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072 バレンタインデー

おはようございまーす。

皆さんいよいよバレンタインデーですね。チョコをたくさんもらう人は羨ましいですねー。

私は、今年もないのだろうなー。

自分で買って食べるか(笑)


そういえば昔、漫画で自分でチョコレートケーキを作る物があったな。しかもウェディングケーキサイズの・・・東大浪人生の彼ですよ・・・彼。


とまあそんな話は置いといて、今回は少し少なめですが、良かったら是非読んで下さい。

「では、次の方をお呼びします」


 兵士の一人が仮設テントから出て次の面接に来た者を呼びに行く。レオンハルトは大きな溜息を吐くと同時に背もたれにもたれ掛る様に姿勢を崩した。


 クスリと笑うリリー。彼女もレオンハルトと一緒に面接を行っており、この何度目か分からない位行った面接の中でも平然とした態度で過ごしていた。リリーと同じようにイステル準男爵も平気な顔をしていた。魔法士のカミルはレオンハルト程だらけてはいないが、少し疲れた表情を見せていた。


「レオンハルト様。残り半分程でございます。頑張ってください」


 兵士が次の面接希望者を連れてくる前に、皆に飲み物を提供して回るエルフィー。


 あの日、新たに奴隷を増やすべく奴隷商の元へ向かおうとした俺たちに、王都にいる人たちが挙って押し寄せてきた。目的は単純に新しく新設された貴族家への雇用。それも新設されたばかりの貴族家は重鎮となる家臣が少ない為、初期段階に雇用されその実力を認められればかなり良い地位に席を置く事が出来るのだ。


 正門に集まる人々をヴァンフリート子爵と魔法士のカミルが、如何にか鎮めて平民や商家の者は帰らせた。数人の貴族が居ると言う事を紋章官であるイステル準男爵より教えてもらい、イステル準男爵と内務職員のアルノー、シャルロットと共に四人で急遽面接を行った。


 面倒だったのは婚約を結ぼうとやって来た数人の貴族たちで、結局の所アルノーが良いように話をまとめて縁談を断ってくれた。何でも、この様な状況の中で縁談の話を持ってくるのは少しばかり早急過ぎるのではないかと言う事で・・・。


 ただ、悪い事ばかりではなかった。最後に面接したドイブラー男爵家の五男パウロが、かなり優秀な執事候補だった。しかも男爵家の血筋ではあるが、母親が平民と言う事で認知はされておらず、貴族として扱われない立ち位置にいるそうだ。


 今回、誰かの紹介で面接に受けに来たわけではなく、自ら探し当てて此処に来ていた。認知されていないとしても男爵家の血を引く者。無碍にも出来ず最後にこっそりイステル準男爵の指示で面接したのだ。筆頭執事として雇用するには彼はまだ早い所だが、筆頭執事を補佐する役は十分熟してくれそうであった。


「ドイブラー男爵家は、アルデレール王国の北の地域の一部を任されています。街の名前はアカンサス、自然あふれる長閑(のどか)な領地で有名ですが、領主である男爵様は領地の発展よりも女性に目がない事で有名です。認知している子供ならまだしも認知していないのであれば問題ないかと・・・」


 実際に問題ないかと問われると、問題はあるがどれも些細な事であるし、パウロ自身が拒否すれば殆ど解決できると言う事で彼を雇用した。


 まあ、一人だけと言うわけにも行かないので準男爵家の次男や騎士爵家の三男も雇用したし、別の騎士爵家の三女と商家の娘を二人ほど給仕係(メイド)として雇用した。


 この六人は後日、フォルマー公爵家やラインフェルト侯爵家の紹介で来る執事や給仕係(メイド)専門家(スペシャリスト)の下で働いてもらうつもりでいるし、本人たちにも確認済みだ。


 アルノーが主導で準備が進められ、十日後の今日、先延ばしにしていた面接を行う事になったのだ。今回は先日雇用が決定した六人の下で働く執事見習いや給仕係(メイド)見習い、料理人や庭師、屋敷の警備をする私兵の面接である。


 何故十日も日数を費やしたのかと言うと、その間にアルノーとイステル準男爵がこの面接を行う為の準備をする為と、もう一つは、フォルマー公爵たちから此方で働く執事の手配が終えたと言う連絡があり、その面々と会う必要もあったからだ。


 フォルマー公爵家からは筆頭執事たる人物と算術を得意とする人物を、ラインフェルト侯爵家からは給仕係(メイド)長になりそうな優秀な人物に、彼女の元で働く三人の給仕係(メイド)を紹介してくれた。


 シュヴァイガート伯爵家からは給仕係(メイド)兼護衛が出来る者と伯爵家に勤めている副料理長が此方に料理長として来てくれる。エーデルシュタイン伯爵家も他家に比べるとそう言った準備はしていなかったが、信頼できる有望な護衛を四人程此方に来てくれるように手配してくれていた。


 その人たちと面会し雇用条件に付いて話し合い、紹介してくれた各貴族家に挨拶も行った。流石に手ぶらで行くのも良くないだろうと言う事で、屋敷の食器同様に魔法でドレスデンクリスタルのペアグラスを二つずつ用意した。赤っぽい色と青っぽい色の定番に加えて緑っぽい色に黄色っぽい色のペアだ。


 渡した時は皆大層嬉しそうにしていて、フォルマー公爵夫人に至ってはこのグラスで商売ができるとまで打診された。


 今の所ドレスデンクリスタルのグラスを作れるのはレオンハルトとシャルロットの二人だけで、その二人も職人の様に一から作るのではなく魔法で強引に作り出している。初期投資がかからない分、売れればそのまま売り上げとして計上できるが、他の者が作れないのであれば、今後も二人がずっと作らなければならず、冒険者で活動していたりすると、品薄になり販売できませんと言うのも困るので、暫くは行商で取り扱う事はしない。と言うよりも行商でそんな高価な品を売るのは問題になるので、売るにしてもお店を開いてからになるだろう。


 因みに紹介された者たちは皆雇用しただけでなく、雇用するための条件も申し分なかった。今は早速それぞれ屋敷に住み込みで働いてくれている。


 なお、面接会場には主要なメンバーであるシャルロット、リーゼロッテ、ティアナ、リリー、エルフィー、ユリアーヌ、クルト、ヨハン、ダーヴィト、エッダの面々しかいない。屋敷の庭で行っているから、呼べば他の者達も参加してくれるだろうが結局の所、決定権はレオンハルトにあるし主人を信じていると言う事で何かしらの意見や助言も行うつもりはないそうだ。


 どうしてそこまで信用できるのだろうかと考えるも、答えを知るよしもないので、そのままにしておいた。


「失礼します。次の方を連れて参りました」


 兵士に連れられてやって来たのは、まだ十代半ばと行った所の少年だ。因みに面接会場となる場所は三箇所設けており、レオンハルトとリリー、イステル準男爵と魔法士カミルが執事及び給仕係(メイド)の面接を行っている。シャルロット、リーゼロッテ、ティアナに内務職員のアルノーが行商のお手伝いやアヴァロン準男爵家の財務担当を行える者たちの面接をしている。最後の一つはユリアーヌにヨハン、クルト、ダーヴィトとヴァンフリート子爵で屋敷の警備を行える人物の実技試験を執り行っていた。まあ、ヨハンは実技であっても魔法の方の担当になる。


 エルフィーとエッダの二人で三箇所の面接会場のアシスタントを行っていた。ただ、エルフィーは割りと怪我人が出やすいユリアーヌたちの面接場所にいる事が多いが・・・。


 他のアシスタントは宰相の指示でやって来た騎士や兵士たちだ。割合としては兵士の方が圧倒的に多い。それでも、少なくない人数の騎士は居る。暴れる者を取り押さえるのに力比べになれば、騎士の方が実力は高い為、容易に対処しやすいからだ。


「自分は、ロルバッハ騎士爵家が四男ローマン・フォン・ロルバッハと申します。私はこれまでシンデルマイサー準男爵家で一年ほど執事見習いをしてきました。特技は食器磨きです」


 食器磨きが特技って完全に狙いに来ているだろ。前世で面接時に用いる履歴書にも職歴や学歴以外に資格や趣味、特技の記載個所もあった事を思い出してしまった。プログラマーが特技に「パソコンの組み立てが得意です」と書いている様な物だ。その履歴書を見た面接官は「おっ?ソフト面だけでなくハード面にも強いのか?」等と思ってしまう様な物だろう。


 ただ、食器磨きが得意と言うのはどうかと思う。


 それに一年ほど見習いをして、どうして此方にやって来たのだろうか。此方でもロルバッハ準男爵家の執事見習いでもどちらも同じような物だろう。


「彼は、先日準男爵家の嫡男と言い争いになって解雇されています」


 こっそり教えてくれる魔法士カミル。何故、紋章官のイステル準男爵ではなく魔法士の方が知っているかと言うと、偶々カミルと問題になったロルバッハ準男爵に雇われて居る兵士と仲が良かっただけの事。一緒に食事を摂りお酒も飲んで盛り上がった所で、そう言った情報を入手したのだそうだ。


「なるほど。彼があの人物と言うわけだね?」


 小声で話をしていたらイステル準男爵もこっそり話に参加してきた。あの人物と言うのはローマンの事だろう。そしてそんな言い回しをすると言う事は、良い事をしたのではなくその逆の悪い事若しくは厄介ごとを引き起こしたのだと推測できる。


「何かしたのですか?」


 再度小声で確認する。流石に誰も彼に相手をしないと言うのは失礼にはなると考えリリーに幾つか質問させ、その間にイステル準男爵やカミルと話をする。


 カミルが言うには、ローマンという男は見た目通り爽やかで、他人とも上手くできるようだが、彼なりに拘りを持つ人物と言う事でその部分で務めていた場所の嫡男と揉めたらしい。ただ聞いたところだと嫡男の方が悪いらしいが、雇用主の配偶者か雇われの身かの違いで最終的に悪いのは嫡男なのに処罰を受けたのはローマンだったらしい。


 周りの者もそれに対して異を唱える事もせず、実家も特にその家に対して何もしなかったそうだ。


 助け舟すら出さないのかと感じもしたが、これが貴族社会なのだろうと認識を改める。


「性格に問題はないのですか?」


「それは私が保証しよう。私も彼の事は聞いていたのだが、そういう人を雇っているときりがないからね。まあ、アヴァロン卿は新設した貴族家だから人が幾らいても困らないし」


 イステル準男爵の言う通りなのだろうが、実際には人が有り余るほどいると此方が困る。何しろ人を雇うと言う事はタダではなくきちんと賃金を支払わなければならないし、住み込みさせる場所なども確保しなければならない。今は空き部屋がたくさんあるので問題ないが、不足するようなら専用の建物を作って住まわせる手筈も整えなければいけないからだ。


 そして、このアヴァロン準男爵家の収入源は、当主自らが冒険者として活躍した資金やローレたちの行商人としての収益、そしてアイディアなどを商業ギルドや商会に教え、得た収益の幾らかを貰う程度だ。貴族になった事で国からもお金を年間で一括して貰えるが、それだけでは賄いきれないのが現状だ。


 国から各貴族に支給されるお金の事を貴族年金と呼ばれているらしく。前世での年金とは意味が全く違う。前世の年金は、幾つか種類はあるが簡単に言うと働けるうちに年金を納め老後に幾何か受け取ることが出来るものだ。だが、貴族年金というのは貴族に支払われる年収の様なもので爵位によって支払われる金額が異なるし、役職によっても異なる。あとは領地が在るかどうかと、ある場合にはその大まかな規模で異なるそうだ。


 まあ、我が家の資金運用はおいおい考えるとしてまずは、目の前の彼に集中する事にした。


「ローマン。君は食器磨き以外に何か得意な事はありますか?」


 レオンハルトの問いかけにローマンは下を向く。こう言う時は直ぐに答える方が印象が良くなるのだが・・・。


 暫くすると顔を上げて口を開いた。


「じ、自分は執事としての・・・経験が浅いので、食器磨きぐらいしか得意と言えることはありません。・・・・ただ、執事としてではないのでしたら・・・・その、山菜採りが得意です」


 ・・・・山菜採り?


 予想の斜め下の回答に返答に困るレオンハルトたち。だが、機転を利かせたカミルが山菜でよく採る物を聞くと・・・。


「セイヨウショウロです。実家の近くの森で良く採っていましたので」


 セイヨウショウロ・・・・・・西洋ショウロ・・・西洋松露ッ!!たしか子嚢課は前世の最高級食材であるトリュフだったはず。独特な芳香を漂わせるそうだが、高給取りでもない前世の俺は一度も食べた事が無い珍味の一つだ。


 全く同じ物かどうかは分からないけれど、同じであるなら是非食してみたいと言う気になるレオンハルト。


「ほーセイヨウショウロか。アレは中々に美味だからな」


 イステル準男爵は如何やら食した事があるらしい。


「けどあれは見つけるのが難しいと聞くぞ?」


 前世も希少価値が高い上、探すのが難しくトリュフを見つけるための豚や犬がいると言うのを聞いた事があったが、此方の世界も見つけるのは難しい様だ。


 それでも彼は、勘を頼りに普通の人の倍近くを見つける事が出来るそうなので、是非教えてもらいたいものだ。


 それからも幾つか質問をして退出してもらい、それを幾度となく続けた。


 レオンハルトが行った面接は約五十人前後。ほとんどの者は帰ってもらい、気になった者のみを再度吟味する。この時は他の面接を行っていた者も集まって話し合った。


 シャルロットたちの方では雇用しても良いと思えた人数は六人いたそうで、ユリアーヌたちは三人だそうだ。無論自分たちの所でも三人候補者を挙げており、その中にはローマンも含まれている。


「私はイレーネが良く働いてくれると思うわ」


「俺はイザベラだな。女性だが腕は立ちそうだ」


「そうだね。ぼくも彼女は良いと思う。少しだけど魔法も使えるみたいだし」


「レオンくん。私はクリストハイトが良いと思うの。彼、相当キレる感じよ?」


 ティアナ、ユリアーヌ、ヨハン、シャルロットの順番に発言を行った。イレーネは商家の娘と言う事で算術を覚えており、商人としての感覚も持ち合わせている。またそれだけではなく事務仕事もそつがなく行えると言う事。クリストハイトも商人の息子らしいが、次男と言う事もあり家を継ぐ事が出来ない為、今回面接に現れたらしく、シャルロットの言う様に他を寄せ付けないカリスマ的な何かを感じ取れた。イザベラは元冒険者として活動していたそうだが、パーティーが解散した事により引退したらしく将来の事を考えて長く勤められる場所を求めてやって来たらしい。冒険者時代のランクは(ディー)ランクとの事。


 最終的には残った候補者も皆採用する事にした。これで更に金銭的な部分を如何にかしなければあっと言う間に溜めているお金が消える事になる。










 それから暫くは、平穏な日々が続いた。


 ただ、毎日平和だったかと言うとそうでもないが・・・。


 採用が決定した者たちは屋敷に来る準備で慌ただしく、先に雇用されていた筆頭執事や給仕係(メイド)長たちも一緒に彼らの受け入れ準備に追われていた。さらにローレたちがこの屋敷の説明を行い新しく来た者は揃って開いた口が塞がらないと言う現象を引き起こしていた。


 今日の日付は二月十四日。前世では、女性が意中の男性にチョコレートを渡す行事(イベント)が有名だが、この世界にはそう言った事は無いらしい。まあ暦通りなら二十月なんてものが無いので、此方の二月十四日が前世の二月十四日と同じかと言われれば、返答しにくい。


「二月十四日かー。毎年思うけどこの時期になるとチョコが食べたい気持ちが強くなるな」


 一人呟くレオンハルト。彼は今屋敷の屋根の上で寝そべって空を見上げていた。時期的には外はかなり寒いが、魔法で温度調節を行っているため長時間外に出ていても凍え死ぬことはしない。


 そして、彼がチョコレートを欲するのは、単純にこの世界に来てから食べていないと思いだしてしまうからで、女の子からの手作りチョコレートが食べたいと言う意味ではない。まあ全くないわけでもないが出来れば彼女の手作りチョコレートを食べてみたいものだ。


「そう言えば前にチョコレートを貰ったのって窪塚さんからだったかな?」


 仕事帰りに蓮たちと飲みに行こうとした時に窪塚さんたちも同行する事になって、居酒屋で皆にチョコレートを配られた事があった。他の女子社員たちからもチョコレートを貰ったし、窪塚さんも皆に配っていたから社交辞令の様な物だと言い聞かせていたのを思い出してしまった。


 女子社員はそのまま女性同士でチョコレートを渡し合っていたので、皆それなりの義理チョコを用意するのだなーと感心したものだ。


「あれって?お菓子会社の策略何だっけ?」


 そんなどうでも良い事を考えていたら、屋敷の屋根の上に自分以外の複数人の反応を感じ取り上半身を素早く起こして反応があった方に顔を向ける。


「こんなところに居たんだ?探してたんだよ?」


 シャルロットを先頭にリーゼロッテやティアナ、リリー、エルフィーが立っていた。更にもう一人この屋敷にいるはずもない・・・ましてや、屋敷の屋根の上と言う場所に来るはずもない人物も立っていた。


「これは、レーア殿下。お見苦しい所をお見せしました」


 身体を起こしてきちんと挨拶をする。一応彼女もレオンハルトの婚約者の一人だが、他の者たちと違って屋敷に来る事はあまりなかった。まだ公には公表されていないので、準男爵家の屋敷の屋根の上に第二王女殿下が来る事自体可笑しい事ではあった。


「よしてください。此処でしたら誰の眼も耳もありません。(わたくし)の事はレーアと呼んで下さい。口調も皆さんと同じで構いません」


 屋敷・・・敷地内全体を魔法で覗き見る事も盗聴する事も出来ないようにはしているので、屋敷に入った時から誰にも見られる事は無いが、一応礼儀として挨拶をした。だが、それはレーア王女殿下には不満だったのだろう。


「わかった。それでレーア様は・・・」


「レーア!」


「レーア様は」


「レーア!!」


 これは呼び捨てで呼ばなければ永遠に続きそうだったので、此方が折れて様付けをやめた。何故皆して此処に来たのか尋ねるとシャルロットが代わりに返答する。


「今日はバレンタインデーだから。はいっ―――これ」


 皆から可愛くラッピングされたものを受け取る。前世の様な包装紙は当然ないので、彼女たちは柄の入った布でラッピングしていた。中を開けてみると、バレンタインデーでのチョコレートではなく焼き菓子が入っていた。


 マドレーヌやクッキー、カップケーキモドキと色々な種類が入っていてとても美味しそうに見えた程だ。


「これ、シャルちゃんが教えてくれて皆で作ったんだよ?だからちゃんと食べてね」


「リーゼ、ありがとう。美味しくいただくよ」


 バレンタインデーと言う言葉を知らないリーゼロッテたちは、その後シャルロットに本来の意味を教えてもらい、皆顔を真っ赤にしていた。ただ、この意味を知った事でレーアが率先して街中に広め、数年後には二月十四日と言えばバレンタインデーと言う考えが王都内で定着してしまうのだが、これはまだ未来の話になる。


 夜の寝室で、レオンハルトは一人こっそりとバレンタインデーで貰った焼き菓子を食べて、これからの計画書に目を通すのであった。


 当然、皆が作った焼き菓子はかなり美味しかった。


此処まで読んで下さりありがとうございます。

引き続き応援よろしくお願いします。

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