表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

01  世界との繋がり方

 それは、とても、簡単で。


 私は対象の頭に触れる。ただそれだけでいい。あとは相手が、勝手に死んでくれる。私は自らの身体を返り血で汚すことなく、対象を始末することができる。


 私の手に流れる特殊な微弱電流は、絶縁体ですら貫通する。そしてこの微弱電流は、自分の意志では止められない。たとえ私が分厚い皮手袋をしていたとしても、殺意がなかったとしても、この手でヒトの頭に触れれば、そのヒトは簡単に死んでしまうだろう。


 それが、何を意味するのか。




 眠っている男の頭に、軽く手を置いた。途端に、安らかだった男の寝顔がぐにゃりと歪む。今頃、恐ろしい悪夢でも見ているだろう。

 私は自分の荷物をまとめると、部屋から抜け出した。

 背後から聞こえるうめき声は、やがて悲鳴となるだろう。彼がどんな死に方をするのか、……死に方を選択するのか、私には見当もつかないし知りたくもない。



 自分が生きるためには、ヒトを殺し続けるしかない。

 私がヒトなのか、ヒトと呼べるのかどうか、私には分からない。



 私はヒトの偽物で、ヒトを殺す生き物だ。




 ……本当は、悲しかった。




 ヒトを殺す事でしか、世界と繋がっていられない自分が。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ