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009 旅の醍醐味

 レカンテート村を出発してその日のうちに商業都市イリードへ到着。初めての旅と言う事もあり、空間魔法『短距離転移(ショートテレポート)』を使用せず向かう事にした。


 イリードに到着後は、旅に必要な物資を買い揃え、宿屋で一泊したのちに海隣都市ナルキーソに向かう事にした。イリードで冒険者登録しようかとも考えたが、如何せん冒険者になる前から色々やりすぎていた部分もあるため、ナルキーソ支部で登録しようと話し合いで決めたからまだ、冒険者になっていない。


 海隣都市ナルキーソ行きの馬車が丁度あったため、乗せてもらう事にしそれから既に四日も経つ。


 商業都市イリードから海隣都市ナルキーソまで、まっすぐ向かえば五日程度だそうだが、基本近くの村や集落に足を運びながら向かうので大体七日から九日ぐらいかかるのが一般的だ。


 魔物が多い道は迂回路を進んだり、日が暮れる前に近場の村などあればそこへ立ち寄る。難しい場合には野宿をするのがセオリー。


 極力魔物が出ない道を選んでいるそうだが、それでもチラホラ魔物は出てくる。魔物よりも盗賊の方が割かし出没していたが、それらの対応は雇っていた冒険者が始末したり、馬車利用の冒険者が対応したりしていたため、レオンハルトたちが出る幕はなかった。


 十歳の子供で冒険者でもない彼らが戦えるなど誰も思っていないのだろう。


 戦わない代わりに、雑用をさせてもらっている。


 馬車の持ち主である商人は、雑用をさせる奴隷なる人物を二人ほど連れていたが、日本人感覚の俺やシャルロットは、その環境がなかなか受け入れられず、手を貸したりしていた。


 リーゼロッテも奴隷に対しては特に思う事はないらしく。ただ、孤児院にいる頃から皆で協力する習慣を付けられているので、普通に手伝っていた。


 そう考えれば、奴隷も孤児院の子供も社会的立場は似た様な物なのかもしれない。まあリーゼロッテは孤児ではないけれど・・・。


 アルデレール王国を含む多くの国々では、奴隷制度を採用していた。貴族社会なので、当然と言えば当然なのだろうけど。


 基本的にアルデレール王国の奴隷は、一応人権があるようで、無碍に扱われることが少ないらしい。これは、手伝いをしている時に奴隷の人から聞いた。


 奴隷にも幾つかの種類がいるそうで、盗みなどの強盗、殺人などをした事で国に捕まり奴隷になった犯罪者奴隷。貧困生活からの脱出など一定水準の生活を手にしようとし、自ら奴隷になる労働者奴隷。借金や種族的差別などから奴隷にされてしまう一般奴隷。とあるそうだ。他にも愛玩奴隷等もいるそうだが、人権を逸脱するものは基本禁止されている。


 まあ、それを取り締まる機関がないから、陰では酷い扱いを受ける奴隷も少なくないそうだ。労働者奴隷が一番まともらしい事も教わったし、商人の連れの奴隷二人も労働者奴隷だそうで、衣食住をきちんとしてもらえているそうだ。


「この調子なら、あと三日、四日で到着するでー。ただ、今日はもうちょい先に行った所にある村に寄るけー」


 昼食を終えた後の話で、馬車で一刻から一刻半ほど進んだ先に村があるらしい。そこで、商人として仕事をするのとそこから先は四刻ほど進まないと人の居る集落がないそうなので、夜中の移動よりも早めの切り上げを選んだそうだ。


 夜の移動は危険が多く、こうやって安全に移動をしようとすれば、昼頃に移動を切り上げたりすることも多い。


「フランクのおっちゃん。その村はうまい酒あるんか?」


 馬車として利用していた冒険者の一人が商人に声をかける。


 フランクと呼ばれる中年の男がこの馬車の所有者で商人を生業にしている人だ。一般奴隷ではなく労働者奴隷を買うような人もあり、人当たりが良い男だ。


 うまい酒を求める二十代後半の男性モーリッツは、他の仲間のラルス、セアドと呼ばれる人たちと既に酒のつまみをどうするか話し合っていた。


 フランクと呼ばれる商人とモーリッツたち三人の冒険者は同じ村出身という事もあり、他の者たちよりフレンドリーに話をしていた。


 それから、二刻近くかかり村へ到着。道中に狼の群れに遭遇し、撃退した狼の血抜きや後処理などに少し時間を取られてしまって遅くなったのだ。


 村に着くと雇われていた冒険者や、モーリッツなど乗り合わせた者たちもそれぞれバラバラに散った。宿をとる者や買い物に向かう者など様々だ。フランクは宿を、奴隷たちは積み荷を降ろす作業をしていた。


 俺たちも村の人に宿の位置を教えてもらい宿屋へ向かった。


 二部屋確保するのが難し状況だったので、一部屋だけになってしまったが、今に始まった事でもないので気にしないようにした。


 暫くして村の中を散策すると人だかりになっている所を見つけた。


「フランクさん。これいくらだい?」 


「商人さん酒はあるかー酒っ」


「塩と砂糖をちょうだい」


「買取してねーだか?」


 如何やらフランク商人が商売を始めた事で、人が押し寄せたようだ。レカンテート村とは違いこの村では、頻回に商人が来ないのだろう。買い求める者が多かった。


「はいこれがお釣りや。塩と砂糖?塩はあるけど砂糖は品切れみたいや悪いな。肉系以外なら買い取ってるで」


 奴隷二人も忙しなく働いていた。


 夕食を食べに行くには早すぎるため、村の近くに森があると言う事なので、山菜取りと狩りに出かける。


 レカンテート村と違い頻回に狩りに出ていなかった様子で、収穫はかなりあった。ボアやゴブリンなどお馴染みから変わり種で言えば鹿や手長猿などもいたし、見知らぬ木の実なども多く取れた。


 日が暮れる前に村に戻ってくると、丁度フランクも店じまいをしていて声をかけてくる。


「おや?散歩にでも行ってたんか?」


 村の外から戻ってくる事に疑問を持ったのだろう。きちんと返事をすることにした。


「いえ。少し狩りに出ていまして、この周りは動植物がいっぱいで豊かですね。あっフランクさんちょっと見てもらえますか?」


 この人なら知っている可能性があるかもと言う思いで先程の木の実を取り出す。


 ある程度の知識は、学んだり恩恵のおかげで得ているのだが、すべてではない。知らない事も多いし、現に見知らぬ木の実が何なのか分からないからだ。取りあえず直感で害はないだろうと言う事ぐらいだ。魔法で調べても良いが、成分や名前が分かるぐらいなので調べていない。


「ああ。これは――ドロロギやね。もう少し北へ行った先に生えとる実でな。そのままでは食べれんけど、火を通して中の水分を全部飛ばせば食べれるようになるよ」


 実の水分がなくなる事で甘味を持つらしく、そのまま食べても味がない上に水分でお腹を下す代物だそうだ。何というかすごいファンタジー食材だ。


 しかも水分がなくなるとパサパサになるのではなく。ドロッっとする事からドロロギという名前が付いたそうだ。


 誘発的に下痢にさせてしまうある意味では毒の分類に入るのだそうだが、食中毒などの時に薬として用いる事もあるようで、そこそこ良い値で売れるそうだ。


 確かに毒にも薬にもなるのだけれど、正直食べようとは思わなかったので、フランクに買い取ってもらう事にした。


 夕食を食べた後は、各々魔力コントロールの練習をする。魔力コントロールを終えると次に素振りや型取りなどの修練をして寝る事にした。


 翌朝、荷物をまとめフランクの馬車に乗り込み、海隣都市ナルキーソに向けて出発する。


 馬車の中で武器を手入れする者や会談する者、仮眠をとる者などいたが、魔物どころか獣すら出てこず、順調に進んでいった。


 昼食を何処かで食べようと探していた時、馬車を引く馬が急に興奮状態になった。


 それに合わせて、馬車も止まる―――いや正確には、馬車を止めたと言う方が正しい。


「おっちゃんどうした!?」


 モーリッツたち冒険者は慌てて馬車から飛び降りる。大体こういう場面は、盗賊に周囲を囲まれた時にとる行動だった。


 俺たちもモーリッツたちに続いて馬車から飛び降りる。


 先程まで気が付かなかったが、微かに血生臭いを感じ取った。雇われた冒険者やモーリッツたちも感じ取ったようで、周囲を経過し始める。


 『範囲探索(エリアサーチ)』で俺たちの周囲を探っていくと街道を進んだ先で、他の商人たちが襲われているのが分かった。


「あそこです」


 俺の指さす方向に目を向けるとかなりの数の魔物に襲われる馬車の一団が目に入った。


 三台ある馬車のうち二台は、車輪などが壊され横転している。魔物に囲まれ前も後ろも進めない状態になった真ん中の馬車で、冒険者たちや他の者が必死に抵抗していた。


 死者もいるのか幾つかの場所で、魔物がそれを食い漁っていた。


 こちらのメンバーの誰一人として声を出さない。地獄絵図の様なそんな光景だ。


「ひ、引き返した方が・・・」


 護衛に雇われている冒険者の一人が、漸く声を出した。


 向こうの状況を考えれば、護衛の冒険者と言えどそんな弱気が出るのは当たり前だ。


 護衛の冒険者からすれば、戦えるのは護衛についている三人の冒険者と客として利用している冒険者の三人だけだ。たった六人で百を超える魔物の大群に挑む方が自殺行為である。


 力がない者は、力のある者に奪われるそんな世界。


 誰からも返事はなかったが、冒険者たちは皆非力な自分たちを悔やんでいる様なそんな表情だった。フランクや奴隷二人、客として利用している一般人たちはその光景を目の当たりにして恐怖に襲われていた。


「ア・・・アホ抜かせッ!!急いで助けに行くぞ。ラルス、セアド装備を整えろッ!!フランクのおっちゃんは、街道を引き返して身を潜めるんや」  


 モーリッツは果敢にも挑む決心をする。


 ゴブリンやバンタムオーク、ポイズンウルフにマインイーターなど厄介な魔物もちらほらいる。モーリッツたちも勝てる可能性が低いことは承知している。それでも助けようとするのは、きっと何か人知れず思いがあるのだろう。


 勝算があるとすれば、後衛の魔法使いが結界を張って持ちこたえている。その魔法使いが攻勢に出ればまだ勝機はあると踏んでいるのだろう。


 だが、レオンハルトたちは、その魔法使いももう少ししたら魔力切れを起こすのが理解できた。何せ張っている結界がどんどん弱くなっており、所々ひび割れ綻びが出ているからだ。


 時間の猶予はない。


 すでに馬車に戻り準備を終えた三人は、飛び出すように馬車を降りる。


 馬車に乗り込もうとしたモーリッツたちは、その何かに驚き尻もちをついていたが、今はそれを気にする猶予すら惜しい。


 茫然としていたフランクたちの脇を身体強化魔法で高めたレオンハルトたちが、突風の様に過ぎ去る。


「え?」


 驚きのあまり変な声を上げる他の者たち。


「あ、あの子たち何をしているの!?」


「おい。今ガキどもが飛び出さなかったか!?」


 慌てたモーリッツがフランクたちの位置に戻ってくる。だが、そんな事彼らは気にしていなかった。


 身体強化魔法で、能力を底上げし魔物の群れへと攻撃を仕掛ける。


 レオンハルトが、一番手前のゴブリンの首を一瞬にして切り落とす。尽かさず二体目、三体目と流れるように斬り、四体目を斬る頃にリーゼロッテも持っている剣を抜きゴブリンを斬り付けた。


 シャルロットも走りながら弓を構える。魔法で矢を作り、その矢を射抜く。射抜かれた矢は、放つと同時に十本近く分かれ、それぞれ後頭部や背中、首などに命中する。


 リーゼロッテの倒し損ねた魔物も矢で頭部を貫かれ絶命する。普通の矢を使用しないのは、数で押し負けてしまうのが分かっているからだ。魔法が利きにくい場合や魔力を察知されたくない。温存しておくなどの理由がある時は、普通の矢を使用するが、今回の様に百を超える魔物で一本一本射抜いていたら時間がかかってしまう。


「『ダブルスラッシュ』が利かないっ!!」


 目の前にいるオークに刃が通らない事に驚くリーゼロッテ。オークの脂肪は弾力が高く、並みの攻撃は押し返されてしまう。


 剣が駄目なら魔法でと考えたリーゼロッテは、無詠唱で『火球(ファイアーボール)』を叩き込む。『火球(ファイヤーボール)』でもオークの肉壁にダメージを与える事が出来なかったが、これはあくまで目くらまし、本命の攻撃をするために剣を強く握りしめ、高く跳躍する。


「これでぇーーーー終わりよーーー」


 突き立てた剣は、オークの眼球に突き刺さりそのまま脳まで串刺しにした。


 強者を倒し、少し喜ぶリーゼロッテ。そのすぐあとレオンハルトからの指示で、魔法使いの元へ向かう。


「シャルっ。リーゼと一緒に馬車の所へ。急げ、到着次第シャルは治療を。リーゼは、炎の壁で敵を食い止めろっ!!」


 レオンハルトの掛け声とともに馬車の所で結界を張っていた魔法使いの魔力が尽きた。それと同時にガラスが割れるような甲高い音を立てて結界が崩壊する。


 時間がない。攻撃速度を更に上げる。ゴブリンやバンタムオークの使う武器も使いながら次々に殲滅する。


 漸くモーリッツたち冒険者も加わってくれたが、それでも数の暴力に押し負けそうになる。


 シャルロットは、風属性魔法『飛行(フライ)』で、一気に中央へ。リーゼロッテは、身体強化魔法を生かすように少し大きめの魔物を足場に跳躍してたどり着いた。


 魔法使いは魔力欠乏症で地面に倒れており、他の冒険者は剣や盾で魔物を止めようと奮闘していた。しかし、一対八みたいな構造で、魔物の攻撃を防げず、串刺しにされたり、かみ殺されたりしていた。


 必死で治癒魔法をかけている女の子もいたが、回復する速度よりも怪我人の速度の方が上回っており、風前の灯火だった。


 風の魔法で周囲の魔物を吹き飛ばし、その隙に火属性魔法『(ファイヤー)(ウォール)』を発動させた。先程の結界とは異なり、攻撃を完全に無効化できないが、炎の壁に触れれば自分自身も焼かれるので迂闊に襲い掛かってこない。中には火だるまになりながら突撃してくる魔物もいたが、悶え苦しんでいる隙に冒険者たちが止めを刺していた。


 レオンハルトも剣技や体技だけでは、捌き切れず無詠唱で『火球(ファイヤーボール)』や『水弾(アクアショット)』などの魔法も交えて戦う。


 モーリッツたち冒険者の方へ魔物が押し寄せる光景を見て、斬撃を飛ばす。


 神明紅焔流剣術『斬空翔破(ざんくうしょうは)』本来の技であれば、斬撃を飛ばす事は出来ない。元々は剣速で、剣の軌道より少し離れた所も斬る事が出来る技なのだが、こっちの魔法と組み合わせる事でかまいたちの様な斬撃を飛ばせる事が出来るのだ。


 数匹のポイズンウルフの首を跳ね飛ばしたが、流石に奥にいるオークまでは斬撃が飛ばなかった。


 『短距離転移(ショートテレポート)』でオークの背後に飛び、リーゼロッテでは斬る事さえできなかったその肉体に無数の剣閃を走らせる。刀を鞘に納めた瞬間には、オークは巨大な肉塊に変貌していた。


 一方、シャルロットたちはリーゼロッテが到着次第『(ファイヤー)(ウォール)』を張ってくれたおかげで、重症者を集める事に成功する。


 白い修道女(シスター)の格好をしたアニータよりも幼い女の子が、必死で治癒魔法『治癒(ヒール)』をかけていた。


 可愛らしい容姿に似つかわしくない返り血が服や顔、髪の毛にたくさんついている。


 シャルロットはその女の子に近寄り、治癒魔法の手伝いを申しでる。


「聖魔法をお使いになられるのですか?」


(聖魔法?・・・あっ!!そっか。治癒魔法って聖魔法に分類されるんだったっけ)


 シャルロットたち仲間内では、わざわざ聖魔法を使うとかそういった言葉は使用しない。一般的にも使用しないだろうが、司教や司祭などでは聖魔法ときちんと呼んでいるのだ。そのため一瞬何のことかわからず間が開いてしまったが、きちんと答える。


「あの、よろしくお願いします」


 緊張でもしているのか、ちょっと控えめにお願いしてくる。見習いなのかとも思ってしまったが、彼女の手掛ける治癒魔法を見て改める。口から大量の血を吐いて、心臓横の辺りと腹部に剣か槍で貫かれた後に、ポイズンウルフに噛まれて肉が抉られた右腕と左足、どちらもポイズンウルフの持つ毒に侵されているようで紫色に変色していた。他にも顔や身体中に切り傷があり、正直助かる見込みが薄い状態の人を治癒魔法『中級治癒(ハイヒール)』と『解毒(キュアポイズン)』を併用して掛けていた。


 その才能に驚きつつ、同じく危険な人を見つけて治癒魔法をかける。その女の子とは別の意味で力を発揮させる。


 全快近くになる程治癒を掛けるのではなく。中度程度になったら治癒を辞め、レオンハルト特製の水薬(ポーション)を患部にかける。そうシャルロットの選んだ手段は治癒魔法と水薬(ポーション)の使い分けに効率治療だ。


 治療をする女の子は、シャルロットの手際の良さに驚きを隠せない。今も大腿部の骨折を他の人に水薬(ポーション)をかけてもらいながら、骨を正常な位置に直し、太めの枝数本と折れた足を固定するように布を巻きつけている。最後に水薬(ポーション)をその患者に飲ませる。


 お互いがお互いの技術に感心しながら治療を施していく。


 炎の向こうではまだ激しい戦いが繰り広げられているのだろう。援軍に来てくれた彼女たちの中に名のある冒険者もいるのだと勘違いをしながら魔法をかけていると炎の向こうから大人二人ほどが、此方へ飛んでくる。


 二人のうち一人は、急ぐほどの怪我ではないが、もう一人は瀕死の重傷だ。今手を離す事が出来ず困っていると、どっからともなく水薬(ポーション)が飛んできて、重症者にあたり瓶が割れる。中に入っていた水薬(ポーション)が患部にかかり僅かな時間を延長させる。


 彼女は見向きもせずに、水薬(ポーション)を投げたのであろう。荒療治も良い所だが、その判断の速さは尊敬に値できる。


 彼女とは別方向から水薬(ポーション)が二瓶ほど飛んできて、先程と同じように掛ける。


 炎の向こう側から投げ入れられたそれは、彼女と同じようにする人物がいると言う事だろう。


 残りの魔力も少ないけれど、このまま頑張れば、此処から戦死者を出さなくて済む。最後の力で振ら着く身体を起こし、治癒を求める者の所へ向かう。


 戦闘開始から既に半刻近くが経過した。魔物の数も残りわずかになってきたが、戦える者はレオンハルトを除き残り二人しか残っていない。モーリッツともう一人、護衛で雇われている冒険者だ。


 ポイズンウルフに噛まれて朦朧としている様子で、ゴブリンに斬りかかっているが時間の問題だろう。その男を速やかに退場させる。当然物理的に炎の中に投げ入れる。


 これで、モーリッツと二人になる。敵はゴブリン八体、ポイズンウルフ三匹、オーク一体にバンタムオーク三体だ。


 残りの魔力量を二割強と言ったところ、流石に疲労も蓄積し始めて動きも鈍くなり出している。普段であれば此処まで疲労はしないが、血の匂いが充満しているこの場所に外から次々と湧いて出てくるように魔物が増えて行った。二割削れば一割強増える感覚で周囲の魔物をほぼ狩りつくしたのではないかと思える量だ。


 もう一つは、オーガと呼ばれる三メートル近くある魔物が現れた事もある。過去に倒したギガントボアクラスのそれを倒すのにかなり手間取ってしまったのだ。


「リーゼ。魔法を解いて、残っている奴の殲滅に掛かるぞ。モーリッツさんももう一踏ん張りです」


 それぞれに声をかけ、残りの魔物の掃討戦を開始する。


 『(ファイヤー)(ウォール)』が解かれると、リーゼロッテも剣を持ち近くの魔物へ攻撃する。回復した冒険者たちも再度参戦してくれたことで、残りをあっと言う間に討伐する事が出来た。


 一息ついた所で、それぞれが歓喜の雄たけびを上げる。


 一応周囲に魔物がいないかの確認だけしようと『周囲探索(エリアサーチ)』を使う。


 幾つかの獣が血の匂いに誘われてやってきているが、この惨状を見て嗾けてくる様子は見られない。


「よう。お前さんかなり良い腕をしているな。助かったぜ」


 肩で息をし、全身傷だらけになりながらもこの戦いに最後まで残ったモーリッツ。倒した魔物は少ないにしても、大した精神力だとレオンハルトも彼を素直に認める。


「ダメっ!!」


 モーリッツと話をしている時に、泣きそうな声で叫ぶ少女がいた。白い修道女(シスター)服が半分以上真っ赤に染まっている。彼女はシャルロットと共に治癒魔法をかけて、死者を極力出ないように奮闘した一人だ。


 そんな彼女の前には、掃討戦で重傷を負った一人の冒険者が横たわっていた。


 一目見て分かる。


 ゴブリンたちに串刺しにされたのであろう。身体中に錆びた剣や朽ちてきそうな槍などが刺さっている。しかも、胸の所にも。


 心臓を一突きされていて、辛うじて生きている。そんなレベルだ。


「お、おい。セアド。セアドーー」


 モーリッツは、急いでその現場に駆け寄る。


「―――あぁ。――ッツへま、して」


 少女がしゃべらないように言っているが、魔力欠乏症になっているため、治癒魔法をかけようとしても魔法が発動しなかった。魔力欠乏症になれば、大体の者は、気を失ったりするのだが、彼女は気を失わないよう自分の唇を噛みその痛みと精神力で如何にか意識を保っていた。


 俺は咄嗟にリーゼロッテの元へ走る。彼女に持たせている魔法の袋の中に水薬(ポーション)の上位版、超濃縮水薬(上級ポーションもどき)と濃縮水薬(中級ポーションもどき)を各一個ずつ持たせてあるからだ。


 どちらも店で買えば、金貨五枚以上。上級に至っては金貨三十枚を超える代物だ。


 水薬(ポーション)作りの時に色々試して作り最後に全魔力を練り込んで作ったらどうなるのか実験した結果出来た代物だ。水薬の分類で回復量が上級水薬(上級ポーション)と差ほど変わらない物だが、全魔力量を消費したのに対し、出来上がったのは通常の水薬(ポーション)の十分の一程度だった。


 しかもそれは、二層に分かれていて上の層が濃縮版、下の層が超濃縮版であることがわかり、実質一本作るのに二十回同じことをするはめになり、完成してからはもう作らない事を決めていたお蔵入りの代物だ。


 その二本を受け取り次第、すぐに少女の元へ向かう。


「魔力が残っていないのであれば代わります。俺も治癒魔法は使えますので」


 そう言って、その少女と場所を代わってもらう。


(心臓に突き刺さったこれを抜いてしまったら、一気に出血する。しかし、治療しながら抜いていけば彼は助からない。となればやるべき事は一つ)


 濃縮水薬(中級ポーションもどき)をモーリッツに渡し、胸の剣を抜いたら飲ませてあげてほしいと伝える。


 胸の剣に手を掛ける。反対の手には超濃縮水薬(上級ポーションもどき)を何時でも使えるように準備し、手の平に魔力を集中させ、修復イメージを脳に叩きこむ。


 すべてがそろったタイミングで、素早く剣を抜く。(おびただ)しい量の血が胸から出てくる。素早く超濃縮水薬(上級ポーションもどき)を胸にかける。かけながら反対の手で胸を押さえ止血しながら、治癒魔法『中級治癒(ハイヒール)』を無詠唱で発動。モーリッツも剣を抜いたタイミングで渡した濃縮水薬(中級ポーションもどき)を飲ませている。半分以上が口からこぼれているが、少しでも飲んでくれれば効果が大きく変わってくる。


 胸の傷や心臓の形成は順調に進んだが、出血量が多い為危険を脱したわけではない『構造解析(スキャン)』『分析(アナライズ)』も同時使用で使い。血管修復や臓器修復を施す。


 このままでは間に合わない。血を失いすぎていつショック状態が起きても可笑しくない。超濃縮も濃縮もなくなり後は治癒魔法だけが頼りだ。


「だ・・・・ダメ、駄目です目を開けてください」


 少女が叫ぶ。


「大丈夫。彼が治してくれますよ」


 みんなを安心させるように現れたのはシャルロットだ。彼女は、すぐさま魔法の袋からある者を取り出す。針と魔物産のチューブもどき、それと水薬(ポーション)だ。


 チューブもどきは、植物系の魔物の蔦から採取したもので、伸縮性が良くあれに使うには非常に適した代物だ。一応安全かどうか確認もしているし、煮沸消毒等も済ませている。


 チューブと針をくっ付け、空気が入らないように糸できつく縛る。反対側をポーションの瓶口に合わせる。医療系の知識で作り上げた即席の点滴をセアドの腕の血管に刺す。


 失った血液を水薬(ポーション)で代用しようと言う事なのだ。医療系の知識の恩恵は、俺よりも彼女の方が多く持っていて、即席の点滴を幾つも作り上げていく。


 本当は輸血もしたいのだろうが、血液型がわからないので手を出せない。この辺の知識の恩恵はどちらにもなかったので、自分たちの血液のみ用意している。


 このあたりの話はリーゼロッテにもしていないので、俺とシャルロットの二人分だけだ。


 水薬(ポーション)の代用が効き始めたのか、血色が少し良くなってきた。胸の傷口と他の所の傷もほぼ修復が終わり、あとは安静にして覚醒するのを待つだけだ。


 落ち着いてきたのを確認してからは、治療をして回っていた少女も魔力欠乏症により、気を失った。


 応援に駆け付けたフランクたちに後片付けなどをお願いし、俺とシャルロット、リーゼロッテは新しい魔法の袋に今回倒した魔物の回収、および間引きをしに出掛けた。隙あらば襲おうとする猛獣たちの駆除だ。


 間引きから戻ってくると、片付けも大方済んでいたが、動ける人間が一同に固まって話し合っていた。


 俺たちは何の集まりなのか聞くために近くに寄った所。壊れた馬車の修復は出来そうになく、その中に入っていた商品をどうするか話し合っていた。この馬車の主人ラードルフは、結界を張っていた魔法使いと白い修道女(シスター)服の少女と同じ真ん中の馬車に乗っていたため、助かったそうだ。御者は真ん中にいた者と後方にいた一人が助かったが、前方を操っていた御者二名と後方の一名は亡くなってしまったそうだ。


 取りあえず、荷物は残りの一台に乗せ、余る分には魔法の袋に詰めて持って行くと言う事になった。亡くなった者は近くに埋葬する事が決まった。ただ、このあたりは血の匂いが漂っているので、掘り返される可能性もあるとの事で、場所を変えて埋葬するそうだ。


 亡くなった者の遺留品は、ラードルフの方から家族に渡してくれるらしい。冒険者は、所持している冒険者ギルドカードとネームタグを回収し、冒険者ギルドに渡すそうだ。カードはわかるが、ネームタグが何なのか分からないために、モーリッツに聞いてみた。


「ネームタグは、亡くなる直前の記憶だったり、残しておきたい内容を記録させるものだ。ある程度実力のある冒険者にはもらえるが、始めたばかりの初心者や実力不足の冒険者はもらえない代物だ」


 遺書みたいなものだろうか。名のある冒険者は、下手な貧乏貴族よりもお金を持っている様なので、そのあたりの財産相続とかも兼ねているのだろう。


 壊れた馬車は燃やし、二台で先に進むことにした。


 ただし、歩ける者は徒歩と言う形を取らざる負えない。馬車は、脚を失った者や目を覚まさない者たちが横になっているため、全員が乗れないのだ。


 日が暮れる頃に、丁度野宿をするには良さそうな丘を見つけ、それぞれ準備にかかった。


 夕食の頃には、三人程目を覚まし、食事も食べられそうだったので胃に優しいスープのみにしておいた。


 少女と魔法使いは、まだ目を覚まさない。馬車の中で寝かせておくのも申し訳ないので、女性のいる俺たちのテントに寝かせる事にした。夜の番に俺とモーリッツ、ラルス、他にフランクの雇用した冒険者が一名とラードルフが雇用していた冒険者が二名、それぞれ一般のお客の男性に二名ずつを交代制でする事にした。


 女性もいるのになぜ此方のテントにと思ったのだけれど、一人は夫婦でもう一人は赤子を連れていた。それぞれにテントが割り当てられていたので、そこに彼女たちをお願いするのは気が引けたのであろう。


 結局、数匹の獣が出たぐらいで、これといって変わったことはなかった。夜の番の時に消費した水薬(ポーション)を追加で作る。道具も材料も魔法の袋に入れてあるので、作るのに支障はない。あるとすれば容器の方だろう。多少はストックを入れていたが、此方は大きな街に行った時に補充をしなければならない。


 遺体の埋葬と回収した魔物の分配は、彼女たちが目を覚ましてからする事になり、そのまま保留している。


 その日はそのまま野宿場所を動くことはせずに、それぞれが英気を養った。雇われ冒険者やあの戦いに恐怖したラードルフ側の一般人が、熱を出したりしていたからだ。恐らく精神的に答えたのであろう。


 それに馬も疲労が激しく、一度休ませる必要があった。


 俺たちも特にする事はなく。近くに山菜取りや薬草を探しに行き、体調不良者のための薬を作って飲ませたりした。フランクやラードルフたちからは、すごく感心された。その為か、食事の準備や夜の番からも外してもらえる。別にどちらもやっても良かったのだが、能力的に倒れたら困ると思われたのだろう。


 救出から二日目の朝、ゆっくり出来た事もあり、朝早くから朝食作りをする。


 昨日のうちに下準備だけ済ませていたので、焼いたり温めたりするだけで終わる。


 シャルロットも手伝いに起きてきて、それからすぐ後にリーゼロッテも起床する。


 三人で準備をしていると、テントから二人の声が聞こえ始める。


「おはようございます。お加減はどうですか?」


 シャルロットが状況説明に出てくれる。リーゼロッテには、二人が起きた事をフランクやラードルフに報告に行ってもらった。


 先にシャルロットが出てきて、身体を拭いて着替えて出てくるとの事で暫く待つことにした。戦闘時に付いた返り血は、シャルロットの魔法で綺麗にしてもらっているが、寝汗などが気になるのであろう。


 リーゼロッテも戻って来て朝食を食べてから、話し合いを始めたいと伝言を受けてきていた。


「先日はありがとうございます。そして今日までご迷惑をおかけしたことも申し訳ございません」


 少女がお礼と謝罪を口にし、後ろに控えていた女性は、少女が頭を下げた時に一緒に下げていた。立場的に少女の方が上なのだろう。


「いえ、自分たちも駆けつけるのが遅れ、救えなかった者も多くいました。此方こそすみません」


 お互いに謝罪の言い合いになりそうだったので、そのまま朝食へ招待する。


「そう言えば自己紹介がまだだったね。俺はレオンハルト。こっちの二人とは幼馴染でって幼馴染がわからないか、同じ村で過ごしてきた仲間だ」


 レオンハルトの自己紹介の流れで、シャルロットとリーゼロッテがそれぞれ自己紹介をする。シャルロットは当たり障りがない事を言っていたが、リーゼロッテは年齢や出身村の名前まで出していた。


 三人の自己紹介が終わると今度は少女が自己紹介を始めた。


(わたくし)はエルフィー・マリア・シュヴァイガートと申します。歳は皆様より二つ下になります。今は王都にある教会で修道女(シスター)見習いをしています。どうかよろしくお願いします」


 エルフィーと言う少女は、白兎の様な肌白さと可愛らしい容姿をしていて、あの時血塗れになりながら治療をしていた子と同一人物には見えない。幼いのに佇まいや堂々とした姿には、小さい頃から厳しい教育を受けてきたのであろう。


 瞳の色は澄み切った青空の様な薄い青色をしており、髪も瞳と同じ色をしていた。唯一、幼さを感じたのは、髪型であろう。薄い青色の髪をツインテールにしているので、幼い子供が大人ぶっているようにも思えて可愛らしかった。


「次は私だな。私はローザ。ローザ・フロシャウアー。王都にあるフロシャウアー男爵家の三女にあたるが、見ての通り冒険者をしている。ランクはF。今回はエルフィーお嬢様の護衛で同行させてもらっていたのだが、お嬢様ともども窮地をお救い頂き、感謝いたします」


 ローザと呼ばれる女性は、目つきは鋭くて話す前は少し怖い印象を持っていたが、話をしてみると固さはあるが優しそうな女性のようだ。


 それよりも気になる事がある。


「えぇっと貴族様なのですか?お嬢様って事はエルフィーさんも?」


 男爵家の彼女が年下の少女をお嬢様と呼ぶくらいなので、エルフィーも貴族なのだろう。それも男爵位よりも上の爵位の。


 その問いかけに少し困ったような表情をするエルフィー。隠さないといけないほどの立場の人なのか、それとも他に何かあるのだろうかなど考えていたら、エルフィーが口を開いた。


「レオンハルト様の推測通り、私も貴族の一員です。王都にあるシュヴァイガート伯爵家の次女になります。特に身分を隠している訳ではないのですが、爵位まで口にすると皆様、委縮してしまわれるので、レオンハルト様やシャルロット様、リーゼロッテ様に不快な思いをさせてしまうのではないかと思い、爵位を省かせていただきました。申し訳ございません」


 伯爵家。貴族社会では公爵位、侯爵位、辺境伯位、伯爵位、子爵位、男爵位、準男爵位、騎士爵位の順になっている。伯爵家は、陞爵する中では最高値に値する爵位だ。極稀に侯爵位になる者もいるが、それは例外だろう。


 それよりも様付けは困る。此方が様付けするならまだしも貴族が平民の俺たちに様付けは、周囲の人に示しが付かないのではないだろうか。


「エルフィー様、出来れば我々の事を呼ぶ時は様付けをしないでくださいませんか?」


「でしたら、私の事もエルフィー若しくはエルと呼んでいただければ・・・」


 結局、お互いに様付けをしないと言う事で話が付いた。


 その後、貴族に疎い俺たちにローザが、それぞれシュヴァイガート伯爵家の立ち位置、フロシャウアー男爵家の立ち位置を教えてもらった。


 フロシャウアー男爵家は、王都で主に文官たちの管理をする立ち位置についているようで、王都の内政などに多少詳しいそうだ。シュヴァイガート伯爵家は王都アルデレート東地区を統括していて国王陛下からの信頼も厚く、昔から王家とは深い関りがあるのだそうだ。エルフィーの祖父は、教会での地位も高く枢機卿として貢献している。言わば上級貴族家の一人なのだそうだ。


 本当に様付けしなくても良かったのだろうかと三人は悩む。


 朝食後は、フランクやアードルフ、モーリッツに他の冒険者たちも加わって、話し合いが設けられた。話し合いと言っても魔物からの戦利品の配分の話と亡くなった者の埋葬、埋葬後の御祈りをエルフィーに依頼する事だった。


 配分率は俺たちが半分近く貰う事になってしまった。そんなに配分率が高くても困るのだが、どうやら水薬(ポーション)の消費や戦闘における貢献を考えて半分になったそうだ。本当はもう少し配分したかったのだとモーリッツとアードルフが言っていたが、他の者も損害が大きいので、補填してあげたいとの事で残りの半分をそれぞれに割り当てたらしいのだ。


 埋葬は、土にそのまま埋めただけでは、いずれアンデットとして蘇るそうなので、火葬して埋めるか、土葬の後にきちんと清めるかしなければならない。それらも出来ない時は、魔物とかの死骸を持ち帰らない時に使用する専用の薬を使って溶かすようだ。レオンハルトも旅立つ時にイリードの街で腐敗促進液と言う物を購入している。あまり使う機会はないだろうが。


 今回は、土葬をすることにし、景色の良い高台の草原に魔法で穴を掘り、遺体を入れた後は皆で土をかぶせた。その後清めの祈りを行い。その場を出発する事にした。


 寝ていた者たちも全員目を覚ました事で、それぞれ手狭ではあるが馬車に乗って移動する事が出来た。


 馬車の中で、今回手にした報酬をどうするか三人で話し合う。


 討伐された数は、ゴブリン百三十二体、バンタムオーク五十三体、ポイズンウルフ三十七匹、マインイーター二十匹、ゴブリンの上位種デモンゴブリン四体、バンタムオークの上位種オーク八体、アーマードビートル十七匹、他にも間引きの時に倒した狼やハイエナの様な狂犬、ニシキヘビの様なサイズの蛇など数体だ。


 その半分を貰っても下手に売る事も出来ない。毎日少しずつ売るしかないが、それはそれで面倒だ。


 取りあえず、金銭も困っているわけではないので、魔法の袋に容量があるのであれば、急ぐ必要もないと言う結論になった。ゴブリンだけは適当なタイミングで売るらしい。


 あまり役に立たないから、さっさと売ってしまおうと言う事なのだろうか。


 予定よりも遅れているが、これも旅の醍醐味の一つだろうと考え、ガタガタと揺れお尻が痛いと思いながら、海隣都市ナルキーソに向かうのであった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


ハーレム予定なのに、未だに二人なので、そろそろ新メンバー?と思いきや分かれてしまいましたね。まぁ近々、新しいメンバーを入れるか考えていますので、今しばらく、このメンバーで我慢してやってください。

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