六十六 災害前
臨時政府の防衛軍にも二百度で三時間の耐火服が配られた。
「三百度仕様でなくても良いのですか?」祐介は総裁に聞いた。
「地上に残っている天文学者に恒星の観察を続けさせている。軌道が安定して
ないが少しずれていて百度位が最高との予測が出ている」
「その話は国民に教えなくても良いのですか?」
「まだ、推定で確定でないので間違っていたら取り返しがつかなくなる。また、
国連の各国が一律に発表したことで、我が国だけで勝手な発表は出来ない。
それに大国に知られたら直ぐにでも攻めてくる。ただ三百度はあり得ないとの
予測での耐火服二百度にした」
祐介はそれを地上にいる国民が知れば大分安心出来ると思った。
色々なしがらみで国民を騙すのは理不尽だと感じたが、総裁にも色々な思惑が
あるだろうと理解した。
臨時政府は恒星の最接近まで一カ月に迫ったので電気、水道、ガスなどの
ライフラインは一カ月間を自動運転させ、
保守点検用に二百度の耐火服を用意した。
そして、地下に避難して交代でメンテに対処するようにした。
生活に支障のない企業、店舗、工場などは休止し食料を確保して地下に
潜るように指示した。




