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六十四 地下施設の放送局


 円華達は四十三階の西棟にいた。東、南、北棟も同じレイアウトだった。


十メートルの通路が四週して、棟を四分割する十字の通路があり、A・B・

C・Dの四区画に分かれていた。


円華達はコア部に近いD区だった。D区は縦に十二本の幅三メートルの通路。

横九本の三メートルの通路で網の目のように区画されて二百六十戸の

2LDKがあった。


西棟だけで千四十戸になり階全体では四千百六十戸となり、人口は四十三階

だけで八千三百二十人だった。


入居して直ぐ事務局から連絡があった。食事の件で調理済みか? 材料を支給して

自炊するか? どちらにするかと聞かれた。


「自炊の方が良いと思う。材料を余分に配達してくれるので少し残して別の

料理を作れる。一週間分が一度にくるので結構余るよ」と建築のメンテの

おじさんに教えてもらったので自炊を選んだ。


店舗、レストランなどは一~十階にあった。買い物と食事は有料になっていて、

今までの貨幣でよかった。


電子マネーは使えなかった。入居前に銀行で一斉に金を降ろすのを防ぐため、

政府は一年前から除序に降ろすように入居者には通知した。


基本的に食料・光熱費・医療費は無料だった。衣料費、娯楽費、外食費などの

二年分のお金を用意すれば良いと通知した。


しかし、余分に降ろす入居者は多く不安の解消がお金となっていた。


円華達は急だったので持ち合わせのお金しか持って来なかった。


政府の放送局が四十階廻りにありテレビ・ラジオの放送をしていた。

全国の地下施設、海底マンションにケーブルで送っていた。


テレビ局は相変わらずニュースを主体に放送していた。

夜は過去の映画を放送していたが、さすがに飽きられて視聴率が落ちてきた。


政府は災害が来るまで半年、過ぎてから半年の1年間が無事に

経過する事を検討した。


長い間、地下施設に閉じ込められストレスが溜まり不満が噴出して来るのは

当然なことで内乱が起こる事を警戒していた。


そこで、地上の情報を放送する事にした。


暴徒や大国人の組織的な軍隊が日本占領を狙っていて、今はどんな状態に

なっているかを放送した。


臨時政府に連絡して地上の放送局も協力するように依頼した。住民の注意は

そちらに向いたが、不安を煽るだけだと危険なので娯楽番組とかドラマを

放送することにした。


そこで、入居者の中から芸能人を捜したが少なかった。それでも歌手が何人か

いたので歌謡番組が出来ていた。


円華達は入居者に登録されていないので気づかれなかった。


円華達は暇なので店に服を見に行った。東京駅の地下街のように

賑やかで明るかった。レストランで食事をして帰りにテレビ局に見学に行った。


ガラスの窓越しに歌謡番組の収録を見ていると、製作者のスタッフの1人が

円華達に気が付きスタジオ内に入れた。


そして、局長を呼んで円華達に芸能活動を続けるように依頼した。

円華達も喜んで承諾した。


最初は円華の主演映画の録画放送でコメントをすることだった。

次は円華主演のドラマで一週間に一回の放送だった。


前の週で収録する忙しさだったが円華は充実していた。


報酬は施設内で使える商品券だったが、それでも円華達は大変助かった。


英治も相変わらず暇で仕方が無かった。唯一の楽しみはテレビだった。

最近は歌謡番組が放送されて過去の録画でないので楽しみだった。

今日の番組表で円華の主演映画が放送予定だった。


もうじき死ぬだろう円華のために追討の意味を込めて見てやろうと考えた。

今でも恨んでいる自分を認識した。


映画は二十時から放映予定で缶麦酒を飲みながら放映するちょっと

前にテレビを点けた。

すると見た事がある女優が映画のことでインタビューを受けていた。

映画の主演女優の円華だった。一瞬録画と思ったが? 


「来週から私の主演のドラマが始まります。見て下さい」との言葉で円華が

放送局のある地下施設にいることが分かり衝撃を受けて徐々に腹が立ってきた。


俺が誘う前に地下に入ることが決まっていたと思うと恨みが倍増した。


元々、自分が勝手に思い込んでいたことで円華を恨む筋合いはなかった。

暇で心が荒んでいたのは確かだった。


円華達も自分達を見限った政府のためにテレビに出演しているとは夢にも

思わなかった。

円華主演のドラマは好評で視聴率も高かった。


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