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第九魔導

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目が覚めると、ギラリと光る太陽が目に入った。地面の手触りからして、どうやら芝生に寝ているようだ。体を起こしてみれば、目の前には先程意識を手放した湖があった。事態を呑み込もうとしていると、後ろの茂みがガサガサと音を立て、ミルニィが姿を現した。手には見慣れた果物や、薬草の類が収まっている。


「あ、起きたんだ…ね。大丈夫?どこか怪我してない?」


なにやらもじもじと気まずそうに話すミルニィ。大丈夫だと伝えるとはあ、と胸を撫で下ろした。


「よかったぁ…ご、ごめんね?ここまでやらないと勝てなかった気がして…」


ミルニィは《崇拝の祭壇》を壊したり、湖などの環境を利用した戦い方に引け目を感じているようだった。


「…別にいいだろ。ルールに何か引っかかった所があったか?」


「で、でも!魔導器具の素材を使ったり、《崇拝の祭壇》に先に魔導陣描いたり…この村で習わない魔導使っちゃったし!…ズルばっかだよ…」


「使う魔導も、魔導器具の使用も制限されていない。魔導陣に関しては読めなかった俺の失態だ。まあつまり、正々堂々勝負して、お前が勝ったんだよ。しかもそれ考えたの全部ディールさんだろ?」


「なんで分かったの!?」


「お前は馬鹿だからな。」


「ばかで片付けるのやめてよぉ…」


どさりと体を寝かす、久しく感じていなかった完全敗北の感覚に懐かしさを覚え、ミルニィを止められなかった自分の不甲斐なさに嫌気がさした。


「アルグランテ行っても頑張れよ。お前の魔力量だと十分勝負できる。」


「え、そうかなぁ~?」


ミルニィはニマニマと砕けた笑顔で謙遜する。


「言っとくが、魔力の量だけだ。お前は魔導陣を魔力で描くことができないし、なにより魔力の込め方が雑。それじゃ、大規模な魔導一、二回発動して終わりだ。まずは魔力の精密動作を練習しなきゃならない。」


先程とは一転して、ミルニィは口をアーチ状にさせて目を落とし、ため息をつく。


「私それが苦手なんだよね…ディールさんは感覚型で何言ってるか分からないし…」


「…半刻だけだ。」


「…なんだって?」


「一日半刻だけ、俺が教えてやる。」


「ほんとう!?」


ミルニィはどたどたを走り寄って、レイドのすぐ横で両ひざをつく。その拍子に手に持っていた果物や薬草がレイドの顔にぼとぼとと落ちる。


「ありがとうレイド!」


昔と変わらない、顔全体で笑顔を表すミルニィに、レイドも不思議と笑みがこぼれていた。


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