3-1.静寂の裏側
僕の疑問はすぐに消えた。すぐに答えを知ったから。
その日の夜、一度ベッドに入ってから、僕は目を覚ましてしまった。むしろ、ちゃんと眠りに入ることができず、結局目を開けてしまったということかもしれない。自分が夢の中にいるのではないというのだけは分かったけれど、同時に頭はぼんやりとしていた。
部屋は暗く、天井の、オレンジ色のおぼろげな小さな明かりだけが点いていた。静かで、何も聞こえなかった。
僕はトイレに行くことにした。別にそうしたいと思ったわけでも、必要があると感じたわけでもなかったけれど、朝に早く目を覚ましてしまったときに、いつもそうするようにして。
二段ベッドの下の段で寝る弟よりも早く起きることが多かったから、特に休みの日に弟を起こさないようにするために、僕はいつの間にか、忍び足の達人になっていた。はしごを下りるのも、部屋から出るのも、廊下を歩くのも、まるで音を立てずにできる。
部屋のドアを開けたとき、廊下に明かりが点いていて驚いた。それぞれの部屋の中は別として、廊下は夜には早々と暗くなってしまうのが、僕の家のいつもの習慣だったから。消し忘れたのかもしれないと思って、忍び足のまま電灯のスイッチのところまで歩いていくと、僕のいた二階だけでなく、一階も明るいままだと気づいた。
何か、予感がした。怖いような、向かうべきではないような感覚の。それは、遅くまで起きているのを叱られるとか、そういう類いのものではなかった。全く違う、そこにある何か、それに触れること、知ることそのものが、恐ろしいような気がした。あちこち散らばったもの、一つ一つはただ不可解なものが、そこで集まって、一つの、大きな、僕を押しつぶすほど大きなものとなるような。
それでも、いや、だからこそ、僕は、いつもよりもさらに慎重に、ゆっくりと、階段を降りた。足音は一切しなかった。階段がきしんだりもしなかった。呼吸の音もなかった。あるいは、息が止まっていた。その中で、胸の奥、心臓の鼓動だけが、あまりにもうるさく僕には響いていた。
階段を降りきると、リビングの話し声が聞こえてきた。そこでは母さんと父さんが話していることだけが分かって、話の内容は何も分からなかった。僕は音を立てないまま、姿を見られもしないようにしながら、にじり寄るようにして、開いたままのドアに近づき、耳をそばだてた。
経験がないほど緊張していた。心臓は痛いほど早く、激しく鼓動した。逃げなければいけない、と誰かにささやかれているような気がした。自分からそこに向かったというのに!