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098 不動産

おはようございます。

台風十号接近してきておりますね。

皆さん十分お気を付けください。

「私はレオン様と一緒に学園へ行きます」


「私もレオ様と一緒が良いです」


「レオンハルト様とご一緒が良いのですが、私の場合は学年が違ってきますので、出来れば同じ学年で受けたいです」


「んー僕も折角学園に行けるんだったら行きたいかな?」


「・・・・冒険者の講義に興味はあるな・・・あと、地理的な事も」


「俺は楽しければどこでも良いぜっ!!」


 王城から戻った俺は、早速転移魔法でイリードへ向かっていたシャルロットたちと合流する。合流と言っても孤児院の子供たちにはバレない様、休憩の合間に声をかけた。


 アンネローゼは転移魔法の事は知っているが、子供たちは知らないので公にするわけにはいかない。ダーヴィトとエッダ、アニータそれに孤児院を手伝ってくれていたミュラーが現在子供たちの世話をしてくれている。


 シャルロットは最初から参加する予定なので、それ以外の者たちの意向を確認するとティアナとリリーは即答し、エルフィーは学年が下になる事を気にしていたが、編入したい気持ちはある様子。ヨハンは元々、勉学は好きな方なのでこの機会はとても嬉しいらしく。ユリアーヌは冒険者としての実技や座学に興味があるのだそうだ。クルトに関しては、基本的に楽しさ優先なので、座学は苦労しそうだがそれでも皆が行くと言うのであればついて来るだろう。


 エルフィーはレオンハルトより年齢が二つ下なので中等部になり、ヨハンとクルトは十四の年なので編入しても来年卒業となる。ユリアーヌに関しては、レオンハルトよりも二つ年上の為、編入しても半年ほどで卒業となってしまう。


 この辺りは、宰相と相談しなければいけないだろうが・・・。


 もしかしたら前世と同じく、高等部の決まりは十二歳からではあるが希望すれば十五歳からでも入れたりするかもしれない。前世の高等学校は高校受験に失敗した子供が翌年に入学すると言うのもあると聞いた事があるし、大人もかなり稀ではあるが入学したとニュースでやっていたのを思い出す。同じ考えであれば、エルフィー以外の全員が同学年での編入も可能と言う事だろう。


「わかった。皆編入でいいんだね。リーゼはどうする?」


「リーゼ?貴方も皆と一緒に編入試験を受けなさい」


 リーゼロッテが返答する前にアンネローゼが言葉を発する。リーゼロッテは貴族、それも伯爵の血を受け継ぐ者であり、その情報をつい最近までアンネローゼは隠していた。その為、貴族としての立ち振る舞いなどや知識については、他の者たちよりも劣ってしまっているので、この機会に修正しようとしているのだ。


 一方、当のリーゼロッテはと言うと、かなり嫌な表情を出していた。彼女は決して頭が悪いわけではなく、寧ろ良い方だろう。何が嫌かと言うと勉強をする事があまり好きではない様だ。孤児院時代も勉学はあったが、それはあくまで孤児院レベルの少し上の程度であって学園と比べるとかなりの差がある内容だ。


「一緒に行こっ!!リーゼちゃん」


「・・・そうね、シャルちゃんが行くなら、それに私も皆と一緒に居たいし」


 皆と言うが、どちらかと言うとレオンハルトとの意味の方が強かったりする。彼女も他の女の子がアピールし始めた事で、気持ちを自覚し彼を目で追う事が増えて来ていたのだ。


「そうだ。出来ればアニータも一緒に学園へ行かせてみたら?後は、希望する子供たちもお願いできないかしら?金銭面は此方で何とかするから」


 アンネローゼの提案とお願いを聞き、再び王都の屋敷に戻る事にした。当初の目的である孤児院の子供たち用の屋敷をまだ見繕っていないからだ。


 明日にはシャルロットたちもイリードに到着する予定なので、また夜にでも落ち合って子供たちの意向を聞き、その後宰相の下で打ち合わせをする事にした。


(編入試験の為の勉強を子供たちにさせないとな)


 王都に戻って直ぐフリードリヒを呼び、子供たちの教育が出来そうな人材を尋ねる。


「宜しければ、私の友人に元王立学園の講師をしていた者がおります。その者に声をかけてみるのはいかがでしょう?」


 学園の講師が居るのであれば、編入試験の対策に打って付けの人物である。そんな事を考えた時、ふと思い出した事があった。


 確かティアナたちは学園ではなく専属の講師から学んだと言っていた。つまり自宅学習と言う事だろう。実際にそれが可能であるのならば態々王立学園に行かなくてもよいのではと思ったが、恐らく宰相たちもその事は理解しているはず。


 その選択肢を選ばずに学園に通わせると言うのは別の何かも含まれていると考えた方が良さそうだ。昨日の陛下や宰相たちのとの話し合いで、この回答が出なかったのは少々考えが足りなかったと反省し、取り敢えずフリードリヒからその元講師の方へ連絡してもらうようにした。


 翌朝、身支度を整えるとエリーゼとラウラの二人を連れて土地や建物等の売買を生業にしているお店に行く。俗に言う不動産だ。今の屋敷は王国側が用意してくれたので、こう言うお店に行くのは初めての事になる。事前にフリードリヒに相談し、良さそうな不動産を教えてもらっているので、そこに向かった。


「いらっしゃいませ。初めての方ですよね。ようこそバートン商会へ」


 教えてもらったお店に入ると受付をしていた二十歳ぐらいの鮮やかな緑色の長い髪をゆるふわウェーブをした知的な雰囲気を出す眼鏡の美人女性が話しかけてきた。他にも受付の人がいるが皆同じ様に知的な美人女性ばかり。


「こちらへどうぞ。今回担当をさせて頂きます。エルヴィーラと申します」


 エルヴィーラに勧められて、彼女の前にある椅子に腰を掛ける。その後ろに控える様に立つエリーゼとラウラの二人。誰が見ても主人と使用人と分かる様にしている。


 今日来た目的を話す。


「どれくらいの規模で、立地要件、予算などは決まっていますか?」


「出来れば大きい屋敷がいいのですが、あと庭付きで・・・。立地は騒がしくても周りに迷惑が掛からない場所で、王立学園からもそんなに遠くない場所ですかね?中央区は避けてもらえますか。買うのは自分ですが、住むのは孤児たちですので」


 孤児院の子供を上級貴族や他の貴族たちが生活する環境に置いておくのは、貴族たちからの批判や子供たちへの何らかのやっかみを受ける可能性があるから、中央区にある屋敷は対象外にしなければいけない。


 貴族社会というのは、面倒な所で弊害をきたす厄介な社会だと思うが、この世界で生きていくには、それなりに受け入れなければ生きていくのは難しい。


 エルヴィーラは、聞き間違えたのかと思いレオンハルトの言葉を繰り返してくる。しかし、彼女が聞き間違えでないとわかると困惑した表情で尋ねてきた。


「その要件に該当する物件は、ほとんどありませんよ?」


「いくつかあると言う事ですか?」


 ほとんどないと言う事は、少なくとも一つはあると言う事になる。そうでなければ「該当する物件はありません」とはっきり言うはずだから。


「三件ほどですね。一つは二、三十人ぐらいが生活できる規模の屋敷です。庭は小さいですが裏には牧畜があります、ただ、まわりに他の屋敷やお店などが余りありませんので、買い物などが不便かと・・・・王立学園からも馬車で通わなければいけない程の距離にはなります」


 騒がしくしても周りに迷惑がかからないのは評価できるポイントだろうが、買い物が不便なのともし王立学園に通いたい孤児がいた場合の送り迎えに問題が生じる。


 悩んでいると、屋敷の間取りがかかれた羊皮紙を手渡される。部屋はかなりの数がある様だが、一部屋が小さかったり大きかったりする。元々は何だったのか尋ねると、前の持ち主の二代前の持ち主の頃は宿屋だったそうだ。その後次の持ち主が買取り、牧場経営の為に裏の敷地をも買い取ったそうだ。


 時は流れ、前の持ち主の時に宿屋から屋敷へと改修されたようだが、基礎はほぼ同じため屋敷でありながら宿屋の様な変わった造りになっている。


 次に見せてもらった羊皮紙は、ちゃんとした屋敷ではあったが、購入ではなく賃貸になるようで、此方は直ぐに諦めた。


「最後は、屋敷の規模は一軒目と同じぐらいです。庭もそれなりにありますし、使用人用の離れも存在しております。立地場所は王立学園からも徒歩で通える程の距離になります。周辺は貴族街ではなく商人や大きい商会などがあるので、やっかみは少ないかと思います。ただ、この屋敷は立地場所が良く屋敷の規模もそこそこ大きいので値段がかなりかかります」


 金額を尋ねると、確かに良い値が付いているようだ。取り敢えず、他に候補が無い以上一軒目と三軒目で考える必要があった。


 エルヴィーラに実際に屋敷を見る事が出来るか尋ねると問題ないそうなので、直ぐにその場所へ向かう事にした。


「大きいですねー」


 元宿屋を改修した屋敷なだけあって、通常の屋敷とは少し異なった形状の屋敷ではあるが、大きな宿屋だったのだろう。外観はとても大きく感じられた。


 一階の正面には階段と使用人の控室があり、入って右側に元々食堂だったのだろう場所をそのまま使用していた。反対側には客室と応接室があった。


 食堂の奥には厨房が設置されているようだが、その更に奥には倉庫があった。上階は四人部屋や二人部屋、個室とあり二階から四階までほぼ部屋ばかりだった。流石に各階にリビングの様な場所を設置していたが、やはり宿屋の面影を強く感じられる場所だった。


 金額的にも子供たちの事も考えるとかなり良い物件の感じもするが、それを差し引いても利便性が悪い。特に買い物がだ。数十人の子供の食事となると買い物に行くだけで大変だ。


(トイレは汲み取り式のもので、浴室は・・・・なし、外に井戸があったから、水汲みも必要なのか)


 取り敢えず保留と言う事で、三軒目の物件を見に行く事に。


 馬車を走らせること四半刻。やはり買い物には不便だと改めて思い知らされた。とは言っても実際は馬車で十分そこら走ったら最寄りの市場には辿り着いていた。


「ほーこれは中々」


 三軒目の屋敷は白壁の三階建ての屋敷となっていた。コの字型の屋敷造りの中央に花壇の跡地がある。壁も少しばかり汚れや(つた)等が壁を這っていたが、まあ何とかなるレベルの物。


 庭も申し分ない広さに屋敷の近くには二階建ての建物もあった。此方のデザインはシンプルではあるが、そこそこの大きさはあるようだ。


「どうぞ、中をご覧になってください」


 案内されるがまま、屋敷の中へ入る。装飾品は何もない為、殺風景ではあるものの広さ的には問題なさそう。一階に大広間や食堂、厨房、応接室に部屋が数部屋ある様で、二階部分も似た様な造りになっていた。食堂と厨房は流石にないが、代わりに中広間が二つあった。三階と二階の一部にそれぞれの部屋がある様で、部屋の広さも問題ない。


 トイレは汲み取り式ではあるが、浴室が備わっていたので、非常にありがたい。浴槽に入れる水汲みは屋敷の裏にある井戸から汲む様なので、入れるようにするには結構大変そうではあるが。


 屋敷の中を見回って、あれやこれと言った魔改造がレオンハルトの脳内を駆け巡る。


(やばい、トイレを我が家と同じく水洗にして、お風呂も檜風呂みたいに改造したいな。井戸水の方も色々手を入れたいし・・・・決めたッ!!)


「この屋敷を購入するよ」


「・・・え?」


 その場で、エルヴィーラに告げると、何を言っているのか理解できない様子で驚く。眼鏡がずれ落ちそうになっていたの定位置に戻し、もう一度訪ねてくる。


「あの、購入・・・ですか・・・?」


「そうだ。あ!?そう言えばこの屋敷の正式な金額を聞いていなかったね?いくらになる?」


 一応、此処の屋敷の価格は覚えてきていたようで答えてくれる。


「土地代も含めまして、き・・・金貨二百五十枚です」


いつも読んで頂きありがとうございます。

執筆活動が思う様に進まない為、五千文字程度しか毎週投稿できなくてすみません。

取り敢えず、大まかな流れは作っているのですが、何分時間が取れなくて・・・。


ボツボツ頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

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