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「そう、サクラって言うんだね。」
王子様が確認するように言った。
私は、こくりと頷いた。
「年はいくつかな。まだ成人してないよね?」
うーんと私を上から下まで見ると、
「黒髪の迷い人だから後、2~3年で成人ってところかなぁ。」
とつぶやいた。
私は今年高校を卒業した。
4月からは大学生になるはずだった。名前からも分かるように私は4月生まれなのでもうすぐ19歳になる。しかし、幼いころから栄養状態が悪かったからか私は小さい。
2~3歳ぐらいは幼く見えるのかもしれない。
「あと一年で成人します。」
答えると
嘘だろう。というような声が聞こえてきた。
「王子、この迷い人は私が領地で面倒を見ましょう。」
ずいっと周りから一人の男が出てきた。
薄茶色の髪の毛にブルーの瞳。
欧米人のような色合いで馴染みがある思ったのは一瞬だった。
目が合った瞬間にぞっとした。
舐めるように私を見ると、にぃっと笑った。
この人の所に行ったらヤバイ。
絶対に行ってはいけない。
長年の勘がそういっている。
王子様にうまく言わないとと思うけど
あせって言葉にならない。
「この迷い人は、私の屋敷で療養する事が決まっている。」
先ほどの不機嫌そうな顔の人が、これまた不機嫌に言ってのけた。
「はぁ、貴方の屋敷といいますと、あの貧乏領地の事ですか?
それでは迷い人に不自由させるんじゃありませんか?」
とっても見下した言い方だ。
眉をひそめてしまう。
「まぁまぁ。僕がアレクにお願いしたんだ。ちゃんと、こちらで費用も持つし。」
王子様が割って入った。
「でも、私でしたら、」
まだ食い下がろうとする
「フィリップ。僕がお願いしたんだよ。それにね。今回の迷い人は瀕死の重傷で、まだ完治していない。」
周りの空気が変わった。
フィリップとかいう人もあわてて、辞退した。
なんかよく分からないが、私はアレクさんのところでお世話になって費用は王子様が出してくれるようだ。




