八十六 終章
地下施設の首相と臨時政府の総裁は地下施設を作る時点で災害が過ぎた後の
日本の状況を想定し計画していた。大国の攻撃は想定外だったが、地下施設、
リニアで莫大な資金を使い。このままでは国家として数年後には破産している。
これを機会に将来のある子供、若者を優先して避難施設に入れた。年金は
今までも国家予算を圧迫していた。
二人の極秘事項だが、これを機会に六十五歳以上の老人に半数以上死亡して
貰う計画だった。
それで、行政の指導で避難できず諦めて家の中で亡くなった老人が大勢いた。
これも国家の再建計画の一つだった。
首相が送った宗教家により心穏やか旅立った老人も大勢いたそうだ。
計画通り全国で六割以上の老人が消えた。
新政府は新しい形の国を目指して動きだしていた。
政治家は五十五歳までとした。地下施設に妾を入れた政治家などは罪状を
調べて刑に処した。
また、新しい形の倫理が始まった。
年寄り達は敗者の倫理に従い命を落とした。
円華も女優Sも敗者の倫理に従い芸能活動して生きている。
英治も故郷に戻り母親と父親の製麺業を引き継いで暮らしている。
IT関係の仕事で短い間に富を築き有頂天になっていたが自然の前に脆くも崩れ
全てを失ったが命は助かった。堅実な食に関する仕事に携わって行こうと決めた。
英介も運命に逆らわず倫理に従い生きて来た。年齢も七十歳になったが少ない年金
だけでは生活出来なく業者Aの仕事を製図板と定規で描いている。
祐介も新人の政治家として歩み出していた。この先、政府の主要な要人となり
指導者の一人になるのは明らかだ。でも性格的に指導者に向いていない点が
不安である。
政府は点数で国民の運命を決めた。
地下施設に入れた選ばれた人々と海底マンションに入れた金持ちは自分達を勝者
と勘違いをした。しかし、倫理に従って生きている敗者だった。
国民は政府・指導者から敗者の倫理を押しつけられ生きてきた。政府、指導者が
勝者であったが与えられた環境に直ぐ順応して生きて行くそれが敗者の倫理である。
ある意味この上もなく強い者達だと思える。
しかし、築き上げた文明が百年以上も後退し、文明の最先端の電子機器が
使用不能になり、究極の核兵器や最先端の兵器が海の藻屑と消えた。自然の力
には人間は何時も敗者だった。




