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プロローグ:麻雀のルールがわからない

この作品は間違いなくフィクションです。実在の人物、団体、事件などには本当に一切関係ありません。

初めて書いた作品なので文章はかなり雑だと思います。それでも最後まで読んでくれたらとても嬉しいです。嬉しすぎて発狂します。どうぞよろしくお願いします。

 とある路地裏。

 生ゴミが溢れた青いポリバケツ、味がなくなって吐き捨てたガム、換気扇からでる白い煙、そんな汚い場所。

 日の光が入らないこの薄暗い路地裏には、人間がほとんど来ることがないため、野良猫達のたまり場となっていた。

 猫好きの人はそれはもう発狂するような光景だろう。なんたってそこらじゅう猫パラダイスであるからして。

 それは置いといて、そこには大きい雄猫が四匹と、少し背の低い女の子が一人いた。

 猫の数は三毛猫が二匹、白猫が一匹、そして黒猫が一匹。

「あんた…何してんの?」

 女の子は黒猫の後ろに立ったままそう言った。

 歳はまだ15ほど、青のジーパンを履き、黒い服の上に青と黒のチェック柄のシャツを着ている。更に、首には小さな十字架のネックレス、右腕に二つの腕輪を付けていた。

 ……あんまり女の子らしい格好ではない。事実、身につけている物は全てメンズ。

「…何って、見れば分かるっしょ。…それポンッ!!」

 答えたのは黒猫だった。

 四匹の猫は輪になって麻雀をしている。実際は四匹の内三匹は見ているだけで、残りの一匹が牌を動かしているだけだが。

 もちろん幻覚ではない…。

 頭から尻尾まで真っ黒な黒猫だった。ただしその尻尾は二本ある。

「ハッハッハァ、ロンだぜ勝ったぜえ! 分かってんだろなあ、負けたら脱げよ! すぐ脱げよ!! てか脱がしてやるからなっ!! やっべぇ超テンションアゲアゲ↑なんですけどおお!」

 無駄にイケメンな大声が路地裏に響く。

 女の子は生ゴミを見る時のような目で黒猫を見て一言、

「…うざっ」

 とだけ言った。

「うざって…、いま真剣勝負真っ最中なんだよ。なんか用があるなら一行にまとめて言いなさい」

「最近変な事件が起きてるじゃん? 神隠しみたいに人がいなくなるってやつ。実際は血痕が残ってるってテレビで言ってたから誰かに襲われたんだと思うけど、ネコマタ…あんたなにか知らない?」

「俺の話聞いてた?」

 ネコマタと呼ばれた黒猫はちょっと涙目になった。

「なんだよマイちゃん、俺を疑ってんの? よっしゃリーチ!! …やめてくれよ、俺は人を襲うなんて変態行為はしねえっての。…あああ!! てめぇ何ちゃっかりあがってんだよ分かったよ脱ぎゃあいいんだろ脱ぎゃあさあ見るがいい美しすぎて鼻血だしてもしらないかんね!!」

「一人麻雀もうやめろ!! てか脱ぐもの無いだろが!!」

 マイと呼ばれた女の子は自分の毛皮を剥ごうとしたネコマタを止め、腕組みしながら話を続ける。

「じゃあなに? あんたじゃないなら誰?」

 雀牌を片付けながらネコマタが、

「俺は知らん…けど…」

「けど?」

 片付け終わり、マイと向き合う。

「なあんか妖怪っぽくない…“あっち”関係の匂いがする」

 マイは首を傾げて頭の上に?マークを出した。

「ほら、『世界の歪み』ってやつ。何だったっけ? その関係で人間に影響がナンタラカンタラホンニャラ…?」

 ネコマタの頭の上にも?マーク。間を空けて、

「あぁ! なんか超能力が使えるようになるってやつか」

 マイは手の平をポンッと叩き、思い出した事を動きで表現する。

「…でも、なんでそう思うの?」

と、マイが聞くと自分の髭を撫でながらネコマタが、

「勘」

 ペロッと可愛く舌を出した。

 言った瞬間、マイはネコマタの髭を引き抜いた。相当に腹が立ったらしい。

「イギャァァアアアアアアアアアアイイ!!? 何故!? どゆこと!? 解せぬ!? 馬鹿じゃねえの!? てかバカだ!!」

 ネコマタは魚のように跳ねる。

「てめぇがバカだ。真面目に答えろ」

 マイの視線はそれはそれはもう、さながら絶対零度の如く冷めきっていた。

「だ…だから、まだここら辺で俺以外の妖怪確認してないし、『能力者』だったら神隠しも出来るかなって…」

 肉球で頬を押さえ、自分の考えを述べるネコマタ。

「…神隠しかあ…ほんと、いい度胸してるよ」

 マイは俯いてため息をついた。

 跳びはねるのを止めて、ネコマタはマイの方を向く。

「…まあ、たしかにな…」

 マイもネコマタの方を向いた。そしてネコマタは、


「“本物の神様”がここにいるのに神隠しのまねごととは、本当にバカだぜ」


 と呟く。

 マイは軽く頷き、

「って言っても、ただの代行だけどさ」

 などと言った後、マイはネコマタの横を通り過ぎて、まっすぐ歩きだした。ネコマタは頭だけ後ろに向けて、

「お帰りかい? 出口は右に曲がってまっすぐだぜ?」

「いや、左に行く。寄らないといけないから。」

「…? なんかあったっけ?」

「アニ〇イト」

「………好きだな」

「テニプリDVDボックスが私を呼んでいる!!」

 ガッと力強く握りこぶしを作る。そんな様子を見て、ネコマタは呆れ返る。

「まあいいけど…、こっちはこっちで調べてやるよ。ただし、報酬は魚三匹な。さんまならなおよし。」

 マイは振り返って、

「よし、シジミをやる」

「魚類ですらないぞ!! それは貝類だ!!」

 マイは笑いながら、左に曲がってア〇メイトに向かった。姿が見えなくなった後、

「…はあ、仕事熱心なんだかどうなんだか…」

 いつの間にか猫達もいなくなっていたので、ネコマタも路地裏から出ていった。

 とある路地裏に誰も居なくなった。




 そして、このお話は始まる。


 妖怪のネコマタと、


 神様代行のマイの、


 愉快で怪しいなんでもありな話。

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