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1.主の婚約

男色王と書籍王妃を先に読んでいただくことを推奨いたします。

時期的には男色王3話の後。

すらりとした細身な身体。

柔らかく、風に乗りそうな髪。

そして何より、優しい笑顔。

それが、私の理想の男性―――。



















「いっ?!」

「おぉ、あんたか。」

「き、きゃぁぁああああっ!!!!」

目の前にある分厚い胸板、引き締まった腹筋。




違う、私の理想じゃない!

ってか、




服を着ろーーーーーーーーっ!!!








*************









「悪かったって。機嫌直してくれや。」

目の前にはちゃんと服を着てくれた大男が座っている。

「・・・。」

彼はなにも答えない私の扱いに困っているように見える。

叫んでいると周囲の視線が集中するのにいたたまれなかったのか、ディノーバ将軍が私の口を塞いですぐ近くの部屋に引きずり込まれた。

落ち着いてきたころ、どうやらここはディノーバ将軍の私室なのだと理解する。

そもそも廊下で上半身裸って、どういう事?!

しかも叫んだ私の方が珍しいというか、変な人間みたいになってるし・・・。

・・・おかしい。

・・・しかもこれ初めてじゃないし。

ディノーバ将軍に廊下で会ったのは今日が初めてだけど、それまででも何人かの男性の・・・裸・・・あ、上半身だけだけど!・・・見てて・・・。

個人的にはやな感じだけど・・・慣れてる・・・つもり、だった・・・けど。

・・・・・・正直、驚いた・・・。

・・・だって、いきなりだったし・・・。





コンコン、と扉を叩く音が聞こえ、ディノーバ将軍がため息をつく。


「・・・あー、・・・まぁ、いいか。」

ガチャっという音がして、扉をディノーバ将軍が開けたのだと分かった。

「・・・・・・?」

来客なのか、しかしなにも言わないので不審に思って振り向くと、扉のところで顔を真っ赤にさせて立っている男性が目に入った。




「・・・陛下?!」

顔の赤い男性は、この部屋の主の恋人で・・・自分の主の婚約者であるテロルゴ国王ゾロディアス・ファガース・テロルゴ陛下だった。













*************






私は、動けずに部屋を出たすぐ近くでしゃがみこんでしまった。

・・・噂に聞いていた。

陛下が男色であること。

本当だと、姫様に告げたこと。

・・・ディノーバ将軍は陛下の“恋人”であること。

わかってはいた。・・・わかってはいたけど・・・。

「・・・実際に目の当たりにするとキツイわね・・・。」

独り言に帰ってくる言葉は当然ない。

細かく言うと、実際の『交際中』を見ているわけではないけれど・・・。

「・・・陛下のあのお顔は・・・。」

本当に、噂通りの人物。

少なくともそう解釈して問題ないはずだ。


・・・噂を認めてるのに、恥ずかしいのね・・・。・・・きっとディノーバ将軍にしかみせない顔をしていたのだわ・・・。

使用人の一人としては、まずいことをしたという感覚がある一方で、姫様にお仕えする側としては、この真昼間から何してやがるんですか、と思わずにはいられない。

姫様は、本当になんでわざわざあんな噂持ちの国王に嫁ぐ気になったのだろう。




祖国で・・・



『・・・テロルゴから・・・?』

『あぁ、婚姻の申し込みがあった。・・・アルティアライン、噂は知ってるな?』

『男色王、ですか・・・。』

『お前を嫁にやってまで欲しい利益はない。・・・断るか。』

『・・・・・・いいえ、兄上。行きます。』

『・・・・・・・・・おう、いつでも出戻ってこい。』





なんて、ほんの少しの時間で即決してしまった姫様のお心がいまだに理解できないわ。

陛下も陛下・・・。なんで、『いつでも出戻ってこい。』なのよ・・・。






・・・それにしても・・・テロルゴ国王・・・。






・・・あれが、・・・姫様の婚約者???





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