008 娯楽開発と旅立ち
ドワーフのトルベンと共に刀を作ってから四年余り経過する。
十歳になる俺たちは今森の中を散策していた。
「リーゼは左側を警戒、シャル後ろから追ってくるものが来ていないか注意しておいて」
レオンハルトは、リーゼロッテとは反対側を警戒しつつ、近くに落ちている小石を拾い。目標物の向こう側へと投げる。
物音に驚いたそれは、慌てて此方側に逃げてくるがそこにすかさず攻撃を入れる。緑色の肉体からは紫色の血を吹き出しながら上半身と下半身に分断される。
緑色の小柄な身体の魔物・・・・ゴブリンだ。何処の森にも生息しており、繁殖率が高く、人を誘拐しては食餌たり繁殖の道具の様に犯したりする厄介な魔物だ。対して強くはないが、集団で襲って来るのとその狡賢さから嫌われる代表の一種でもある。
そのゴブリンを現在レオンハルトとシャルロット、リーゼロッテが討伐をしている。
事の始まりは、三日前に孤児院の子供が、薬草の収穫中に襲われた事だ。運良くリーゼロッテが同伴していたため、襲ってきたゴブリンのうち半数の二体は迎撃に成功した。残りの半分は、出来損ないの弓で攻撃してきたこともあり、リーゼロッテとは他所なりと距離があったため討ち取れなかったのだ。
森に逃げたとの事で、翌日からレオンハルトたち三人に森の中の巡回を言い渡されるようになった。
四年前は、子供だけで森の中に入ることを禁じていたのだが、刀を手にしてからレオンハルトの実力はこれまで以上に強くなり、また他の面々もそれに追いつこうと力を付けて行った。
そして、三年前ぐらいから森での狩りをアンネローゼが認めた子供に限り許可するようになった。
今森に入れる実力を持つ者は、レオンハルトたち三人のみで時々、巡回しては鹿の類や猪の類を狩り食卓に貢献したりしている。
「この前は気にしなかったけれど、やけにゴブリンが多いわね」
ゴブリンの死骸を処理しながらリーゼロッテは訪ねてくる。
その言葉に同調するようにシャルロットも同じように言っていた。俺もその意見には同感する。確かにゴブリンの数が普段に比べて多い。今日だけで二十を超える数を討伐しているのだ。
この森にもゴブリンは数多くいるが、森の入り口付近に生息しようとする個体は少なかった。いや正確には、定期的にアンネローゼが間引いていたのだが、間引いてこの数は正直異常だ。
「まだ、近くに三・・・いや、四体いるな」
お馴染みとなりつつある探索魔法『範囲探索』で周囲を確認するレオンハルト。探索範囲内には、十を超えるゴブリンが確認されたが、これらを一掃したところで解決したとは言い難い。
それよりも気になる物体が幾つか確認できた事の方が、収穫としては大きい。
「他に、猛獣や中型の蟲系の魔物がいるな。この森では何れも確認した事がない種だな」
索敵魔法でゴブリンを観察すると猛獣や蟲系の魔物に追われているのが分かった。どうやら、この種に追われるように住処を離れ、森の入口周辺に出没しているのだろうと推測し始める。
ここから先は、多少の危険も含まれるが、残念なことにどちらの種も此方へ向かって来ていた。此処で引き返してしまえば、最悪レカンテート村近くに出てそのまま村を襲う可能性もありえる。
互いの顔を見て確認した後は、すぐさまそれに対処する事にした。
ゴブリンに猛獣、魔物数多く相手をするのに三人だけでは心許ない。接触するまでの間にあらゆる所に罠を仕掛ける。
「リーゼはあのあたりに隠れて合図をするまで、攻撃をするな。シャルは木の上から弓でゴブリンを攻撃してくれ。俺は、罠に誘いながら魔物を倒す」
それからすぐ後に森の奥から無数の足音が聞こえる。
足音が近づくにつれて、枝が折れる音や鳴き声、それに交えて異臭も漂い始める。血の匂いと獣臭だ。
―――――来たッ!!
ゴブリンが現れると同時に数本の矢がゴブリンの額めがけて飛翔する。
「グギャ!!」
次々に絶命するゴブリンを他所に別の物が姿を見せる。
吸い込まれる様な真っ黒い毛皮に鋭い牙と鋭利な詰めを立てて襲って来るブラックジャガー。
緑色に身体に三メートルを超える高さで鋭い鎌と身体の所々に鉄の様な鎧を纏っている蟷螂、アイアンマンティス。
ブラックジャガーやアイアンマンティスに向けて矢を放つが、ブラックジャガーはその鋭い感覚と俊敏さで避け、アイアンマンティスは当たっても跳ね返るほど脅威な硬さを持っていた。
シャルロットの攻撃が防がれるタイミングに合わせて隠れていた茂みから飛び出すレオンハルト。進行が止まると同時にアイアンマンティスの足を斬り付ける。
足の一本を斬り落とされた事で標的をその物に変更したアイアンマンティスは、鋭い鎌でその標的を連続で斬り付ける。巨体の上に中々の速さで繰り出す鎌は、周りの木々が半分抉られたり、地面を抉ったりしていた。
刀で弾いたりしつつ、懐に潜れるタイミングを見計らい潜れたらすぐさま別の足へ攻撃をする。名前の由来通り鉄の様に硬く今度は斬り落とす事が出来なかった。
レオンハルトがアイアンマンティスと戦っている頃、リーゼロッテはブラックジャガーを相手にするための合図を待っていた。
あるエリアを横切るその瞬間、手元の蔦を斬る。
蔦が斬られた事で、固定していた丸太がブラックジャガー数匹いる所へ振り子の様に襲う。
四匹いたブラックジャガーすべてに回避されてしまうが、それも計算通り。回避した先に本命の罠が幾つか仕掛けられているのだ。落とし穴に落ちた個体は、落とし穴の中にある木の枝を尖らせた即席の無数の槍に串刺しに、少し開けた所に回避した個体は、着地と同時にシャルロットが放った矢の餌食に。
他の二匹の内の一匹は、リーゼロッテが飛び出しその首を切り落とされた。
襲って来る個体が居なくなったことで、今度は追われていたゴブリンがリーゼロッテやシャルロットに牙を向けた。二人はすぐさまゴブリン討伐を始める。
周りの木々に被害をもたらしながら攻撃してくる鎌の一方を、鋭い剣閃で切り落とす。
そのまま休まず下腹部へ潜り込み、刀を突き立て腹を掻っ捌く。腹部を切り裂かれても尚攻撃してくるため、そのまま飛翔し背後からアイアンマンティスの首を横一閃にて斬り飛ばす。これで終わりかと思われた瞬間、残されたもう一方の鎌がレオンハルトを襲う。
―――――ッ!!
刀で受けるも空中で踏ん張る事が出来ず、そのまま吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされた先にある木の幹に背中から強打し、肺にある空気が一気に吐き出される。
「ガハッ!!」
最後の一撃を繰り出したアイアンマンティスの死骸はそのまま大きな音をたてて倒れる。昆虫は、頭部や心臓を穿ってもその後僅かにだが、身体を動かす事が出来る。レオンハルトはその僅かの隙をつかれ攻撃を受けてしまったのだ。
弱っている者は、この世界では直に的になってしまう。現にレオンハルトに忍び寄るゴブリンが一匹おり、未だ回復していないレオンハルトに襲い掛かろうとする。それに気が付いているが、背中を打った時に左肩も打ってしまい脱臼をしているのか左手が動かせない状況だ。右手に握られていた刀も衝撃で近くの地面に落としてしまっており、僅かに届かない状況だった。
「す、直ぐに―――」
シャルロットは、慌てて傍に寄ろうとしたが、ここでも大きなミスを犯してしまう。シャルロットの役目は、上から敵を牽制しつつ倒せる敵を倒す事だったが彼が攻撃を受け、今反撃のできる状態になくその上魔物に襲われそうになっている現状で、その役目を忘れ、レオンハルト同様に隙を作ってしまったのだ。
茂みに隠れていた黒い生物が、その隙を見逃す事はない。勢いよく飛び出し、木の上にいるシャルロットに標的を絞る。
「シャル!!ダメぇーー」
リーゼロッテの叫びで、正面を確認する。目前まで迫るブラックジャガーを見て置かれている状況を把握するが、突然の事で対応できない。辛うじて持っている矢を前に突き出そうとするぐらいだが、それではうまく突き刺さっても倒す事は出来ない。鋭い牙で噛みつかれ、その勢いのまま木から落下し、なすすべもないまま喰い殺される。そんな未来が予想できた。
それは、レオンハルトも同様だった。
シャルロットを唯一救える手、距離から考えて剣や刀では意味がなく。魔法も発動から当たるまでの時間が少し足りない。残された手を可能な限り考える。
そして、一つの答えを導き出す。
最近、組み上がったばかりの試作品。
試しすらしていない現状で、何が起こるか分からないが、可能性としてはこれが最も高い。
腰にぶら下げている魔法の袋に手を入れ、それを取り出し構える。彼女を襲おうとしているブラックジャガーと彼女の間に狙いを定め、その試作品のトリガーに指をひっかけ迷うことなく引く。
試作品の先端から火を噴いた様な光とその物から発するには余りにも大きく鈍い音を出しそれを飛ばす。
水平二連散弾銃の様な構造を拳銃サイズにまでコンパクトにした試作銃だ。
散弾銃の様に広範囲に打ち出すものと違い、弾自体は一発しか出ない。その代わりに弾の大きさが少し大きい設計にしている。
ブラックジャガーの少し前を狙って撃ったのだが、着弾時には眼よりやや後ろ辺りにあたり頭部が吹き飛ばされた。
それを確認する暇もなく照準を目の前のゴブリンに向け、次弾を撃つ。
同じ様に大きな音をだし、その威力の強さからゴブリンは後方へ吹き飛ばされてしまった。
突然の音に驚いたのか、残りのゴブリンは森の方へと大急ぎで逃げていた。何匹かは、罠に引っ掛かり捕らえられたり、罠自体で命を落としていたが、それでも追い払う事に成功した。
一先ず、周囲の確認のため『範囲探索』を使ってみたが、敵らしい存在は逃げたゴブリンが離れていく以外見受けられなかった。
シャルロットとリーゼロッテが近くまでやってきたのだが、どちらも凄い剣幕だ。
シャルロットは、俺に対して。リーゼロッテは、俺とシャルロットに対して怒っている様子で、シャルロットが初めに俺に対して無茶をしてはいけないだの油断は禁物だの言っているが、それを上乗せするようにリーゼロッテもシャルロットに同じように注意していた。
練習時などは、いつも逆なのだがこういった戦闘では、主に俺が注意を受ける事が多い。
怪我の治療をしてもらった後は、倒したゴブリン、ブラックジャガー、アイアンマンティスの回収を行う。
そして、少し森の中に生えている野草や薬草を採取してから、レカンテート村へ戻った。
レカンテート村近くで、他の狩猟メンバーや採取組と合流した。
「あっ。レオンにぃーだー」
「シャルねぇちゃんもリーゼねぇちゃんも一緒だー」
森で狩りが出来る事から他の子供たちからすごく慕われるようになった。
ユリアーヌやクルトたちがいた頃は、それぞれが慕われていたが、皆孤児院を去ってから一気に此方へ慕うようになったのだ。
この四年と言う歳月で大きく変化したと言えば、自分たちより上の先輩方が皆卒業してしまったと言う事だろうか。
覚醒した時に面倒を見てくれていたブルーノは、孤児院を出た後、街に訪れていた商人オスカー・シュトライヒの伝手で別の商人の所で働いている。ギガントボア遭遇戦で子供たちを誘導していたもう一つの狩猟メンバー、オリバーとルーカスはそのまま冒険者の道に進み、ヘンリーは物作りが好きで鍛冶師の所へ弟子入りに行った。
仲が良かったユリアーヌは、最初の一年は近くの街で冒険者になり一人で活動していたが、ヨハンとクルトが孤児院を出た時に合流し、三人で冒険者として活動している。最近アンネローゼのもとに届いた手紙では、王都アルデレートの西方に位置する商業都市オルキデオを拠点として活動しているそうだ。
他の先輩方も基本、どこかで何らかの弟子に入ったか、従業員として雇ってもらったか、冒険者になったりしている。
そう言う俺たちも近いうちに孤児院を発とうと思っている。
「ねーねー。今日は何が捕れたの?」
最近、薬草と雑草の違いが判り始めたヤンと言う五歳の少年がこれ見よがしに聞いてくる。
それに釣られるように他の子供たちもレオンハルトたちが森でどんな収穫をしたのか楽しみにしているようで同じように聞いてくる。
流石に此処でアイアンマンティスやブラックジャガーを取り出すわけにもいかず、困っていると同じ狩猟メンバーの男の子がフォローに入ってくれた。
そして、孤児院に戻ってアンネローゼから許可がもらえれば見せてあげると約束をした。
ちなみに、男の子とは別の狩猟メンバーから、森の方から変な音が二回ほどあったけど、何かあったのかと心配されたが、そこは魔法による音だと誤魔化しておいた。彼らが作業をしていたところまでは聞こえていたようだが、流石にレカンテート村までは銃声は聞こえなかったようだ。
それと、水平二連銃の説明は孤児院に戻ってから詳しくすると二人に伝えておいた。
夕食を食べた後、シャルロットは後片付けのお手伝いに、リーゼロッテは広間で他の子供たちの相手をしていたため俺はそのまま自室へと戻る。個室ではなく四人部屋だが、生憎他の三人は稽古やお手伝いなどに出ているため一人で過ごしていた。
部屋のランタンに火を灯していない為、薄暗い部屋の窓から月明かりを見て、今日の戦いの反省をしていた。
(あの時防御系の魔法を使っていれば、危うい事態にはならなかったのだろうか?いや、そもそも魔物を倒した時に安心してしまった事が原因か。そう言えば、初めて技を覚えた時に爺さんに慢心するなと怒られてたっけな)
その時の事を思い出してしまい。笑みがこぼれる。
扉からノックする音が聞こえ、来客者が自身の名前を伝えてきた。俺は入室の許可を出したことで漸く扉が開く。自室や共有の食堂などの扉を開ける時は、そのまま開け閉めするが、他の部屋に用事がある時はこのようにノックをしたり、名前を言ったりしている。
このあたりの躾は、アンネローゼから耳に胼胝ができるぐらい聞かされているので、五歳以上の子供のほとんどは自然とできるようになっている。
「いらっしゃい」
部屋へ入室してくるシャルロットに軽く挨拶をし、真っ暗な状態だったので、部屋の二か所にあるランタンに火を灯す。
そのまま、テーブルの所へ招き椅子に腰かけてもらう。何もないのも申し訳ないので、魔法の袋からココナッツの様な実を取り出し、ナイフで綺麗にくりぬき、そこから液体をコップに移す。色はココナッツのそれとは大きく異なり茶色い濁った様な色をしているが、味はその色を連想させられる様なココア風味の液体だ。
以前、レカンテート村の商店で名前を教えてもらった時に、その名前に思わず笑いそうになってしまった。ココア風味のココナッツだから、ココアナッツと付けたのだろうかと思ってしまう。
だが、俺とシャルロットはこのココアナッツを好んで飲む。
現に、シャルロットはコップを受け取り、礼を言った後二口程、口を付けていた。
「早速、さっきの事なんだけど・・・・あれって、銃・・・だよね?警察官とかが持っている形状とは異なっていたけど」
コップをテーブルに置いたシャルロットが、真剣な表情で尋ねる。先程見せた水平二連銃、形状はともかくそれを銃と断言できるだけの知識は持っていたようだ。
前世の記憶と恩恵の知識から得ているのであろうが、流石に水平二連散弾銃についての知識は持っていないようだ。
「水平二連銃って言う銃だ。正確には水平二連散弾銃と言う物を少し改良したもので、警察官が持っている様なリボルバー何かとは違うけど、確かに銃だね」
銃自体隠すつもりはない。
シャルロットからは、何故そのような物があるのかしきりに尋ねられたが、これはあくまで保険だ。銃自体は如何やらこの世界にも存在しているらしい。
制作方法や構造の仕組みについては、すでに失われた技術のようで、現状銃と言う武器を使用している者はほんの一握りだそうだ。この辺りの話は、イリードにある博物館に展示していた古代聖遺物の説明文と館内の職員から聞いた話だ。
しかも、現状使用されている銃の種類は魔法銃と実弾銃とあり、九対一の割合で、魔法銃を使用しているらしい。
まあ実弾の製法も失われている様なので、補充する事の出来ない実弾銃を主に使う者はないのだろう。恐らく実弾銃を使用している者も主ではなくサブ的な要素で、かつ古代遺跡などで大量に実弾を入手出来た者と推測している。
「どうやってその・・・水平、二連銃って銃を作ったの?」
これもネタ晴らしをしてしまえば、簡単な事だ。前世でミリタリーマニアの友人から銃の構造について聞いた事があるし、エアガンだが分解したりして何となく構造は知っている。まあ本物とエアガンでは、かなり違うと言えるのだが・・・・。
他にも神明紅焔流の門下生にそういった事に詳しい人がいたし、実際、闇市で試射させてもらった事もある。
あと挙げるとすれば、恩恵からの知識であろう。得た情報が膨大かつ不明な点もあり、制作に難航してしまったが・・・。
そのあたりも含めて説明をする。
真剣に聞いてくれてはいるが、話の半分近くは分からなかったそうだ。
水平二連銃はあくまで最初の試作品だ。目標は突撃銃や狙撃銃などの近代兵器である。これらの武器が出来ても大っぴらに使用はできないので、緊急事態や仲間内のみでの使用になるとは思うが。
銃とは別にシャルロットに見せておきたい物があり、それを取り出す。
「この箱は何?」
「開けてみて。きっと懐かしいと思うから」
シャルロットは、レオンハルトから手渡された木箱の蓋を徐に開ける。
「うわーっ。これってひょっとして」
木箱から出ていたのは、前世で言う所のレトロゲームだ。レトロゲームと言っても古いゲーム機などではなく。トランプやリバーシ、将棋などが入っていた。トランプの数字は此方の世界の文字に変更しているが、ハートやクラブなどのマークはそのまま使用させてもらっている。リバーシは、特に変更点はなく盤面の色が緑ではなく木目調なぐらいだ。将棋は少々変更点があり、桂馬や飛車等を此方の世界で使いやすい言葉に変更している。
晴れている時は外で遊べるが、雨天の時はどうしても学問かお手伝い。あとはお話ぐらいしか楽しむ物がないので、暇な時にちょこちょこ作っていたのだ。
本当はもう少し早く完成させたかったが、一つ一つ手作業で作っていたし、遊び方のルールブック的な事も書いたりしていたので、思いのほか時間がかかってしまった。
「子供でも遊べる物を残しておこうかと思ったのと、旅の馬車で暇な時にできるかと思って作ってみたんだ」
本当は、縄跳びやフラフープなどの道具も作りたかったが、適した材料が見つからなかったために断念した。
早速トランプを使って何かしようと言う事になり、二人で出来そうなスピードと言う遊び方で楽しむことにした。
大勢いれば、ババ抜きや神経衰弱、大富豪なんかも面白かったかもしれない。
勝負がついた合間等の会話で、他にどんな事をしていたのかなど、前世の話に花を咲かせる。
「私の時は、一輪車やボールなんかで遊んでいたわね」
「あー確かに一輪車の取り合いになった事あったな」
その他だとバドミントンや卵型の育成ゲームなどしていたそうだ。そう考えたら男の子の方がもっと違う遊びをたくさんしていた。カードゲームにモンスター育成ゲーム、ものさしをペンで飛ばしぶつけ合う変わった遊びまでしていた。消しゴムのカスで練りけしモドキまで作ったりしていたのだから、子供にとっては何でも遊ぶ道具になっていたのだ。
話をしながらトランプをしていると、他のルームメイトが戻ってきたり、リーゼロッテが部屋に訪ねてきたりして、そこからはなし崩しに使い方の説明などするはめになった。
最終的には、俺たちの部屋が何やら盛り上がっていると言う事で、他の部屋の子供たちも俺たちの部屋に尋ねに来て、収集がつかなくなりそうなので、食堂へと場所を移した。
シャルロットがトランプのルール説明を、俺はリバーシと将棋のルール説明を行い。食堂はいつも以上に賑わいを見せた。
「あら?何の騒ぎ?」
幼児たちを寝かしつけたアンネローゼやお世話担当だった他の年長組が食堂にやってくる。
新しい遊びを思いつき、作成したのでそれを皆で遊んでいる旨を伝える。
説明を聞き終えると、これは子供たちだけではなくて、大人たちも遊べそうねと少し楽しそうな表情を見せていた。
大人の娯楽と言えば、基本賭け事が一般的だ。腕っぷしだったり、酒の飲み対決だったりとそういった事の賭け事だ。あとは、貴族などになると珍しい物や魔物の剥製など自慢話をしたり、サロンや女遊びぐらいだろう。
説明を終えてからアンネローゼと将棋をした。トランプやリバーシと違い複雑かつ覚える事が多いので今すぐ子供たちが遊べる物ではなかった。
将棋を指している時にアンネローゼから将来の事を尋ねられる。以前にも聞かれた事があり冒険者になると伝えていたのだが、今回のこの件で他の仕事もある事を進めたいようだ。
「これだけの事を考え、作れるのだから危ない冒険者稼業よりも商人とかになった方が安全よ?他にも料理の技術も高いのだし、戦い方を教えるのも上手なのだからその道に・・」
「ありがとうございます。でも、今俺がしてみたい事は世界を見る事です。まだ見知らぬ場所での新たな発見や知識、技術など様々な物を身に着けてみたいですし、綺麗な景色や驚くような場所も見てみたい。それらを可能にできるのが冒険者だと思うので、アンネ先生の提案は冒険者稼業を引退する時に考えてみますね」
冒険者家業は、最も危険が高い。魔物から依頼人を守ったり、未知の遺跡探検で罠にかかり死んだりと年間での死亡率が上位に組み込まれる職種なのだから。
教え子がそういう死地に多いやられるのは、先生としてあまり好ましくないのだろう。出来れば手に職を付けて平和に暮らしてほしいと望んでいるのだ。
「先生。大丈夫です。彼が無茶しないように私も同行するつもりなので」
いつの間にか俺とアンネローゼの会話を聞いていたのか、シャルロットが会話に参加してくる。
シャルロットに続いて、リーゼロッテも会話に参加。彼女も今後どうするのか自分の母親に伝えていた。
レオンハルトとシャルロットに同伴する。彼女もまた一緒に冒険者になる道を選んだ一人なのだ。
「あなたの気持ちも知っていたから、もう何も言わないわ。やっぱり私たちの娘なのね」
アンネローゼは、リーゼロッテの頭をなで、将棋の勝負を投了し、他の子たちの元へ行った。
暫くして、アンネローゼからお開きするように言われ、皆渋々後片付けを行う。その時にアンネローゼからこの遊び道具をもう少し作る事が出来ないか尋ねられたので、旅立つ時までに用意する事を約束した。
~ひと月後~
旅立ちを明日に控えた夕方、何時もの様に午前中は狩りに出かけ、午後は子供たちの世話やお手伝い、稽古などを見て過ごした。今は、明日の出立の準備をしている。
五年近く過ごした部屋を片付け、孤児院に残しておく物は別に用意しているため、机の上には明日装備する武器や防具、服、魔法の袋などの小物しか置いていない状態だ。
シャルロットとリーゼロッテはすでに片づけ終わっているそうなので、俺の手伝いに部屋へ来ていた。
「これだけあれば、皆楽しめるよね?」
リーゼロッテの問いかけにレオンハルトとシャルロットは頷く。
孤児院に残しておく物・・・・それは、トランプや将棋など各種ゲームを始め、簡単に作った絵本などだ。それに他にも遊べるよう簡易ボーリングや輪投げなども作っている。工作系は主にレオンハルトが作り、ぬいぐるみや絵本などはシャルロットが作った。
どれもこれも一から作ろうとしたら材料費が馬鹿にならないので、ちょっとした裏技で資金集めをした。
森の奥地まで足を運んで、ゴブリンを倒して回ったり、森とは別の場所に足を運び、アイアンマンティスやキリングベア、ハンターウルフなど少し厄介な獣や魔物を倒してそれをイリードの街の冒険者ギルドで売って資金を得ていた。
強めや少し高価な獲物を狩る事も裏技なのだが、二年ほど前に習得した空間魔法『短距離転移』で楽にイリードまで行けるようになったのだ。まあこの魔法は良い点ばかりではなく、使いにくい事もある。消費する魔力が高い事や一回の移動が可能な距離が馬車でニ刻程度な為、イリードに行くのに何回か使用しないといけないのだ。使えるのは、俺とシャルロットの二人だけなので、行きと帰りを別々に担当している。
そうして、稼いだお金で、材料となる布や裁縫道具を買い、安い羊皮紙やその他もろもろ買い込んだのだ。
ちなみに絵本は、羊皮紙ではなく、和紙を作りそれに絵や文字を書いている。和紙と言うか和紙モドキだ。原材料になる木の皮の裏の部分など繊維の多い所を使用し、オリジナルで作成した。
探せば、きっと和紙の様な物もあるのだろうが、紙自体が結構このあたりでは高いので、作る事にしたのだ。普通に作れば色々な道具や多少時間がかかる工程をしなければならないが、それは魔法で如何にか調整した。乾燥させたり蒸したり、細かくしたりなど魔法を器用に使えば非常に便利だと実感できた。繊維たっぷりの水に、のりみたいな乾燥すれば硬くなる樹液を混ぜ、木枠にかなり目の小さい金網ですくい作った代物だ。
一応破れにくくするために魔法で少しコーティングもしている。これはトランプや簡易ボーリングなどの遊び道具にも施している処置だ。
ただ、絵本の内容が前世の浦島太郎や桃太郎などを少しアレンジした物から、イリードの図書館で呼んだ勇者物語を簡略化した物がほとんどだ。
大人たちには、別で魔物や獣の肉、山で捕れた山菜、川で釣った魚などを入れた魔法の袋とレシピを書いた紙の束を用意している。
過剰とも思える置き土産だが、正直食卓に並ぶ肉類のほとんどをこの三人が狩りに出て仕留めた物なので、居なくなってしまえばまた昔の様に質素な物になってしまうのだ。
ある程度、質素の経験もある一歳から二歳下の子供たちは我慢できるだろうが、レオンハルトたちが狩りを始めた頃から物事を覚え始めた子供たちには少しつらい現状になる。まだ、昔狩ったギガントボアの肉も残っているそうなので、最終的にはそこに手を出すだろうが、それでも後輩たちが困るのは少し避けたかった。
「ルール本は、二冊だけでよかったのよね?」
遊び道具を確認していたリーゼロッテが、二冊の本を持って尋ねてくる。
「二冊で十分だと思う。一応中を確認して抜けていないかチェックしてくれないか?」
ルール本の中には、トランプの遊び方法を載せている。皆で遊んでいたババ抜きや神経衰弱、大富豪などは必要ないかもしれないが、まだ遊んだ事のない遊びポーカーやダウト、七並べにブラックジャックなどは遊び方を記している。アンネローゼたち大人には、一通り教えているので、分からなければ大人に聞くだろう。
もう少ししたら、夕食の時間なのだろうか、食堂から食欲をそそられる匂いがしてくる。
準備する物も一通り終え、アンネローゼに渡す魔法の袋以外の遊び道具などを箱に入れて食堂へ向かった。
夕食前に持って降りたため、他の子供たちは食事中かなりソワソワしていた。これは、食後に持って降りた方が良かったかなと後悔してしまうぐらいに。
俺たちにとっては、此処での最後の食事との事でメニューもかなり豪華な物になっている。割と騒がしい食事の時間だが、それよりも更に騒いでいる。アンネローゼも特に叱る様子もないので、今日は無礼講という事なのであろう。
夕食の話題に、何処の街に行くのか他の狩猟メンバーに尋ねられ、そういえば目的地を決めていなかったと慌てて考える。一応、まず交易都市イリードに向かいそこから他の街へ移動する馬車に乗せてもらうのだが、どうするか考えていると。
「プリモーロなんてどうかな?結構布製品で有名だから、良い布なんかが手に入るかもしれないし」
交易都市イリードから西の方角へ進んだ所にある商業都市プリモーロ。リーゼロッテの言う通り、色々な製品が並び、お店もイリード以上にあると言われていて、地域柄布が盛んな街でもある。やや砂漠に近い事もあり暑さもあり、水がかなり貴重な物として扱われてもいる。
ユリアーヌたちが今の拠点である商業都市オルキデオに行く前は商業都市プリモーロを拠点にしていた場所でもある。
どんな街なのかは、ユリアーヌたちからの手紙で呼んだこともあるし、アンネローゼの知り合いもいるようなので、もしもの時は力になってくれるそうだ。
気になる街の一つでもあるが、いきなり力を借りるのはどうかとも思う。
「私はプリモーロとは逆になるけど、北東にあるナルキーソに行ってみたいな。海隣都市って言われるぐらい海に近いから海産物もたくさん手に入るよ」
シャルロットの提案も非常に魅力的な物だ。海隣都市ナルキーソ、海の近くに街を作っていて外国からの輸入もあるようだ。また、街全体に水路があり別名、水の都と呼ばれるぐらい綺麗な都市だそうだ。
海産物は、布製品同様に魅力的な物を感じる。いや、布よりも下手したら魅力的かもしれない。
料理の味付けに、鰹だしみたいなこともできるかもしれない上、本格的な魚料理も食べたくなってきたからだ。レカンテート村でも川があるため川魚は食べるが、海までは距離があり、新鮮な魚もこの村までは運ばれてこない。だから、食べたいと思ってしまったら無性に食べたくなるのだ。
結局、最初の行き先は海隣都市ナルキーソに決まった。海が見たいと言うリーゼロッテに魚料理に飢えるレオンハルト。魚を使ったレパートリーを増やしたいシャルロット。目的は違えど、やりたいことが見つかった三人は現地に着いたらどうするか話し合う。
「あら?行先はナルキーソにしたのね。懐かしいわ」
話し合いに入って来るアンネローゼ。娘が心配なのだろうナルキーソがどんな所なのか話をしてくれた。
街並みは、行けば分かるが想像を絶する美しさがあるそうだ。変わった食材も多く食べる事にも飽きない上に外国からの輸入も多い為、色々な物が手に入るそうだ。ただ、陸路の盗賊以外に海には海賊と呼ばれる賊がいるそうなので、港では注意するように言われた。
昔は時々出ていたそうだが、今は保安もしっかりしているから大丈夫だとは思うけど・・・と補足も教えてくれた。
「あとは、海の魔物は厄介よ。海上での戦闘しかできないから、海中に引き込まれたら不利になるし、魔物は海中から攻撃してくるから迎撃しにくいしね」
攻撃手段を持ってから、海の魔物に挑んだ方が良いと教えてもらった。魔法も中には効力を落とすので、きちんと検証する必要がある。
「そう言えば、海賊と戦っている時に海竜種とも戦闘になったのがナルキーソだったわね」
その言葉を聞いて、三人は驚きを隠せなかった。
海竜種、竜種の一種と言われる存在で、その力は超一流の実力者が束になって漸くスタートラインに立てる、それぐらい驚異的な力を持つ分類だ。
分類は、他の生物にもきちんと割り振られている。子供たちでも捕まえる技術があれば捕らえられるようなフェザーラビットなどは獣と分類されている。獣でもある程度ランク分けされているが、それでも一般人でも対応できる物ばかりだ。獣の上が猛獣と分類される生物だ。ブラックジャガーやキリングベアなどは猛獣に分類されている。ゴブリンやギガントボア、アイアンマンティスなどは魔物と言う位置づけで、魔物の下位の生物と猛獣の上位の生物では猛獣の方が強かったりするので、そのあたりの判断がわかり難い物がある。そして、魔物の更に上に分類されるのが、ケルベロスやヒュドラと言った一流の冒険者が束になって戦う様な魔獣がいる。魔獣より上に位置するのが幻獣と呼ばれる竜種や不死鳥などの生物だ。
一応、その上にこの世界の頂点に君臨する鳳凰や麒麟などの神獣がいるが、神獣に関しては存在しているかどうか確認されていない。古い書物には、何度か姿を現した記録があるが、ここ数百年は記録にも存在していないので、一種の伝説の存在として語り継がれている。
まあ、この中で一番線引きをしやすいのは、猛獣と魔物の境目だろう。魔物や魔獣には、魔核と呼ばれる魔晶石がある。獣や猛獣にはこの魔晶石は、無いので倒せればどちらに分類するのか知る事が出来る。
幻獣には、魔晶石があるかは不明だ。ここ最近倒した報告は上がっていないし、記録には幻魔晶石なる物が捕れたと記録もあるが、ただの魔晶石だったとも書かれた記述もあるため、詳細は不明だ。
そして、先程アンネローゼの話であった海竜種は、竜種の一種いわば幻獣に分類されるのだ。
詳しく話を聞いたところ、海竜種が現れたのは予定外だったそうで、当時海で大暴れしていた海賊一味の討伐依頼を受け、戦闘している時に突如海が荒れ、天候も悪くなり始めたそうだ。すると海賊船の一つが尻尾の様な物で粉砕してしまったらしい。
一瞬何が起こったのか分からず、討伐に向かった冒険者や討伐対象の海賊は船の上で固まってしまった。
船の上にいるにもかかわらず、足場がガタガタと振動したと思ったら、すぐ横から海竜が姿を現したそうだ。
それが竜種だと言う事はすぐに分かったそうだ。結局、三つ巴状態になってしまい。多くの被害を出してしまったらしい。
後で調べて分かったそうなのだが、その竜の正体は海竜種の中でも下級にあたる存在でナガルアス・リードラって種類だったそうだ。当時名のある冒険者チームだったが、それでも下級相手に手も足も出ないほど力の差があったのだと言う。
海賊は全滅。冒険者チームもその戦いで半分近くが命を落とし、命を落とした仲間の子供を引き取って世話を始めたのが、孤児院を経営するきっかけになったのだと教えてもらった。
リーゼロッテの父親もその時の傷が元で数年後に亡くなったそうだ。
この話はリーゼロッテも初めて聞く内容だったようで、目からは大量の涙を流していた。
あまりにも過酷で残酷な話の内容だったが、アンネローゼはきっとこの内容を聞かせる事で、常に世界は危険と隣り合わせなのだと言う事を伝えたかったのかもしれない。
それと、我が娘が旅立つ前にきちんと真実を伝えておきたかったのだと思う。
リーゼロッテが落ち着いてから、今度はそれまで旅をしてきた話を聞く事が出来た。
まだ聞きたい事はたくさんあったが、あまり遅くなるのは良くないといつもの様に就寝時間を守り、それぞれが寝床へ向かった。
(もし、目の前に幻獣種が現れたら、俺は二人を守れるのか?)
横になっていても先程の話が、どうも気になり中々寝付けずにいた。最終的には日が変わり一刻ほど経過して漸くする事が出来たぐらいだ。
翌朝、見送りは必要ないと伝えていたのだが、アンネローゼとミュラー、それにシャルロットの妹のアニータ、ユリアーヌたちの後釜に選ばれた狩猟メンバーの二組が見送りのためアシュテル孤児院の入口に集っていた。
狩猟メンバーの子からは名残惜しそうに声をかけてきた。アニータは、シャルロットに抱き着いて泣いていた。お姉ちゃんっ子のため別れが寂しいのだろう。もう少しあのままで良いだろうと暖かい眼で見守る。
「ここを旅立つ子たち皆に言っているけど・・・・あなたたちが何処に旅立とうとも、私は此処にいるから何時でも戻って来て良いからね。貴方たちの家は、変わらず此処にあるから」
「ありがとうございます。落ち着いたら必ず手紙を出します」
「お母さんありがとう。また必ず帰って来るね」
「アンネ先生お世話になりました。アニータの事よろしくお願いします」
三人はアンネローゼと握手を交わし、最後の置き土産である魔法の袋を手渡す。
中身は、これまで集めた食料などが入っていると伝えると貴方たちが使いなさいと突き返そうとしてきたが、それは置き土産分として狩ってきた物だと伝え、強引に受け取ってもらう事にした。
魔法の袋は、自作品なのでそのまま孤児院に寄付する事も忘れずに伝えておく。
そうして、皆と別れを済まし、俺たちは海隣都市ナルキーソに向かうため、交易都市イリード行きの馬車に乗り込んだ。
みんな、姿が見えなくなるまで手を振ってくれ、今更ながらに三人とも何処か寂しい表情を浮かべていた。
「行っちゃったわね」
ミュラーの一言にアンネローゼは、ただただ返事をすることしかできなかった。
我が娘が旅立つのはこれ程までに辛いのだと初めて経験したからだ。
「アンネ先生、ミュラー先生。中に入って朝食の準備に行きましょう」
狩猟メンバーの最年長の一人に言われ、皆中に入り始める。
アンネローゼやミュラー、アニータも中に入ろうとするが、先程手渡された魔法の袋が気になり、アンネローゼはミュラーと共に中を確認した。
魔法の袋の中には、想像以上の素材が入っていた。ブラックジャガーやキリングベア、アイアンマンティスを始め一メートル程の普通の蜘蛛ビッグスパイダーに、キノコの魔物マッシュマン、赤い色の狐レッドフォックス、触れば相手を感電させてしまう鼠エレキラット、兎の魔物アルミラージ、人の姿をした鳥の魔物ハーピー、超大物だと魔物の中でも上のクラスに位置する巨鳥ロック鳥も数羽入れこまれていた。
相変わらず、底知れぬ実力のレオンハルトとシャルロットの二人が居ればリーゼロッテも大丈夫であろうと良く分からない安心感にも似た何かに納得するアンネローゼ。
後日、ロック鳥は村のみんなで美味しく頂いたと書かれた手紙を受け取ったレオンハルトだが、それはまだ先の話だ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
少し本業が忙しくてなかなか投稿できなかったこと深くお詫びいたします。
これからも投稿していこうと思いますので、どうか宜しくお願いします。