おばあちゃんの話
なんだい?宿題?こんな年寄りを巻き込もうとは…なんて面倒くさい宿題だろうね。
仕方ない、話してやろう。何がいいかね?…そういうのが一番困るんだけどね、何でもいいなんて。
まあいい、それじゃ、心を欲しがった人形の話をしてやろう。
なんだ、知っているのか。じゃあどうしようね…。ん?そうだよ。お前の部屋にある絵本の…何を言ってるんだい、知ってるんじゃなかったのかい?違うよ。おとぎ話なんかじゃないよ。お前の宿題はこの土地にまつわる話を大人に聞いてくるってんだろう?
そうだよ。あのお話は、この土地で確かにあった出来事さ。私は聞いたんだよ。まだお前くらいの歳のときにね…。
この村には子どもが多いと思わないかい?こんな寂れた村にさ。魔女が祝福しているからなのさ。この土地に住む魔女たちは揃って子ども好きが多くてね。
だが昔はもっともっと多かった、私が子どもの頃は。力ある魔女がいてね、彼女の祝福のおかげだったのさ。私たちは魔女の家に入り浸っては遊び散らかして帰ったものさ。あそこにはお菓子もおもちゃもなんでもあった。だがなによりそこで聞かされるお話に、子どもたちは目を輝かせてね、皆一言も聞き漏らすまいとしていたよ。
今でも覚えているよ。安楽椅子に座ってね、ほとんど目を閉じながら、歌うように老婆が語るんだ。
「むかし、むかし、この婆がまだ歳若い少女の姿だったときの話だよ…」
ってね…。