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2.膝枕

お気に入りありがとうございます!

今回は短いです。





………………のヤロウ……!!

あの時ほど私は人を消したいと思った事はない。






*************



「ライザック様は、お仕事をされてるんですね。」

姫様、そんな可愛い顔して首をかしげないでください。

男はみんなオオカミです。





腹が立って仕方がないのに、この状況下を力づくでどうにかすることもできない。

「アルティアライン様、こちらに兄上がッ……!!」

……いいところに来てくれました、アルバート様。


「……ミラさん、ポネーさん…。」

そんな、何で止めてくれなかったんだ、みたいな顔しないでください。

「……私はお止めいたしました。」

そもそもなんで書庫に行って帰ってきたと思ったら、ディノーバ将軍の頭を膝に乗せてるんですか、姫様。ってか、なんでなに気持ちよさそうにされてるんですか将軍。

アルバート様にさっさと回収されていってしまえ。

「……冗談はここまでにします。ディノーバ・ライザック閣下、陛下がお呼びです。至急執務室まで」

「!……わーった。じゃな、姫さん。また来んぜ」

ディノーバ将軍はアルバート様と一緒にポネーの開けた扉から出て行こうとする。

よし、これで平和になる。

心の中でほくそ笑みながら、侍女らしく礼をして二人が通り過ぎるのを待つ。


「あんたも、またな。」

驚いて思わず振り返ると、二人はもう扉を過ぎた後だった。

一番近い位置に居たポネーも聞こえなかったようだ。

……分からない。分からない、人。








*************



「んで?……用件は?」

「あぁ、例の件ですよ。こちら側につく貴族は全員納得したようですが……どうやら、反対派ではあの方が一番面倒ですね。」

どうやって懐柔しましょうか?、と弟は半分面白そうに、半分面倒くさそうにこちらを見た。

「あぁ……先代の弟君……今は公爵だったか?頭の固い爺さんそのものだよなぁ……。」

めんどくせ、と呟くとアルバートは苦笑した。

「誰が聞いているともわかりませんから、廊下で言わない方がいいですよ?」

「それ言ったら、例の件なんていうもん自体話に出すなよ。人の気配もないし、ってかここミシェルの部屋の近くじゃねえか。……大丈夫だろ?」

多分、と付け加えながら、あくびをする兄にアルバートは思い出したように手に持っていた本を差し出した。

「そうそう、はい、これ。頼まれてた本です。でも、兄上が仕事以外に本を読もうとするなんて。……しかも恋愛小説だし。」

弟がこの本の作者の作品をすべて持っている事は知っていた。だから、すぐに用意してくれるとは思っていたが……。

「まぁな、ちょっと。……別に急ぎでもなかったんだけど。悪いな。じゃ、貸りてくな。」

「いいえ、最近……あれ?もしかして、そういうことですか?兄上。」

しまった。アルに貸りるべきではなかったか。ライザックは瞬間的にそう感じた。

この弟は周りの空気を読むのが恐ろしくうまい。

そして、相手の腹の内を悟るのも。

「……まぁ、いいじゃねえか。なんでも。」

何とかその場の空気を流そうとする。

「えぇ、いい傾向です。上手くいってくださいね。僕も彼女なら大賛成です。」

にこにこと自分より前を歩く弟を苦い思いで見る。

……いい弟だよな。全く。




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