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014 商業都市プリモーロ

 商業都市プリモーロ。交易都市イリードから馬車で片道三日程の距離にある大きな街。人口はイリードより多い約十五万人が住んでいる。アプリモーロ周辺は土地柄、他の街に比べても平均気温が高く雨も降りにくい為、プリモーロより西は砂漠が広がっている。その為か水の価値が非常に高い為、水属性魔法を使える者はかなり歓迎される。


 しかしその反面、商業都市と呼ばれる程にお店が活気で、彼方此方にたくさんのお店や屋台等が出店している。特に有名な物が布製品である。砂漠にいる芋虫の魔物シルクモスや蜘蛛の魔物ハンタースパイダー、レッドスパイダー、シルクタランチュラ、プリモーロの北にある牧場で飼育されている羊や山羊、ラクダ等と街の周辺に布の繊維となる素材が豊富にあるからだ。


 その他に砂漠に生息する背中に宝石の様な外角を持つ蠍ジュエリースコーピオンや砂漠鮫サンドシャーク等、素材として優秀な魔物も豊富にいるのだ。特にサンドシャークは、冒険者の防具には打って付けの様で中堅者の二割近くはサンドシャークの素材を使った防具や武具を持っている。


 そんなプリモーロにやってきて既に三日。今は冒険者ギルドの依頼である、ワームの駆除を受けている。


 何でも街の近くにワームが数匹目撃されたとの事でそれの討伐の為、見つけ次第始末している。


 まあ依頼としては十匹以上討伐する事らしく。同じ様に依頼を受けている冒険者もちらほらいた。


 特に問題なく討伐を終え、討伐部位である頭を持って依頼を完了し、身体はそのまま買取の窓口で買い取ってもらった。それをどうするのかは流石に聞きたくなかったのでスルーする事にした。


 なぜ、この街にいつまでも滞在しているのか、それは新品の服を何着か購入し、それを作ってもらっているからである。初めは布地を買いに来ただけだったのだが、折角なので洋服屋も見て回って居たら、あれが良い、これも良いとあっちこっち付き合わされて現在に至る。


 布地も何種類か購入しており、服関係だけでマウントゴリラ一体分のお金が消費されてしまった。


 低ランクの依頼では、そんなに足しにならないが、ギルドランクを上げるために依頼を熟していると言う事だ。


 それとは別で、商業ギルドも登録しておいた。此方も元々は登録するつもりはなかったのだが、貴重な水を水属性魔法で賄っていると周囲の者たちから売ってほしいと殺到され、売る事にしたのだ。ただ、許可書等がなければ売る事が出来ないので、許可書を貰うついでに登録を済ませたと言う事なのだ。


 登録の時に少し驚いたことがあり、何か身元が証明できる物があるか尋ねられ、冒険者ギルトカードを渡すとそのカードに商業ギルドカードの登録証明書になるよう変更してくれたのだ。


 前世で言う所の普通自動車運転免許の免許書に大型自動二輪を加えた様な感じだ。


 冒険者カードの文字の下に商人カードを記載されていた。


 登録後は、簡単なお店を作り土属性魔法で(かめ)を作り、その中に水属性魔法で作った水を入れて売る。原価にお金が全くかかっていないのに対し、水は飛ぶ様に売れた。


 最終的に金貨八枚も儲かり、売り上げの一割を商業ギルドに納めた。売り上げの一割を収める事は決まりの様で、売り終えた商人たちは、商業ギルドに納めに来ていたが、どうやって確かめるのかはよくわからなかった。恐らく、許可書を貰う前と納める時にカードを提出していたので、そのカードに秘密があるのかもしれない。


「ねーこれ何てどうかな?」


 現在、戦闘用の服を選び中、新品の服を購入したが、それはあくまで普段着やおしゃれ用の服、驚くべき事に冒険者として活動している時の服は一着も買っていないのだ。


 これは・・・本当に驚くべきことだ。


 何せ、この街に来て三日も経過しているのに一度もそう言った服を購入しようと考えていなかった女子二人。何度かそれらしい事を伝えてきたが、こういう時の女子は何故か強く、物理的に負けてしまって現在に至るのだ。


 しかも購入するきっかけが・・・・ただ、生地の関係上、暑くて蒸れると言う残念な理由だった。


 まあ戦闘用の服にも目が行ってくれたので此処は良しとするしかない。


 結局、性能がどうとか、通気性が、質感が、動きやすさが、デザインが、色合いが、と散々店を回った挙句良さそうな服は見つからなかったので、適当に良さそうな食材を買って終わった。


 シャルロットは、一から作るしかないのかなと呟いていた。防具に関して見てみたが、性能が良くても見た目がいただけなかったので保留にしている。最悪、イリードにいるトルベンに防具も作ってもらえばいいかと考えていた。


 それから数日間は、依頼を熟したり、水や水薬(ポーション)を売ったりして元を取り戻すため、勤しむ。


「すみません。このお店ではあとどの位、お水の在庫がありますか」


 自分たちより少し年上な感じの綺麗な女性が話しかけてきた。一日に売っても良い水の量は決まっているので、残りの在庫の量を伝える。


「足りないなー」


 小さくつぶやいたその言葉をレオンハルトは聞き取る。訳ありなのだろうかとその女性に詳しく聞く。


 何でも洋服の仕立てに関する仕事をしているそうなのだが、その仕事のために大量の綺麗な水が必要なのだそうだ。その仕事と言うのが染め物の作業で、染めた布地を洗うのに綺麗な水を使用する方がきれいに染める事が出来るのだとか。しかし、水が貴重なこの街でそのような使い方をすれば一気に財政破綻をする。こういう染め物を生業にする人は、染めた布を洗う水を何度も使いまわししているのだそうだ。


 だからか、布製品で優れた街なのに、染め職人のお店にある布は、基本同一色が多い。例えば、一つのお店には青色と黄色と黒色、別のお店では赤色、紫色、茶色しか取り扱っていないと言う感じだ。柄物はそこに拍車をかけるように取り扱っているお店が少なく仮に在ったとしても値が張ってしまうのだ。


 そう言えば、この女性が身に着けている服は、色合い的にも鮮やかな水色、所々可愛くあしらわれた白いレースや服のデザイン。拘り抜いた一品に見える服だった。


 隣にいるシャルロットとリーゼロッテは、その服に偉く興味を持っていた。


「この服は、一から自分で作った物なのよ。何着か作って売ったり、自分で着て宣伝しているのだけれど・・・・注文が入っても大量には作れないのよ」


 人手不足や素材不足もあるが、何よりも水不足が一番痛い問題らしい。拘るからこそ良い服が出来るが、それが仇となって作業を遅らせている。


 こうして、安い水が売っていないか、見て回ったり、自分自身の水属性魔法で水を生成したりして、何とかしているのだと言う。


「あのねレオンくん。私たちで如何にかしてあげられないかな?」


 シャルロットは、彼女に協力してあげたいと申し出てきた。それは、彼も同じ気持ちだが、此処で沢山の水を出してあげたとしてそれは、一時的な解決でしかならない。一色作るごとにたくさんの水を使用するのであれば、なおさらであろう。


 考え抜いて出た答えが、スポンサーになるのはどうかと言う事。


 この女性の後ろ盾になれば、水や素材となる材料調達、戦闘時に着用し他の冒険者たちにアピール等する宣伝だ。彼女に弟子などを付ければ、効率はさらに上がる。要はトルベンの衣類バージョンだ。しかもトルベンの所よりもかなり手助けが必要ではあるが、需要と供給がきちんとできる。


 そこまで伝えなくてもスポンサーになると言う案だけで、シャルロットは大賛成してくれた。リーゼロッテはスポンサーが何かよくわからないが、レオンハルトとシャルロットの考えた事はこれまで外した事がないので、分からないなりにもスポンサーの案を賛成してくれた。


「すみません。もし宜しければ少しお時間をいただけないでしょうか?」


 レオンハルトの問いに何かあるのだろうかと思い取りあえず話だけは聞いてくれることになった。


 さて、そうと決まれば、残りの水を叩き売りする。と言っても平均価格の一割増の値段から平均価格より二割減にして売っただけだ。


 それを見た女性は、自分が買いますと言おうとしたのだが、そこはこの後の商談に関わるので、外れてもらった。納得の行かない雰囲気だったが、お話の後で先程と同じ量の水をプレゼントすると伝えるとかなり驚かれていた。


 安くした事で、一瞬で水は完売。水薬(ポーション)は回収して魔法(マジック)(バック)の方へしまう。


 売り上げの一割を収め、近くの飲食店へ入る。


 三人と一人が向かい合う様に座り、それぞれ軽食を注文。彼女は遠慮していたので、ご馳走しますよと言って注文させた。


 別に商談を断りにくくするためではなく、単純に善意での行動だ。


 さて、商談を始めるとしますか。


「まずは、自己紹介からしておきますね。俺は、冒険者のレオンハルトと言います。水などを売っていましたが、商人としての活動は一昨日からですので、そのあたりについては後程説明します」


 レオンハルトに続く様にシャルロット、リーゼロッテも自己紹介を済ませる。


「三人とも、その・・・冒険者なのね・・・あっすみません。私はハンナって言います。仕事は仕立て屋をしています。自分の仕事場もお店もあるのですが、・・・・店舗の方は休業中です」


 ハンナはそう言うと少し恥ずかしそうな態度をとる。場所はあっても品がないのは確かにいただけない。


「ハンナさん。お話と言うのは、自分たちの専属の仕立て屋になってもらえないかと言う事です。ああ専属と言っても店舗に商品を出して他の人に売っていただいても構いません」


「せ、専属ですか?ってお店に出せるほど数が揃っていないので無理です」


 ハンナに事細かく説明する。自分たちが後ろ盾となり、安定した水の供給、布地に必要な繊維の確保、作業の手伝い等である。その代わりに彼女たちが希望するような服のデザインや制作の依頼などをお願いしたい事を伝える。


 自分より年下の彼らの言葉をどこまで信用してよいのか、作った挙句支払えない等言われてもハンナは困る。それにどんな要求をされるのかも分かったものじゃない。


 断ろうか考えている所に、信用してもらえるよう水属性魔法で水を生成する。


 あまり大量に生成するとお店側に迷惑をかけるので、手のひら大ぐらいの大きさの水球を両手に作る。俺とシャルロットの二人で合計四つの水球だ。しかも、そのままにしておくことも出来ないと水属性魔法の上位にあたる氷属性魔法で一瞬にして凍らせる。無詠唱で突然手の平に水の塊が出来たと思ったら、次の瞬間それが凍り付き氷の塊が四つ出来てしまった。


 その魔法技術にハンナは口を押えて驚く。素材調達に関しても問題ない事を証明するため、昨日偶々遭遇して得た糸の塊を取り出し見せる。


「こ、これってスパイダーシルクっ!!しかも加工前の物」


 そうシルクタランチュラが獲物を捕る時に吐くシルク製の糸だ。シルクタランチュラはギガントボアよりは格段に弱いが、糸の採取はかなり難しいと言われている。糸を吐かれる時は誰かが餌として捕まる時ぐらいだ。運よく躱して倒しても量が少なかったりするのだ。


 このシルクタランチュラは、シャルロットが偶然見つけ突然、この魔物の糸が欲しいと言ってきたため棒を取り出し、吐き出した糸を棒で絡めとった。後は只管(ひたすら)同じことを繰り返し集めたもの。


 高級品として扱われるため、手に入れ様とすると難しかったりするため、目を輝かせてスパイダーシルクの加工前の蜘蛛糸玉を見ていた。


 実際には、見せた代物以上に入手しているので、商談が成立したら見せてあげようと考える。


 水属性魔法とスパイダーシルクを見せたおかげか。その後の商談はスムーズに進む。


 軽食後は、ハンナの作業場へ向かう。商談が成功したので、取り敢えずハンナが仕事しやすい様に大量の水を用意するためだ。


「おー知らない物がいっぱいあるなー」


「ねーシャルちゃん、これ見てとっても良い色に染まってるよ」


「こっちの色味もすごく綺麗。ハンナさんこの生地は何に使うんですか?」


 染め物の柄を見ても、確かに綺麗だった。一枚物の布も見事ではあるが、女子二人の様にすごく感動する程でもなかった。と言うよりも男は基本こう言った物を見せられても困る。


 ハンナと楽しそうに話すシャルロットやリーゼロッテを見て、もう少しそのままにして置いておこうと何も置いていない場所に(かめ)を作り、水を入れていく。


 暫くするとハンナが申し訳なさそうにやってきた。恐らく俺を除け者にしてしまった事への申し訳なさだと思うので、謝られる前に何処に水を入れたらいいか尋ねる。


 ハンナに案内されてついて行くと、沢山の(たる)が置いてあった。樽の上には(おもり)の石を置いて樽の蓋が飛ばないようにしている。樽から少し漏れる液体が赤色や黄色などの色をしていたので、染めている途中の物だと判断できた。


「すみませんが、この中とあそこと、その奥にもう一つあるのでお願いします。この量になるとどのくらいで溜めれますか?」


 やや大きめの貯水樽・・・・前世で言う学校の屋上にある貯水タンクと同じぐらいの大きさ、それが三つほど置いてあった。


 まあ普通はこの量を何日かに分けていっぱいにするのだろうけど、毎日魔力に関するトレーニングも行っているので、この量なら一瞬で終わってしまう程度だ。


「今日中には全部終えられますよ」


 そして、指定された場所の貯水樽の蓋を取り、水属性魔法で生成した水を流し込む。一瞬で満タンにしようかとも考えたが、余りに常識はずれな事をしても後が怖いので、徐々に入れる事にした。


 二つ目はシャルロットが担当し、同じように徐々に貯水樽に水を注ぎこむ。リーゼロッテは、あまり使われず閉められてしまったお店の掃除をしていた。


 一つ目と二つ目が溜まり終わり、三つ目をシャルロットに任せ、俺はスパイダーシルクの蜘蛛糸玉を取り出す。次々出るそれを見てハンナの顔は、かなり青ざめていた。まあこれだけあれば一年以上遊んで暮らせる量だからだ。出し終えたら、今度はリーゼロッテに呼ばれていたので、其方へ移動。


 二十畳ほどの作業場の先にある通路を通ると十六畳ほどの広場に出る。そこから更に奥に進むと六畳ほどの店内に二畳ほどのカウンターが備わっていた。作業場は一階のみだったが、店舗の方は地下と二階の三階建て構造になっている様子。


 作業場でも思ったが、沢山の柱で支えているためか凄く狭く感じるし、よくわからない壁もあっちこっちにあった。


 リーゼロッテは、店内の床や柱の一部が壊れているそうなので修理が必要との事だったが、いっその事改装した方が容易なのではないかと考え、改装案をハンナに伝える。


 改装やリフォームなんて言葉を使っても分からないだろうから、お店の中を少し手を加えて良いか尋ねる。ハンナは少しばかり時間を置き、両親に聞かないと分からないとの事で、両親の元へ行く。


 ずっと一人で作業をしていたので、両親はすでに他界しているのかと思ったが、如何やらこの場所は亡くなった祖父のお店だったらしい。両親の仕事は服や生地を売る仕事をしているようで、そこへお邪魔する。お店まで案内されて気が付いたが、案内されたお店は俺たちが何枚か服を購入したところだった。


 ハンナの両親も此方を見て驚かれており、そのままハンナのお手伝いと此方からの依頼したい内容を伝え、何故か両親も積極的に協力してくれることになった。


 如何やら両親もハンナの事を心配していたようで、斬新な発想に服のデザインの高さ、それを作り上げる技術どれも一流に届くだけの力はあるが、拘りが強く妥協しないために商売としてやっていくのは難しいと思っていたようだ。


 肝心の水問題も解決し、布の素材も高級品の物を用意したことで、漸く娘の才能を生かす事が出来ると喜ばれる。


 店舗の改装も許可してくれたので、早速取り掛かる事にする。現代ですれば半年近くかかる大改修を魔法の力でかなり早く済ませられる。


 取りあえず、中の柱をすべて壊すために柱以外の物を先に壊す。床板や壁、ついでに外壁もすべて壊す。ご近所に迷惑が掛からないよう巨大なドーム状の結界を張って作業を進める。


 まずは、地盤強化をするために、土属性魔法で地面を硬くしていく。物凄く固くしてしまうとそれはそれで問題になるので、今より数倍硬くする程度だ。


 次に柱を無くすため、作り方をRC(アールシー)工法の物にする。床部分に鉄筋の様な物を張り巡らせる。下地作業の中では一番時間が掛かってしまう。これを床だけでなく壁も同様に張り巡らされ天井に二階部分も同様に造る。鉄筋で全体の骨組みを作り終えると今度は土属性魔法でコンクリート以上の強度を持つ素材を全ての面に造った。


 当然、扉や窓と生活する上で必要になる場所は、事前に木枠をはめ込んで置いて穴をあけるように張り巡らせた。


 この作業だけで、思いのほか魔力を消費してしまったので、今日はここまでにする。


 翌日は、地下の補強を行い、すべての面が硬質化した事で、中の柱をすべて取り除いた。木材が足りそうにないので、空間魔法『短距離転移(ショートテレポート)』の上位版『転移(テレポート)』を使って、海隣都市ナルキーソの北部にある森、前にマウントゴリラと戦った地点に転移し、更に奥地へと疾駆する。


 腰に装着している刀、雪風を抜刀し、良さそうな木々を次々に伐採する。数十本の木を燃えない程度に中を焼き、木の中に住まう虫を焼き尽くした。素早く刀で等間隔に切って行き必要な形の物を次々作り出す。


 それを持ち帰り、まずは外壁の内側に木の柱の骨組みを作る。暑い地域なので、店舗の中が快適になるよう通気性も万全な配置にしつつ、内枠も完成する。


 三日目には、リーゼロッテにハンナの両親のお店に出来上がった服を取りに行ってもらい。その間にシャルロットと二人で、完全回復している魔法を乱用する。熱を吸収する性質のある木を細かい破片になるまで風属性魔法で切り刻み、それを外壁の内側に建てた木の支柱と支柱の間に詰めて『魔法障壁(プロテクション)』でこぼれない様に抑え込みその隙に木の板で壁を作っていく。


 気が付けば、内装の床、壁、天井がすべて終わって一つの大きな部屋と化していた。魔石を原料に光る魔道具を購入して備え付ける。此処からは少し細かい作業に入り、リーゼロッテに木で人の形を作ってほしいとお願いし、シャルロットに商品棚やカウンター作り、俺は入口や窓、階段、店頭に陳列窓(ショーウインドー)を作る。


 一週間ほどで、店舗と地下、二階をすべて作り終える。陳列棚(ショーウインドー)用の硝子を入手するのが難しかったので、自作するのに時間がかかってしまった。


 少し休憩も兼ねて、依頼を受けたり、水売りや水薬(ポーション)売り等行いつつ作業を進めた。更に一週間かけて屋内外の作業場と外壁の飾りなど手掛ける。


 半月ほどですべての改修が終わった。改修と言うよりも新築を立てた感じがするが、そんな事はどうでも良い。店舗内の倉庫をすべて店舗に変えてしまったので、倉庫がなくなってしまった。なので、作業場の上に二階と三階を増設した。店舗の方も二階の上に三階を増設した。この作業自体はあっと言う間に終わる何せ同じような材料がたくさん余っていたのと、作り方のコツを掴んだのでサクサク作業が進んだ。


「お、お、お店が生まれ変わっとるーーー」


 ハンナの両親は眼が飛び出るかのように驚いていた。ハンナ自身で出来たばかりの店舗や作業場を案内して回った。一人で服を一から作っているために店舗や陳列窓(ショーウインドー)にある木製のマネキンには、何も着せていないが、行く行くはたくさんの品が並ぶ事だろう。


 シャルロットとリーゼロッテは、自分の思い描く服のデザインを木札に描き、それをハンナに渡していた。水の補充や原材料の確保のために定期的に訪れる事を伝え、プリモーロを後にする。


 そのまま、交易都市イリードまで空間属性魔法『転移(テレポート)』で移動し、トルベンが戻っているか確認する。


 既に戻っていたので、プリモーロで入手した鉱石や魔物の素材をお土産に置き、代わりにシャルロットの弓と短剣、リーゼロッテの剣を作ってほしいとお願いする。トルベンは、直ぐに了承してくれ、早速どういう形状が良いか話し合った。


 王都での商談がうまく行ったようで、持って行った刀すべて売れたそうだ。


 トルベンのお店も中々順調の様で何よりだ。そして、武器が出来るまでのんびりする事にした。シャルロットは珍しく、部屋に閉じこもって出来上がるまでの期間食事や買い物以外ほとんど部屋で過ごしていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字などございましたら、お知らせください。

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