007 刀制作は難しい
「この街で腕の良い鍛冶師を紹介してほしいの」
アンネローゼのお願いに冒険者ギルドイリード支部支部長であるギルベルトは、面を食らった表情をしていた。
ギルベルトは、昔アンネローゼと共に旅をしていた仲間で、アンネローゼが使用する武器の事も詳しい。彼女が使用している武器は、同じく旅の仲間だったドワーフの一人が彼女に合わせて専用に作成したものだ。
鍛冶師の紹介は基本、武器防具の発注、使用している武器防具の修理などがある。彼女の武器を新しくするなら多少は理解できる。ただ、今持つ武器を超えられる程の職人はこの街にはいない。そして、専用に作られた武器の修理は其れこそ、この街の者では不可能だ。
何故、鍛冶師の紹介なのか?一緒に来ている子供たちへの武器なら其れこそ武器防具屋で問題ない筈だ。
ギルベルトは、アンネローゼの発言に疑問を持ち、訪ねる。
「武器屋や防具屋の紹介ではなくてか?」
この問いに彼女は、頷く。
間違えではない事に少し考える。
彼は、何人か腕の良い鍛冶師を思い浮かべるが、どれも気難しい職人ばかりだ。頑固者でプライドは高く、それでいて気分屋がほとんどで、場合によっては剣しか作らない者やその筋の武器はお断りする者も実は多い。
最終的にアンネローゼがどういった武器を望んでいるかによって紹介する鍛冶師変わるので、そこを詳しく尋ねる事にした。
「私の武器ではないのよ。この子の武器を作りたくてね」
アンネローゼの武器ではなく。目の前にいる灰色の髪の少年の武器だった。
それこそ、武器屋で片手剣や短剣、短槍などでも買えば良いと考えている。鍛冶師にお願いすものは一点物が多く、練習として使用するには宝の持ち腐れになってしまうのだ。
それはアンネローゼも知っているはず、それでも少年用の武器を作ろうと考えている様子を見ると冗談ではないようだ。
「その様子だと、疑問に思っているようね。その気持ちは良くわかるわ。私も最初はそう思ったわ・・・・でもね。他の子たちもそうなんだけど、この子はその中でも別格なのよ」
そう言うアンネローゼに驚くギルベルト。アンネローゼは冒険者時代でも実力はかなり上位にあった。そんな彼女にここまで言わせるこの少年にギルベルトも興味をそそられる。
どんな武器を希望しているのか尋ねようとしたが、それよりも興味は彼の実力だ。他人の実力をここまで知りたくなるのは何年ぶりだろうと考え、教える代わりに交換条件を出す。
それは、彼と模擬試合をしてみたいとの事だ。この内容には、本人だけでなくアンネローゼも少し驚いていた。
ただ、驚くのは一瞬だったため、その条件を飲むことにする。
そして、そのまま部屋を出て、ギルド内にある訓練場へ足を向ける。一般公開している方の訓練場ではなく。個別で使用できる訓練場の方だ。基本的には、試験などで使ったりするらしく。今日は使う予定はないとの事だ。試験について今は置いておく。
ギルド職員たちは何事かと気になる者も多かったが、支部長の一声で解散していった。ただ一人エーファだけは、木剣を二本持って帰ってきた。
そして、ルールはそこまでないが、軽く打ち合うのみと言う事で、それぞれが木剣を受け取り、中央へと進んだ。
「ギルベルト。一つ伝えとくけど、彼・・・レオンハルトは、こういうタイプの武器はあまり使わないから、本来の実力は発揮できないわよ」
「そうなのか?剣ではなく槍か何かか?」
剣を使うのだとばかり思っていたギルベルトはすぐさま別の物を用意させようとしていたが、それは難しいと言える。何せ刀、特に彼の愛用は日本刀と呼ばれる物だ。この世界には存在していない代物で、当然木刀もない。
その返答には些か答えにくいが、敢えて言うならば問題ないの一言だけ彼に伝える。
その言葉を聞いたギルベルトは、訳ありなのか、もしくは特殊な武器を使用するのだろうかと当たりを付ける。
両方とも正解なのだが、この時点ではその答えはわからない。
「それでは、そろそろ始めましょうか」
審判役としてこの場を取り仕切るエーファより準備をするよう促される。準備と言ってもこの試合には、魔法は禁止のため試合前の緊張をほぐしたり、心を落ち着かせたりしかすることがない。
互いの位置に着き、構える。
ギルベルトは、木剣を片手で持ちそれを突き出すように構える。それに引き換えレオンハルトの構えは、木刀でもないのに抜刀術の構えをしている。抜刀術の最大の強みと言える神速も全く効果を得ないが、これには彼なりの考えがある。
抜刀術は本来、日本刀を鞘に納めた状態から抜き放つ動作で相手に一撃若しくは一撃目を受け流し、二撃目で仕留める技術で、普通の剣術と違い鞘から抜き放つ際に生じる摩擦抵抗を利用する事で認識が難しい速さで斬る事が出来る。
実際、高難易度の技術が必要なのも事実で、ある程度の技術がある者や素人が使用すれば、逆に遅くなってしまい普通に日本刀を振る方が早い。故に邪険にされることも多々ある。
では、鞘に納めているわけでも日本刀でもない武器をわざわざ抜刀術の構えで、対人戦をしようとするのは何故か。
そこには、未知の構えと言う認識を相手に与える事が重要なのだ。
其れこそ、力に溺れた腕に自信のある者は、訳の分からない構えをしてと言って斬りかかって来るだろう。しかし、目の前の対戦相手・・・ギルベルトは、アンネローゼと同格の実力者だ。そんな愚かな事はまずしてこない。
様子を伺いつつ、どの様に剣を振るうのか、それに対してどう対応するのかを頭の中でシュミレーションしているに違いない。
(妙な構えだが、実力は・・・・高いな。隙らしい隙が見当たらん。どう攻めてくるか・・・)
ギルベルトの考えはレオンハルトの思惑通り警戒しているのが見て取れた。
「始めっ!!」
エーファが漸く合図を出す。合図と共に緊張が一気に高まる。これは対峙する二人ではなく、見ている観戦者側が。
それ程この模擬試合は見応えのあるものになると、レオンハルトの実力を知る者は考えていた。
お互い動く気配はなく、様子を伺う。
互いに攻めるタイミングを見計らっていて、動かないでいた。
沈黙は長くは続かない。
先に動いたのはレオンハルトの方だ。抜刀術の構えのまま一気に相手の元まで駆ける。見方によっては異様にしか見えない。
本来の抜刀術とは異なるが、これも一つの形だ。
まだ、お互い木剣が届かない範囲だが、レオンハルトは振り抜く姿勢を取る。これには、ギルベルトも判断ミスかと感じたが、そのわずか一瞬の隙にさらに加速し、木剣を振り抜く。
いきなり加速した攻撃に半ば反射神経のみで防ぐ。五歳児とは思えない重い一撃と鋭さに苦い顔をする。だが、レオンハルトの攻撃はそのまま続く。身体を回転させ、遠心力を使った追撃に防戦一方になる。
だが、守るばかりでは立つ瀬がないギルベルトは、尽かさずレオンハルトの攻撃に合わせてカウンターを繰り出す。
レオンハルトは、咄嗟に距離を取るためバックステップで後方に跳ぶが、そこは熟練者。退いたタイミングで今度はギルベルトが攻撃を繰り出し始める。
大人と子供では力の差がどうしても出てしまうため、避けるか受け流す手段しか取れず、苦戦し始める。
子供の体格を生かし、ギリギリの所で避け懐に入る。
大柄な大人からすれば、的の小さな子供へ攻撃するのは、些か難しい。下方への攻撃ばかりになり攻撃のバランスが取りにくいからだ。よってギルベルトの攻撃を旨く躱せば、懐に入るのも難しくはない。
振り上げる斬撃に柄の部分で防ぐギルベルト。これまでは、お互い一撃も受けることなく躱したり受け止めたり流したりしていたが、此処で初めてレオンハルトが攻勢に出た。
斬撃を防がれた時、回し蹴りをギルベルトの腹部目掛け放ち、それに反応できなかったギルベルトは、ダイレクトにその衝撃を受けてしまう。
子供とは思えぬ威力に僅かに漏れる呻き。距離を取ろうとすると追撃をしてくる可能性を考え、ギルベルトも同じように体術を交え応戦し始める。剣術と体術対剣術と体術の攻防戦がより激しくなる。
「喰らえ『クロスブレイヴ』」
ギルベルトの十八番の一つ十字を象る様な二連撃を繰り出す。これにはアンネローゼも焦りが出るが、それを華麗な足捌きで躱す。
零距離へと詰めたレオンハルトは、先日と同じように拳に力を籠め、全身の力を用いてその拳を撃つ。
強烈な拳の一撃・・・『轟雷』はギルベルトの腹部へと吸い寄せられるかのように進み、直撃と同時にギルベルトから苦痛の声が漏れる。
ギガントボアを倒す時に使用した『轟雷』は、魔力で身体強化をしていた為にあれ程の破壊力が生じた。今回は、強化していないため素の『轟雷』の威力だったがそれでも強力な物で、子供の身体が威力を下方向へ修正したこともあり、強烈なパンチとなった。
これが、成長しきっている身体で、一般人に使えば内臓破裂はもちろん、そのまま絶命させてしまうケースもある。
一撃を入れた後は、すぐさまその場を離れる。これで試合終了と彼自身が判断したからだ。その証拠に、痛みからか脂汗の様な物が出て、膝を折った状態で蹲る。
「・・・・しょ、勝者レオンハルト」
エーファもこれ以上の戦闘は難しいと判断し、試合を終わらせる合図をする。
その後すぐにギルベルトの元へ駆け寄る。それを追うようにレオンハルトやアンネローゼ、他の皆も続く。
内臓破裂や骨折の手応えはなかったが、予想以上の威力を受けてしまったため動くのに少しばかり時間を要した。
「これ程の実力とは・・・正直、驚かされてばかりだぞ」
ギルベルトの発言にアンネローゼは苦笑の表情で対応した。流石に彼を倒すとは、思ってもいなかったようだ。良くて均衡するぐらいだと思っていたようで、実際少し前までの彼の実力はそのレベルだったからだ。しかし、ギガントボアの戦いから更に実力が高くなったのは予期していなかった。
確かに戦いを経て強くなる者も多いが、此処まで急成長する者は殆どいない。たゆまぬ努力と実戦経験、それに潜在能力の高さから彼を皆と同じような対応で良いのか改めて考える事にした。
「たしか、腕の良い鍛冶師の紹介だったか?何人か心当たりはあるが、どういった武器が欲しいのだ?」
口で説明するのも大変なので、地面に絵を描いて伝える事にした。
手ごろな棒がなかったので、先程の木剣の柄の部分で土の地面に書き込んでいく。
暫くすると・・・。
「この様な武器は見た事がないな。それは本当に存在する武器なのか?」
「存在するか分かりませんが、思い描く形はこれで大丈夫です。この絵に描いている武器は、叩き斬るスタンスではなく斬り裂くと言うコンセプトにしていますし、金属を何十回、何百回と曲げては叩く、折れず曲がらず刃が欠けにくい物になるので、ってどうかしました?」
構造から作成方法まで話していると全員の顔が唖然としていた。ただ一人、シャルロットだけは少し笑いをこらえている節があったが。
「スタ・・ンス、コンセ・・・何とかはよくわからんが、そんな壊れにくい武器など作れるのか?希少な金属を持ちいればできると思うが、それではいかんのか?」
確かに、希少金属を使えば、強度も切れ味も全く異なる物が出来る。しかし、それだけではダメなのだ。予備武器としては西洋の片手剣や両手剣、槍や斧その他の武器があっても良いが、主の武器は最も使い慣れた日本刀にしたいのだ。
同金属で作っても頭一つ突き出る性能は、選択肢から外すわけにはいかない。ただ、同時に作成方法を知らない鍛冶師に作れるかと言う疑問も多々あるし、此方の金属で全く同じものが出来る保証はどこにもない。
無いからと言って諦める事はしたくないので、一緒に作成してくれる鍛冶師が欲しいのだ。
この形でないと行けない事を力説すると、ギルベルトは困った表情を浮かべる。
我儘に対して困っているのではなく。この我儘を聞き入れてくれる鍛冶師、しかも腕の立つ者で知識も豊富に持っている者でなくてはならない。
プライドの塊とも言える鍛冶職人が、この様な仕事を引き受けてくれるものなど・・・・と考えていると、一人だけ心当たりのある者がいた。
実力は、まあ悪くはない。この街にいる一流たちに比べると少し落ちるが・・・。武器作成も行っていて、幅広い武器を作っているからこれも作りたいものを言えばもしかしたら協力してくれるかもしれない。知識も悪くはなかったはず・・・・。
ただ、一つ懸念があるとすれば、非常に気分屋だ。乗りに乗っている時は、一流たちと同等かそれ以上の物を作る事があるが、逆に全くない時は三流かと聞きたくなるレベルで出来の悪い物が出来上がる。
しかも、ここ最近乗っている状態になっている事が少なく。鍛冶師としての作品も普通レベルの物ばかりであったために、腕の良い鍛冶師のリストから漏れていたのだ。
「街外れにある工房でトルベンと言う名の鍛冶師がおる。腕はまあ悪くないが、気分次第で仕上がりが変動する変わり者の職人なんだが、そいつでもいいか?」
その言葉に一同が唖然する。エーファはよりにもよってあの職人を紹介するなんてと言いたげな表情だし、他の者は、気分で仕上がり具合が変化するなんて腕が良いとは言わないだろうと思っているからである。
「いや、二流みたいな奴を教えやがってみたいな表情はやめろ。これにはきちんと理由がある」
その理由を皆に詳しく話をする。そもそも、鍛冶師として一流と呼ばれる職人はこの街には少ないと言う事。また、どの職人もそんな見た事のない武器に対して本気に作成を取り組んでくれる分からない事。最後は、曲がりなりにもトルベンと言う男はドワーフであることを説明したのだ。
ドワーフは、小柄な体格にかなり濃い顔つきをしている。ファンタジー世界で定番の種族をそのまま体現したかのような存在だ。昼間からでも仕事がなければ酒をたらふく飲み、短気で喧嘩っ早く、同種、他種族ともトラブルが絶えない手のかかる種族でもある。
しかし、彼らが作る武器や防具は、かなり出来の良い物も多く。種族のみに伝わる秘術があったり、なかったりと噂話も絶えない。この街にもドワーフは少なからず居るが、工房として構えているのは二人しかいない。
一人は、先程名前の挙がったトルベンと言う名前の男で、もう一人はこの街で最高峰の武器防具屋を営んでいるドワーフがいる。その男の元に他のドワーフたちが弟子として集まっているのだ。
後者のお店の方が良いのではと思うかもしれない。それは、紹介を任されているギルベルトも検討はしてみたが、そこは些かプライドが高すぎると言う問題点と作業に口出しを嫌う職人たちが多い為、今回一から色々作業を考えなければならない仕事は、不向きだと判断したのだ。
理由を聞いて、皆納得した様子を見せる。実力はあっても此方の条件に意見するのみならず、批判しかねない者に今回の仕事を依頼するのは難しいと理解できたからであろう。納得と同時に呆れた様子を見せる者もいた。
その後一同は、再び先程の部屋まで戻るとギルベルトから少し待つように言われる。念のため紹介用の手紙を一筆書いてくれるようで、書き終えた紹介状を受け取る。
「帰る時にギガントボアの報酬をもらって帰るのを忘れんようにな。それとアンネ、近くに居るのならたまに顔を見せてくれ。旧友がどうしているのか俺も気になるからな。後できたら、時々依頼を受けてくれると助かる」
最後のお願いだけは、聞く事が出来ないと返答をして部屋を後にする。
受付まで行くと犬垂耳の半獣人の女性がいる受付に並ぶ。他の受付職員も詳しい事は知る事が出来ていないので、彼女に対応してもらう方がスムーズに行くのだとエーファから助言をもらっている。
ちなみにこの半獣人の名前は、アメリ―と言う名前らしい。しかも成人したばかりと言う事で、今年から働き始めた新人さんだ。新人と言っても半年以上は働いているので、今では一人前の受付職員だそうだ。
(成人って事は、十五歳ぐらいなのか・・・・それにしては、大人びて見えるな)
レオンハルトの感想は、前世の感覚で言えば至極当然と言える。十五歳と言えば、中学三年生と変わらない。そんな年代がこんな荒くれ者が多く屯っている場所で、しかもそんな相手に平然と相手にしているのだからそう見えても可笑しくないのだ。
ただ、こっちの世界では裕福な家庭の子供以外は、年端もいかない時から働くので、何ら違和感はないそうだ。
そんなどうでも良い事を考えていると前の人が終わり、漸く自分たちの番が来たのだ。
「あれ?皆さま支部長とのお話は終わりましたか?」
アメリ―と少し話をした後、報酬を受け取りに来たと伝えると如何やら事前に用意をしてくれていたようで、アンネローゼのギルドカードを受け取り何かの魔道具に入れ、討伐記録を追加し、書き込みが終わったギルドカードと報酬の金銭を受け取った。
「大金になりますので、くれぐれもお気を付けください」
総合計の買取金額と各買取価格が書かれた紙を渡される。紙には総額二百三十万三千五百四十四ユルドと記載しており、日本円にして二千三百万円程で売れたのだ。細かな詳細として、ギガントボア一匹当たり三十五万ユルド、ボア一匹当たり二万二千ユルド、ツインテールウルフ一匹当たり二千五百ユルド、ゴブリン一体当たり千二百ユルド、アラギツネ一匹当たり四百八十ユルド、ランドバード一羽当たり三百七十ユルド、フェザーラビット一羽あたり三百三十ユルド、薬草などはまとめて二千ユルドになったようで、それに加えて色を付けてくれていたようで一割増しにしていた。
買取とは別に討伐報酬として合計金貨三枚も入れてあるそうだ。
金銭が入った袋から貨幣を取り出し確認する。金貨二十六枚、銀貨三枚、大銅貨五枚、銅貨四枚、鉄貨四枚きっちり漏れる事無く入っている事を確認する。因みに金貨二十三枚は、大金貨だと使い勝手が悪いだろうとギルド側の配慮で金貨に変更していたのだ。
両替ついでに金貨六枚を大銀貨に変更してもらいそのうちの五枚を更に銀貨にしてもらう。
かなりの重さになった袋を魔法の袋の中に入れる。これで魔法の袋が紛失しない限りは問題ないし、仮に紛失しても他の者が中を取り出す事が出来ないので、強奪に合う事もないだろう。
冒険者ギルドを出て、そのまま紹介された鍛冶師トルベンの所へ行こうかとも考えるが、如何やら思いのほか長居していたようで、既に昼を大きく過ぎていた。
「何か食べてから、買い物とかに行きましょうか」
アンネローゼの案で、近くの飲食店へと入る。そこで軽く食事を済ませる。
それから暫く、街中を散策しながら目的地を探す。探すと言っても場所は、先程エーファから聞いているので、その道中に何かないか見て回りながら向かっているのだ。
門が目視できるぐらいの位置にそのお店はあった。
中を覗くも店員らしい人も居らず、仕方がないので店の中へ入る。中に入っても店員が現れる様子はなく、店内は静まり返ったように誰もいない。
ただじっとしているのも時間が勿体ないので、店内にある武器や防具を見て回る。どれも業物には見えず、初心者や初級者向けの武器防具が展示されているのみだった。
本当に大丈夫なのかと心配し始めた時に不意に奥の扉が開く。扉が開くと同時にこれまで聞こえなかった鉄か何かを叩くような音が聞こえる。建物の作りからして奥に工房があるのだとわかった。
扉が閉まると、その音が聞こえなくなったので、防音対策か何かしているのだろう。
店員らしい小さいのに筋肉質気味な女性が出てくる。
「ん?おや。お客さんかい。いっらっしゃい何か探し物でも?」
見た目通り声までやや渋みがある店員に一応、トルベンの店で会っているか尋ねる。
「間違いないよ。トルベンはあたしの旦那でね。名をペートラと言うんじゃが、旦那に用かね?」
そこで、冒険者ギルドイリード支部支部長ギルベルトからの紹介状を渡す。
そこに書かれた内容を一通り確認し、一つ溜息をついた。
「内容に書かれている新しい種類の武器の作成ってどういう事や?」
ペートラは無理難題な仕事をこっちに振ってと少し呆れ気味に聞いてくる。確かに一から考えろと言われれば、とても気の遠くなるような作業である。剣の形を少し変化させたり、槍の矛を二股にしてなど造形とは訳が違う。新しい種類とは何十年何百年と検討されて初めて実用化する物なのだ。
だが、今回は制作方法をレオンハルトは知っている。日本にいる時に祖父に連れられ、刀鍛冶師に会いに行ったことがあった。そこで、作業を見学させてもらったし、少しばかり体験もさせてもらった事がある。しかも、今はそれ以外にも自称神であるヴァーリの恩恵の一つ知識に、武器の作成方法も含まれていた。
それならば一人で作れるかもしれないが、それはあくまで日本での作り方が基準だ。日本と同じ素材でも純度の違いとかもある上、同じ方法で作成できるとは限らないからだ。しかもそれで作れたにしても、それはあくまで普通の日本刀だ。希少金属や鉄などよりも強固な金属、魔法と言う概念などを踏まえるとこっちの世界に合わせた金属や製法で作る必要があった。
それには当然、知識や経験も必要に合ってくるので、鍛冶師と共同で作成するのだ。
大体の作り方を説明すると、不機嫌そうな顔つきが驚きの表情に変化する。
「ちょ、ちょっと待ちな。旦那も呼んでくるから」
そう言って先程の扉の向こうへと消えて行く。それ程待たずして、再び扉が開くとペートラ以外の人物も一緒に現れる。ファンタジー世界で有名なドワーフを体現した様な姿の男性だ。ただ、無精髭はなく綺麗に剃られていたが。
「お前がそうなのか?」
何がそうなのか分からないが、恐らく作成方法を知る者を指しているのだろう。その問いに返答をする。
「・・・・・そうか。今日はこれ一本で終わりにしようかと思ったが、気が変わった。お前一緒に来い」
トルベンと思われる男性の手には、一本の大きめのスプーンが握られていた。いや正確にはスプーンの形をしているが、まだ途中なのであろう形だけは出来たが、研磨などがまだ終わっていない状態の物だ。
なぜ、スプーンなのかと皆同じような表情であった。
トルベンは未完成のスプーンを持ったまま工房の方へと消える。
「何だか、旦那がやる気を出した様ね。もう少ししたら、あれの作業も終わると思うし・・・・」
スプーンを作り終えるまでは、店内で待たせてもらう事にし、その時に何故スプーンを作っていたのか教えてくれた。
理由はどうしようもないぐらいどうでも良い内容だった。今日の昼食の時に誤って変形させてしまい。直そうとしたが、どんどん不格好になっていき、最終的には二つに分断されたようで、そうしたら突然折れにくく曲がりにくいスプーンを作るとか言い出したのが始まりだそうだ。
本当にその時の気分で仕事をする人なのだなとその時の皆の感想は一致した。
四半刻もしないうちに再びトルベンが店内に戻ってくる。スプーンの研磨にどれだけ時間をかけたのかと思ったが、スプーンの出来栄えに逆に何故此処までスプーンに力を注いだと突っ込みを入れたくなるような出来だった。
その熱が入ったまま工房へレオンハルトを連れて行こうとしたが、ペートラによって阻止される。
作り方を簡単に聞いただけで、最終的にどういった武器で、素材は何を使うのか、具体的な作り方で必要な道具やその他聞いておかなければならない事が山のようにあったからだ。
レオンハルトとトルベン、ペートラの三人で話し合いが設けられ、まだまだ時間がかかると思われるため、アンネローゼは他の子供たちと共に外へショッピングに出かけた。この時あらかじめ金貨五枚をレオンハルトは受け取っていた。
「さて、まずは具体的な作り方から聞いておこうかの・・・・・とその前にお前なんて言う名前だ?」
強烈な初対面でお互い自己紹介もしていなかった事を今更ながら気が付き、自己紹介をする。
「作り方として何ですが、その前に作ろうとしている武器の名前は刀と言います。形としては・・・・」
紙を持ってきてもらいそこに完成図を書き込む。
書き込んでいる時も食い入るようにそれを見る二人。トルベンが何処まで鍛冶師として知識を持っているかは分からないが、先程のスプーンの技術を見ても腕が良い事だけはわかった。
なので、刀と言う名前、この様な形の武器が今まで存在していたかを聞いたところ。どちらからも首を横に振るだけだった。
似た様な武器だと片刃の直剣かサーベルの類だそうだが、どちらとも異なる種類になる。
ただ、その図を見て色々な質問が飛び交う。中には、知識だけでは分からない所、こっちの世界では使われていない言語を説明するのが非常に大変だった。
「折れにくく曲がりにくい・・・その上、切れ味は鋭いと来たか。そんなのが実際にできるのか?」
これは、鍛冶師にしてみれば、かなり無理難題を押し付けているだろう。
此処から漸く作り方について教えていくが、一つ問題があった。制作するに当たって工房の設備がいくつか適さない物、足りない物があった。これについてもこんな感じでどう言う目的で使うのかも一緒に説明しながら、設備設計図を書いて渡した。
玉鋼を作る事。それを打ち延ばし、小さく割って分別。分別した物から適した物を選び積み重ね、色々な細工を施しながら熱し叩き折り曲げ、重ねと何度も繰り返す鍛錬。焼き入れ。鍛冶押し。樋彫り等非常に多くの工程を熟さなくてはいけない。それに加え研ぎ、鎺作り、柄巻、鍔、鞘など、やらなければいけない事、作らなければならない事だらけなのだ。
そこまで話をしている時には、なぜそれを自分で作らないのか?そこまで正確に工程を把握しているのになぜ?と言う疑問がある様な顔をドワーフ夫婦はしていた。
当然、前世の話をするわけにはいかないので。
「理論は、これで大方間違いはない筈です。正し、この理論が実際に作れるかが分からない上に技術もないのでお願いしたいのです」
レオンハルトはもう一度お願いをする。
トルベンもペートラも今更後には引けないと分かっているし、それよりも未知の技術に心を奪われかけている様にも見える。
そして、当然の様にトルベンは手を差し出す。その手に答えるように握手を交わし、その後は、アンネローゼが迎えに来るまで只管議論を続けた。本心では、鍛冶の取り掛かりをしたかった様子だが、先に設備を改修する事が必要だった。
翌日も朝から、トルベンのお店に赴きレオンハルトは、作業を開始した。アンネローゼたちは、宿屋の滞在期間を一日伸ばし買い物の続きとある用事を済ませに行った。
玉鋼を作るか、別の何かで代用してみるか。玉鋼を仮に作るとしたらそれを作る工房の改修にどれぐらい期間が必要か。鉄以外で何が手に入りやすく、何が適していそうかなど話し合う。時には試作品をかなり色々省いて刀に似た何かを作ったり、金属の配合率を試したりとあっと言う間に一日が過ぎる。
一応、もう一日作業する時間はあるが、朝のうちに出発するそうで、どうするか考えた所。アンネローゼからその事で提案を受ける。
「出来るまでにまだ時間が必要なんでしょ?そう思って、オスカーに話をしてみたわ。彼この街にも屋敷を持っているから、武器が出来上がるまで住まわせてほしいって」
その提案を聞いて、大いに喜ぶレオンハルト。ただ、屋敷はずっと留守にしている事が多く、掃除があまりできていない事。まだ当分商人として街を転々とするので、頼れる人は誰もいない事を念押しされる。
その中には、一人で暮らすと言う意味も含まれていた。
アンネローゼはもちろん、リーゼロッテやユリアーヌたちもレカンテート村に帰るし、シャルロットも当然帰されると言う事だ。それでもやっていけるかと言う事だろう。
当然、シャルロットとリーゼロッテは残ると言ったが、そこはアンネローゼが注意し連れて帰った。
それから、屋敷の掃除、食料調達、調理等を熟しつつ、トルベンのお店に入り浸り、刀作りを行う日々が続く。勿論、鍛錬も忘れず行っているし、トルベンに連れられ採掘にも足を運んだ事もある。
月に二度程、アンネローゼとシャルロット、リーゼロッテが様子を見にイリードへ来ていたりもして、気が付けば三月近くイリードに滞在していた。
その頃には、品質を問わなければまあまあ使えるレベルの物が仕上がっていた。だが、油断をしたり、調子に乗ったりするとすぐさま鍛錬の途中で折れてしまったり、形が歪になったりもしていた。
作業も俺とトルベン、ペートラの三人では、難しくなってきたので、弟子を三人程とっていた。まだ、そこまで使い物にはならないが、三人のうち二人はドワーフで、もう一人は人族だ。三人とも容量が早くセンスもあるため、日に日に頼りになる存在になっている。
「この出来はどうだ?」
トルベンから一振りの刀を受け取る。ずっしりくる重みに内心驚いてしまう。日本刀の二倍近くの重さがあるため、振るう事が出来ないのだ。
「これは、重すぎます。一体何を配合したのですか?」
「今回は鉄鋼にウーツ鋼と重鉄を混ぜてみたんだが、やはり重たすぎるか・・・・重鉄を混ぜなければ鋼鉄とウーツ鋼がうまく繋がらないからな」
割と扱いやすく、手に入れやすい鉱石から色々組み合わせを行っている。色々な鉱石から既に刀は作っているが、配合率や火入れのタイミング、時間、火力それらによって全く異なる物が出来あがっている。
「師匠。ウーツ鋼を主にアダマント鉱を少量と結晶石を使ってみてはどうでしょう?」
トルベンの弟子の一人、人族のケヴィンが試していない希少金属を少量混ぜてみてはどうかと提案してきた。アダマント鉱は希少という程のものではないが値段がある鉱石で、結晶石の方が希少なのだ。
結晶石は、クリスタルの様に透き通った金属で、市場にもあまり出回らない代物だ。一応、この店にも三つ程置いているが、未だに試したことはない。
トルベン自身、勿体ないと言う事もあったのだろうが、一番の問題はこの金属を使った事がない為、あまり失敗したくないと言う思いがあったからである。
「結晶石を使うなら、ミスリル鉱と魔法の粉の方が相性は良くないか?」
もう一人の弟子でドワーフ族のマルコが意見する。同じく最後の一人のドワーフ族のルーカスはその様子をただ眺めていた。
マルコの言うミスリル鉱もアダマント鉱と同じぐらい値が張る物で、アダマント鉱は硬さをほこり、ミスリル鉱は硬さに関して言えば鋼鉄と変わらないが、魔力伝導率が良く杖代わりにする近接魔法使いもいるぐらい扱いやすい。
魔法の粉もミスリル鉱に似た様な感じだが、これは逆に魔力耐久値が上がるのだ。魔力を通すとその分武器の消耗が激しいが、魔法の粉を混ぜた金属は消耗しにくくなるのだ。
実際、ゲームと違って耐久値とか数字で表示されないので、経験と手入れ、状態を見ながら修復したりする必要があるのだが。
弟子たちの意見を聞いてトルベンも深刻な表情で、考え込み始める。
それから暫く、弟子同士で斬新な発想を元に討論し始める。
鍛冶師ならば誰でも知っている様な組み合わせの悪い物まで討論し始めると、不意に何か閃いたかのように独り言を言い始めるトルベン。
「魔鉄鋼をベースに・・・・結晶石を・・・魔法の粉を合わせて・・・・そうかっ!!」
組み合わせの理論を脳内で作り上げていくトルベンだったが、理論が確信に変わった瞬間だった。
そして、弟子たちを褒める。
「聞いてくれ、まずは―――」
理論を説明し始めるトルベン。組み合わせの相性が悪いのがどれなのか、レオンハルトと弟子たち三人は分からなかったが、ペートラだけはその組み合わせの斬新さに開いた口が塞がらない様子だった。
この斬新な発想が出来たのも、今まで経験してきた失敗から組み合わせとして使えないと外してきた物で、弟子たちの討論から組み合わせが悪い物同士の調和を取るつなぎの鉱石に結晶石と魔法の粉を使用する事だった。
そこから、数日は組み合わせの割合を何度も試作して完成した時には更に一月の歳月を有していた。
「か、完成だ」
出来上がった刀は、やや黒みが強い刀身で波紋もはっきり波打って出ていた。大波の様な波紋は、新しい武器の象徴とも言える程美しさも出ていた。
この刀が完成する時には、既に鉄の刀、魔鉄鉱の刀はほぼ失敗せずに作る事が出来るほど、トルベンの腕は磨かれていた。他の弟子も刀制作を始めに行ったおかげか、剣や槍などの武器はやり方さえ覚えてしまえば、あっと言う間に作れるようになっていた。正し失敗も三割ほどあるが・・・。
出来たばかりの刀を眺め、庭へ出ては何度かそれを振る。空気を切り裂いた音と風を切る感覚に漸く本当の日本刀が手に入ったのだと、嬉しさが込み上げてくる。日本刀と呼べるかは別にしても・・・。
「トルベンさん、料金はいくらに・・」
「待ってくれ、レオンその件で折り入って話がある」
深刻な顔つきに相当高い金額を提示させられるのかと内心ドキドキするレオンハルト。
それもそのはず、これまで試作のためにどれだけの鉄鋼石類を使ったのか。工房を新しく回収するのにどれだけの金銭が使用されたのか。弟子を新たに入れる大変さや、この四月の仕事は何も引き受けず収入を得ていない事から、金額がものすごく高くなるのは明白だ。
「刀と言うお前の理論をもとに作り上げてきたのだが、これをこれからも作り続けて、この店で売っても良いか?今回のお代は、その権利を得るだけで十分じゃ」
トルベンの説明だけ聞けば、それはかなりトルベンたちが損をするのではと考えたが、それに付け加えるようにペートラから補足説明を受けた。
聞けば、新しい武器は冒険者にとって魅力的な物で鉄の刀や魔鉄鉱の刀でも買いに来るものは後を絶たないと推測している。それに加え、街中・・いや国中の鍛冶師が恐らく買いに来ると踏んでいる。それ程新しい武器の完成は魅力的なのだ。その分年月と資金、知識が物凄く必要になるから試そうとするものは少ないとの事だが、完成した物がわかれば作りたくなる、知りたくなるのが鍛冶師のプライドだそうだ。
それに従来の剣と違い。刀はその美しさから使わないにしても収集家も現れるだろうし、貴族たちは己の自慢のために購入するとも考えているのだ。
刀が作れるのは現在、トルベンとその弟子たちのみだが、刀を作る専用の工房の内部の仕組みは、トルベンしか知らない。仮に弟子たちが引き抜かれても、制作の工程は分かっても商品化に数年かかると踏んでいるのだ。
だから、作る権利を得れば今回の出費もすぐに取り戻す事が出来ると言う算段だ。
レオンハルトもこの申し出は非常にありがたいと言える。一応、アンネローゼと別れる時に追加で大金貨二枚預かっているし、作成の合間に少量調達で狩りに出てちょっとした収入は得ているが、それでも最悪足りない可能性あったし、トルベンが刀を安定して作れるようになり更なる刀の作成も出来るようになれば、今完成したばかりの刀を超える物も近いうち出来るかもしれないからだ。
刀はあくまで武器、武器は所詮消耗品なのだ。幾ら丁寧に手入れしてもいつかは使い物にならなくなる。
そう考えて、トルベンとペートラの案を受け入れる事にした。
「ありがとう。お前の考えた武器をもっと世間に広め、最高の武器の一つにしてやる」
トルベンはこの日を境に気分で仕事をすることがなくなった。完成すると更に腕を上げるためあらゆる武器を作り、刀に応用できる物を探し、研鑽する日々を送る事になる。
また、刀の存在は交易都市イリードの街から一気にアルデレール王国全域に広がる事となったのはそれから数ヶ月後の話だ。
完成の三日後に都合良くオスカーが街に戻ってきたので、借りていた屋敷の鍵を返却した。送って行こうかと尋ねてきたが、それは丁寧に断る事にした。
馬車で半日程度の距離なら徒歩でも数日程度で帰れる。何よりも早くこの刀を試したかったのだ。
魔法の袋も魔道具制作の練習で容量拡張させた物が出来たので、それに必要そうな物を街で購入してイリードを発った。
初日は街の近くと言う事もあり、そこまで襲われることもなかったが、二日目は森に入った事で、ゴブリン等の魔物から狼などの獣までと色々な生き物に遭遇し、その都度試し斬りの糧になってもらった。
森から出る少し前に金髪の女の子と銀髪の女の子どちらも同じぐらいの世代の女の子が、ゴブリン数体とツインテールウルフ、それにゴブリンの上位種と思われる個体、三種類が数体に囲まれていた。
上位種は、鎧の様な物を纏ったゴブリンより一回り大きい奴と赤い色をしたゴブリン、猿の様に木から木へと飛び移るゴブリンの三種類だ。
冒険者ギルドでこのあたりの魔物の種類の図鑑を確認した時にも記載されていた魔物で、ゴブリンソルジャー、レッドゴブリン、ゴブリンの亜種でゴブリンビーストと言う種類だ。
どの魔物もゴブリンより強く新米冒険者殺しの異名を持つ代表的な魔物たちだ。新米冒険者殺しは、その名の通りゴブリンを倒せるようになり調子に乗った者、運悪く遭遇してしまった者が挑んで高確率で蹂躙され殺されるか、女性ならもっと酷い目に遭わされる事を言う。
当然、身体強化に加え真の実力を発揮できる刀を手に入れたレオンハルトに敵う筈もなく、次々に倒されていく。
女の子たちは先程までの絶望した表情から一転、何か憧れるように見ていたが、それに気が付くこともなく戦いは終了した。
そのまま森の出口まで付き添い。大人たちが見え、捜索していたようなのでそのまま見つからないようにその場を去った。
案内した道と目的の方向がややずれていたので、木々を縫うように走り抜ける。森の入口と言う事もあり、数匹の獣がいるぐらいだったがそれらは野放しにしておいた。
本来の道にたどり着くとそこからは、歩くことにする。結局何だかんだ寄り道などもしたおかげで五日程かかってしまった。
孤児院に到着して馬車で帰らなかった事がばれてしまい。アンネローゼにこっ酷く怒られてしまった。預かっていた大金貨と金貨を返却。そして、四月も経ってしまったがその時にギガントボアの時の報酬を別で受け取った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
投稿するたびに文字数が増えていき自分でもびっくりしています。
まだまだ投稿していく予定ですので、また読んでやってください。