰にも届かないと
悲しまないで
誰かのマネだと
言われても
今の君にしか詠えない
その詩は時を超えて
必ず誰かに出会うのだから
懐かしさ
愛しさ
切なさ
残酷さ
不器用さ
すべてを孕んで
今の君にしか詠えないのだから
誰にも届かなくても
君に届く
未来の君に
ありし日の思い出とともに
詠おう
心の中を泳いで
詠おう
あらんかぎりの力で
その指で
その唇で
あふれるものを
止めることはない
大輪の花にならなくとも
はらりと舞う桜のように
散りゆけば咲き誇る
刹那の時を詠おう