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049 行商で売る物は何?

さて、今回はあまり面白みもないストーリーとなっております。


まあ、逆に日常生活の半分は面白みのない日常の様な気がしますので、これはこれでアリかな?


では、続きをどうぞ。

 カーテンから入る朝日が瞼を閉じた顔に優しく照らされる。普段よりも遅い目覚めであったが、彼はその日の光を浴びて次第に意識を覚醒させていった。


「ぅ・・・う、あぁーっ、もう朝なのか?」


 目が覚めた彼は、身体の覚醒を促すようにベッドの上で上半身を起こし、眠たげな瞳に涙を溜めながら大きな欠伸と共に身体をそらす。


「おはようございます。ご主人様」


 ・・・・・・ん?


 一人部屋で寝ていたはずのレオンハルトは、ベッドから少し離れた場所にあるテーブル近くに立っている三人の人物を見て、言葉を失った。


 そこに立っていたのは、昨晩治療を施し、一人で歩けるようになったローレと人族の姉妹の妹ラウラ、黒猫の獣人の妹リンである。昨日購入した服に着替え、ローレは髪を束ねて三つ編みにしており、ラウラとリンは布の端切れから作った様なリボンを結んでいた。


 彼女たちの姿に驚いたのも事実だが、それよりも何よりも・・・。


「・・・何してるの?・・・・それより、どうやって入ってきたの?


 普段早起きをするレオンハルトが、誰かに起こされると言う機会はこれまでほとんどなかった。怪我や病気の時は仕方が無いにしても、普段は早朝から訓練を行っているので、実は誰よりも早く起きていたりする。


「ご主人様が目覚めるのをお待ちしていました。それとお部屋ですが、クルト様に願いしたら、快く開けてくださいました」


 にこやかに笑うローレ。目の下が腫れているのは、昨日足が治って嬉し泣きを他の者と夜遅くまでしていたからであろう。ラウラは兎も角、リンも同じように腫れていた。


 ただ、昨日奴隷を購入した時の表情や食事を食べている時の表情よりも明らかに明るさが違った。これが彼女たちの本来の素顔なのだろう。


「はあー。クルトの仕業か・・・・本当に困った奴だな」


 昔からこういう悪戯や含みのある言動など多くの孤児院の子供たちが彼によって振り回された事か。実際、悪ふざけレベルなので注意するぐらいしかできないし、真面目にするときはかなり信頼できるのだが、こういうオンオフの切り替えのギャップがメンバーで最も激しい。


「事情は分かった。待たせて悪かったな」


 何時から待っていたのか分からないが、それほど長い時間待たせた感じもない。恐らく朝食の為に起こしに来てくれたのだろう事は予想出来ていた。


「エリーゼたちはどうした?」


「ルナーリアはシャルロット様の元へ。エリーゼはリーゼロッテ様の元へ行っております。ランはクルト様を起こしに行っています。ソフィアは宿屋の食堂にて、ユリアーヌ様たちのお世話をしています。ご主人様たちが私たちを治療してくれた事で疲れから起きてこない様子でしたので、お迎えに参りました」


 お迎えに来たのに起こさずに待っていたと言う事は、自分たちのせいで疲れて寝ている我々を起こすに起こせなかったのだろう。それによくよく考えたら、普段は寝ていても警戒を怠らない俺が、今日に限って此処まで接近されても気がつかなかった。


(相当疲れていたのだろうな・・・まあ、治療もそうだけれど、俺もそもそも病み上がりだったし、奴隷商何て場所に行ったのも疲れた原因の一つかな)


「そうか。これから着替えるから下で待っていてくれるか?」


 流石にこんな格好で食堂に行けないので着替えをして行くのだが、肝心の彼女たちが出ていかないと着替えをする事すらできない。しかし、彼女たちはレオンハルトの言葉を聞いても動こうとはしなかった。


「いえ、ご主人様。お手伝いを致します」


 ・・・・・


 これは不味いッ!!


 流石に子供の体形とは言え、中身は大人だ。そんな事をされてはこっちの精神がもたない。


「大丈夫だ。君たちも病み上がりなのだから、無理はしなくて良い。それに君たちにこの様な事をさせるために購入したわけではないのだから、取り敢えず下へ降りて、皆と合流してくれ。これは命令だよ」


 奴隷である以上、命令されれば実行しなければならないし、実行しなければ奴隷契約で結ばれた誓約で苦しむ事になる。しかし、あまりに聞けない命令・・・例えば、その場で命を絶てとか誰かに犯されろなどと言う本人が心底拒絶するような命令は拒否できるがその時は相当な苦しみが両者に襲う。


 それとは別に、奴隷の段階で犯罪をした奴隷はこの命令が通ったりする。もし命令に従わなければ、奴隷契約で結ばれた誓約で最も厳しい、死を命令違反者に与える。


 彼女たちは、違反した場合は最も軽い誓約に基づく様にしているが、それでも命令に従う。痛みよりも主従の信頼関係を壊される方が彼女たちにとっては最も許しがたい事だから。


 命令を言い渡されたローレたちは少し寂しい表情を出し、その命令通り皆の元へ向かった。


(申し訳ないが、流石に着替えを手伝わせると言うのは良くないな。他の者にもきちんと伝えておこう)


 貴族であれば給仕係に手伝わせることが当たり前で、そのように教育を受けた奴隷も多い。レオンハルトは、貴族の末端ではあるが、騎士爵の爵位を陛下から賜っているれっきとした貴族だ。しかし、孤児院上がりの彼は、着替えなどの身近な世話を誰かにしてもらうという習慣が無い為、戸惑ってしまうのも無理はない。


 手早く、着替え終えるとすぐさま一階の食堂へ向かう。


 出遅れてしまったせいか、食堂はかなりの人で賑わっていた。これから商店へ向かう者や冒険者として依頼を受ける者、別の街へ向かおうとする者、目的は人それぞれだが、皆朝食と言う今日一日を乗り切るための最初の栄養の摂取。簡単に言えばお腹がすいたため朝ご飯に押し寄せていた。


「おはよう。凄い人混みねー」


 後ろから声を掛けられ振り返ると今起きてきましたと言う感じのリーゼロッテと身なりを整えたシャルロット、二人を迎えに行っていたエリーゼとルナーリアがそこに立っていた。


「シャルにリーゼおはよう。それからエリーゼとルナーリアはご苦労様。ルナーリアは・・・その様子だとシャルに着替えのお手伝いを断られたのかな?」


 エリーゼは普通だったのに対して、ルナーリアは少し元気がない。それはまるで先程のローレたちと姿が被ってしまう程だ。


 小さく返事をしたルナーリアにシャルロットが、フォローに入る。内容は俺が言った事と同じで、誰かに着替えさせてもらう機会などなかったから、出来れば自分で着たい・・・ただし、時々お願いするかもしれないからと気の利いた事を言うあたり俺とは少し違った。


 俺の場合は命令した挙句、拒絶に近いかもしれない。


(後で謝ったほうが良いかな?)


「レオン。こっちだー」


 奥の方のテーブルを二つ確保していた様で、そこには階段を降りて直ぐの所に居たレオンハルトたち以外のメンバーが勢ぞろいである。


 一緒に起こされていたはずのヨハンも既に席についている辺り、俺たちよりも早く目が覚めたりしたのだろう。ランが着替えを手伝ったかどうかは別として、最も重い病を患っていたソフィアも顔色はとても良さそうに見えた。


 後は、年相応の肉が身につけば健康体と呼んで差し支えないだろう。


 席についたレオンハルトたちは早速朝食を頼んだ。いつもの硬い黒パンに野菜スープ、オーク肉のベーコン、何の卵か分からない目玉焼き。後は普通に生野菜のサラダ。


 他の仲間たちは既に済ませているのか食後の飲み物を飲んでいたが、先に降ろしたローレたちや待機していたソフィアは、まだ食べていないと言う事で一緒に注文した。


 皆、やや痩せ気味なのでしっかり食べてもらう必要があるが、急に重い物を食べると胃が対応できず消化不良を起こす事も考えて、消化が良く、それでいて栄養価が高い物を注文した。


「ご主人様、私たちの食事はもっと質素にして頂いて構いません。これでは、ご主人様と奴隷との差と言う物が・・・」


「まあ、もう頼んだのだからしっかり食べてくれよ?」


 奴隷の食事に差をつけるつもりが無いレオンハルトに対して、昨日から同じように差をつけてほしいと願い出るローレたち。


 何時まで経っても延長しそうな内容だけに早めに終わらせたいレオンハルトは、先程の事も踏まえて話をした。


 やはり、全員が納得できないと言いたげだったが、今は自分たちも慣れていないので、そう言う事をお願いする時は頼むと伝える。これは先程シャルロットがルナーリアに言っていた言葉だ。


「さて、食事も終わった事だし、今日の予定を伝える。午前中はローレたちの買い出しの続きだ。これは俺たちで対応するから、ユリアーヌとクルト、ヨハン、ダーヴィト、エッダ、アニータは別の事をお願いしたい。具体的な事はヨハンに伝えているから、後で聞いてくれ」


 ユリアーヌたちに頼んだ買い出しの内容とは、主に行商で使用する物。基本的に扱うのが薬関係、砂糖や塩などの調味料、干し肉や干し魚などの乾物。後は布製品や遊び道具だ。


 大方は、自分たちで作成したりするのだが、それを作るための道具が心許ない。ここらで新しい物に買い替える事にした。


「俺たちは、午後からは一度合流して、再度別れるようにする。俺とシャルロットは商業ギルドへ、ユリアーヌとクルト、ヨハンは冒険者ギルドへ。残りは昨日馬車を購入したところで馬車の使い方のレクチャーを受けて来てくれ」


 商業ギルドへ行商の許可申請などの申請関連に加えて、正式に商業ギルドへ加入手続きを行いに行く。行商の場合は、一時的な露店などは加入をしなくても良いのだが、加入している方が優遇されるケースもある。


 冒険者ギルドと違って、商業ギルドは年間費を支払う必要があり、それが毎年大銀貨二枚必要になる。だから、ちょっとしたお小遣い稼ぎの露店などは、年間費を支払わせると誰も露店を開かなくなるためである。


 商業ギルドのノウハウは、ナルキーソに居た時にヴィーラントから聞いていたので、問題なく進められるはず。


 何はともあれ、まずは午前中の買い物をすませる必要があった。


「では、それぞれ準備が出来次第出発してくれ」


 各々は、ラフな服装から軽装備に着替え直すために一度部屋に戻る。ローレたちは準備する事が無いので、宿屋の入口で待機するように命じていた。


 冒険者として活動する時に着用するブラックレザーコートの袖を通し、腰に愛刀の雪風を携えた。


 他の仲間たちも同様に普段冒険者として活動する服装だが、流石にフル装備ではなかった。ダーヴィトは背中に一つ円形の盾を身に着けており、ハーフプレートは装備していなかった。シャルロットも弓矢は持っておらず、魔法の袋に仕舞っている。リーゼロッテも同様に普段使用する剣ではなく。短剣を腰に付けているだけだった。


「ご主人様、ユリアーヌ様たちは先に出発されました」


 エリーゼからユリアーヌたちの報告を聞き、頷いた後そのまま彼女たちを率いて宿屋を出発した。


 初めに近場にあるお店から回る事にし、宿屋から最も近いお店が武器防具屋だった。皆には魔物との戦闘は基本的にしない様にするが、万が一と言う事もあるし、敵は魔物だけではない。場合によっては人との争いだって起こりうる。そう言った者から自分自身を守るためにも最低限の防具と武器が必要となってくるのだ。


「んーどれが良いかな?」


 まずは、丈夫な服を探す。これは普段着ている服ではなく、行商として街の外に出ている時に着る物だ。服の布地を丈夫な物にするだけで斬られたり刺されたりしても少し緩和してくれる。それに森などに入れば枝や鋭い葉などが服を切り裂いたりもしないと言う事もある。


「此処で買うより、彼女に依頼した方が・・・・、いや、それは流石にやりすぎなのか?」


 彼女と言うのは商業都市プリモーロに居る仕立て屋のハンナの事。彼女は元々染め物を中心に活動していて、その両親が服などの販売を行っていた。そこに水や素材、新しいお店のスタイルを提供したところ、かなり好待遇に接してくれるようになった。今では素材を持ち込めば格安でかなり良い服を作ってくれる。


 デザインは、主にシャルロットから提供されているが、それを冒険者用にアレンジしたのはハンナ自身だ。中にはそのまま採用されたデザイン・・・と言うよりも服の種類も多くあるが、今の所試作品の作成にも至っていないものが殆どである。


「レオンくん?これなんて良さそうに思うけど?どうかな」


 シャルロットが持ってきた服は、リーググリズリーのなめし革を使用し、裏地にオークの革も使用しているので、中堅所の冒険者がよく使用するほどの強度はある。


 寧ろ、行商をする奴隷に身に付けさせるには、かなり過剰な丈夫さとも言える物だ。


「・・・・うん。良いと思う」


 一瞬間が空いてしまったのは、その装備を身につけたローレたちを想像して、問題ないか確認したためだ。


 まあ、これよりも防御力重視に考えるのであれば、このお店では難しい上に値段も高くなってしまう。かと言って鎧はおかしいので、シャルロットが選んだものを購入する事にした。


 サイズがローレに関しては、問題なく在庫があったから良かったが、他の者は合うものが無いと言う事で、ワンランク落としたハイドベアにオークの裏地を合わせた物に切り替える事になった。しかも此方は、なめし皮はあるが服として型取りをしていないので作成に七日から十日は欲しいと言われるので、それで了承する事にした。実際ワンランク落とした所で、レオンハルトは彼女たちの装備に補助魔法で、頑丈さを高める予定なのだから。


 それに今さら出発が三日四日増えた所で問題にはならない。


 ついでに武器も短剣を数本と投げナイフ数本購入した。短剣の中には護身用の物と解体用の物、草木を刈る用など複数の用途に合わせて物を購入した。


「他に何買うの?」


 リーゼロッテは、買い物リストを教えてもらっていないので、この後の予定を尋ねて来た。彼女自身は、これで終わりならお昼まで時間があるので、何処かでお茶をしたいと思っており、それはレオンハルトたちにも分かってしまう程顔に出ていた。


 先の店で彼此一刻ほど滞在していたので、時間的に考えても午前のお茶にはぴったりと言える。


「あと、簡単な小道具や出来れば本も数冊買いたいが、先に少し休んでからにするか」


「この近くに美味しいお店があるからそこにしましょうか?」


 リーゼロッテの希望をかなえると共にローレたちもあまり無理はさせられないと判断し、近くのお店で半刻程滞在した。飲み物だけを頼んだレオンハルトとローレ、ラン。それ以外は果物の盛り合わせをシェアしていた。


 エリーゼやラウラ、ソフィアなんかは遠慮気味に食べていたが、ルナーリアとリンはとても嬉しそうに食べていた。今回は露骨に遠慮しなかったのは、種族的な部分も大きかったのだろう。


 お茶をしている時に、ローレから何処の街へ行くのか尋ねられたので、ユリアーヌたちの用事を済ませるために商業都市オルキデオに行き、帰りは一度南下しつつ商業都市プリモーロや交易都市イリード、そして海隣都市ナルキーソへ向かい。更にそこから北の領地へ移動して行くと伝えた。要は王城を中心に西、南、東、北と順番に回る感じだろう。


 また、他国にも興味があるので、国を転々とする可能性がある事も伝えた。


「ご主人様は、貴族様でいらっしゃいますから、他国へ赴くのは難しいと思うのですが」


 ローレの言う通り、レオンハルトとしては、貰いたくもなかった貴族の地位。しかし、あの場で断る事は叶わなかったので、仕方なくいただいているが、他国へ出国の足枷になる事は目に見えて分かっていた。だからこそ行商と言う肩書がどうしても必要になる。


 冒険者と言う肩書でも十分通じるが、行商も踏まえて移動すれば、貴族の地位を隠したまま他国へ入る事が出来るそう考えていた。


 貴族としての役割?


そう言うのは、やるつもりは一切ないし、国王陛下からも特に何も言われてはいない。


 そんな今後の事についての説明を終えて、レオンハルトたち一行はユリアーヌたちと合流した。


「レオくん。頼まれていた品これで良かったかな?」


 魔法の袋に入れている中身を確認し、問題がない事をヨハンに伝える。


 購入をお願いした物は、行商を行う際の場所取りようのシート。前世で言う所のブルーシートの様な物だ。正し、ポリエチレンなどの合成樹脂製の物は無いので、機織(はたお)り機の様な物で作った少し派手目の絨毯みたいな敷物。水薬(ポーション)を売るための空き瓶。食材を売るための入れ物。これは、色々な食材に対応できるように網籠や木箱、紐等。


 その他にも(タル)の手配に馬たちの餌、調合するための道具、日用品の買い足し、調理道具の追加等々。


 物価の高い都心で揃える方が良いのかと言うと実は、物によっては地方よりも都心の方が、物が安く手に入ったりする。前世だと都心部は物価が高く、地方へ行けば物価が安い傾向にあるが、此方の世界では、受容性や輸送量、人件費、それに人の人数によって値段が上がるため、人口が多い場所の方が安く手に入る。


 まあ、現地で入手しやすい物、例えば魚介類などは海沿いの街で安く、都心や山間部では海から離れる分高くなるし、鮮度の問題でそもそも購入できない事もある。


 また、山間部では、山菜や野草、動物に獣等が手に入りやすい上、安い。その地域に特産品は安いと言ったところだ。


 そのあたりは、あまり手を付けずに比較的何処でも手に入る様な物を今回は王都で揃える事にした。


「これで、大丈夫だ。この後は冒険者ギルドで目ぼしい依頼がないか確認と、出発が少し延びるが大丈夫か?」


 この世界で最も重要になるのが情報だ。そして、最も情報を得る事が出来るのは、実はギルドだったりする。王城に居る宰相たちの耳に届くよりも先に、噂程度のものでもギルドでは頻繁に流れる。


 だから、ユリアーヌたち三人には、情報収集を兼ねて依頼を見に行ってもらう事にした。


 ヨハンは、延びた理由を聞いてきたのでエリーゼたちの防具の制作に時間が必要と説明した。


「うん。わかったよ。僕たちも急いで戻らないといけない訳でもないし・・・・あっ!!そうだ。レオくん、王都に居る間に時間が取れるなら、今度、調合のやり方を教えてほしい」


 詳しく聞けば、調合だけでなく魔法を使った錬成にも手を出したいのだそうだ。武術に秀でている仲間たちの力になろうと頭脳やその他で極力身に付けられるものは身につけようとしていた。


「そうか、だったら他にも戦術や医術なども教えてあげる」


 ヨハンの戦闘スタイルは、魔法を使った中距離戦闘。援護や補助に加え、仲間たちに指示を出したりもする彼は、司令官タイプ。そこに戦術を覚えるだけで軍師の様なポジションに早変わり、医術はついでだが、覚えておいて損は無い。


 その後、昼食を取り、午後の予定に合わせて解散した。


 ユリアーヌたち三人は冒険者ギルドへ。リーゼロッテたちはローレたちを連れて昨日馬車を購入したところで、馬車の手入れや馬の手入れのやり方、馬車の操り方の指導を受けに行った。


 そして俺とシャルロットは、商業ギルドへ向かった。


「なあ、俺たちが売る物って一般的なものばかりだけど、何かうちの行商はこれが強みみたいな物でも売る?」


 レオンハルトの発言は強ち間違ってはいないが、色々な物に手を出している行商人は割と少ないと言うか水薬(ポーション)等の薬を売るのは低級の物は売っているが、彼らが売ろうとする品質は中々なかったりする。


「うん、だったら調味料をアレンジしたり、娯楽品を販売したりするのはどうかな?」


 娯楽に飢えていると言っても過言ではないこの世界。孤児院を出る時にも幾つもの娯楽品を作ってきたので、シャルロットの提案は決して難しくはない。


 結果、商業ギルドにたどり着く前に追加販売する事にし、調味料だとマヨネーズやケチャップ等比較的材料が手に入りやすい物。娯楽品はジェンガ等の積み木系から屋外で遊べるための縄跳びなどを販売する事にした。


 ビニールロープなどは当然ないので、荷物を縛るための紐を使用した昔ながらの縄跳びだ。


 それらが話し終える頃に丁度、目的地である商業ギルドにたどり着いた。


 その頃、王城のある場所では、深刻な顔で国王陛下及びその重鎮たちが今後について話し合っていた。


此処まで読んでいただき、ありがとうございます。


来週は、土曜日に仕事があるので、投稿できるか怪しいです。


今日中に粗方書き溜めしたいのですが、出来なかった申し訳ございません。再来週に投稿させていただくと思います。


また読んでいただけるとうれしいです。

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