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リリィさんが部屋に案内してくれた。
リリィさんは薄いピンクの髪の毛にアメジストのような瞳。
とっても綺麗、立ち居振る舞いもどことなく上品だ。
「今日はお疲れでしょうから、ゆっくりしてください。夕食時にお迎えにあがります。」
出て行こうとするリリィさんに慌てて声をかけた。
「あっあの着替えが欲しいんですが。」
今、私が着てる服は王子様が用意してくれたもので、とても上等な事が分かる。
これではゆっくりできない。
リリィさん達と同じような服を着たいと言ったら、とても変な顔をされた。
「これは使用人の服です。貴方はアレク様の招かれたお客様のようなものです。
同じ服を用意は出来ませんが。」
途中で言葉をきると、上から下まで私を見た。
「確かに、その洋服ではくつろげませんね。確認してまいります。」
失礼しますと言って出て行った。
案内された部屋は思っていたよりも、広かった。
ベット、机に椅子、ソファーを置いても十分な広さがあった。
机の引き出しを開けてみた、何も入っていなかった。
クローゼットも何も入ってなかった。
下着とかも欲しいな。
リリィさんが帰ってきたら、また聞いてみよう。
ソファーに座ってボーっとしていたら背中が痛くなってきた。
あのお医者様はなんていってたかな。
確か傷は外側しか治っていない、内側の深い部分がまだ完治してないから気をつけなさいとか。
今日は朝から準備やら移動やらで、忙しかったからかな。
いつもより痛いなぁ。
少しぐらいなら大丈夫かな。
ソファーに上半身を預けて横になった。
あっ、あの声だ。
ささやくような、歌っているかのような心地よい声。
さっきまで重かった身体がふわふわと浮いているような感覚。
それに暖かい。
気持ちよくてぎゅっとくっついた。




