表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/25

17  手の温かさ

 彼は馬鹿なんだ、と思う。完全に私に気を許している。私が、殺人鬼だと知っているのに。


 あとは彼の隙をついて、頭に触れるだけでいい。ただそれだけでいい。きっと彼は、死んだ母親のことを想いながら、死んでいくだろう。



 右手が、温かい。



 私がクローンだと、そして人間兵器だと知っている組織の人間は誰ひとり、私には近づかなかった。

 私を作った、あの科学者ですら。


「近づくな。気味が悪い」


 それが普通だと思ってた。それが当たり前だと、思ってた。



 けれど彼は違った。彼は私の話を聞いても、怯えてなんかなかった。手を、握ってくれた。

 今まで何人もの人間を殺した、この手を。



 右手が温かい。




 だけど、もうすぐの手も冷たくなるだろう。


 私が、彼を殺すから。



 それが、私の仕事だから。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ