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アレクさんの領土へは、思っていたより早く着いた。
それは距離が近かった訳ではなく、不思議な乗り物で空を渡ったからだ。
どうも、私がいた世界とは根本的なことが違うようだ。
これからの事を考えると不安になる。
しばらくは、アレクさんに面倒を見てもらえるようだけど。
そのアレクさんは、本当は面倒を見たくないようだけど。
とても不機嫌そうに、していた。
怖い。
アレクさんの家はとっても大きかった。
家に入ると白髪交じりの男の人が出迎えてくれた。
柔和な微笑みを浮かべて
「アレク様、お帰りなさいませ。」
アレクさんは、あぁと言うと、
「これを応接室に。あと、みんなも呼ぶように。」
と言って足早に奥に行ってしまった。
「お嬢様、こちらに案内しますね。」
先ほどと同じ笑みを浮かべて、突っ立った私を優しく促した。
エスコートがとても紳士的で素敵だった。
案内されたお部屋は、ソファーとテーブルしかないシンプルな感じだった。
ソファーもテーブルも古くても、とてもいい物のように思われた。
進められるまま、座って待っていると。
着替えたアレクさんが戻ってきた。
私の前に座ると、色々説明してくれた。
アレクさんは、このあたり一体の領地を治めているのと
第三騎士団長としての仕事もしているらしい。
どうりで、大きな体は胸板も厚く筋肉質そうだ。
私には一人専属の人をつけてくれるらしい。
その人がこちらの世界の事やマナーを教えてくれるそうだ。
あと、食事はみんなで食堂でとる事。
朝は8時、夜は18時。お昼は交代だそうだ。
「アレク様、みんなそろいました。」
この家の人たちであろう人が部屋に入ってきた。
先ほど部屋を案内してくれたのが、
ハリスさん。執事だそうだ。
続いてハリスさんの息子さんで
ブラットさん。執事見習いだそうだ。アレクさんとは同い年だそう。
二人ともよく似ていた。
マルコさんとバーベナさんは夫婦で料理など担当しているそうだ。
バーベナさんは3人の子供の母だそうだ。
それと、侍女の人たちが2人。
アベリア、ルクリアは双子の姉妹。
二人とも見分けがつかないほど、似ていた。
そして私の先生になる
リリィさんだ。
こうやって見ると皆さんとっても美男美女である。
この国は、これが標準なんだろうか。
自分の容姿を思って恥ずかしくなったが立ち上がって
「さくらといいます。宜しくお願いします。」
と頭を下げた。




