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六十三 海底マンションのパニック


 何カ月が過ぎて、人々は自分の状況、運命を受け入れ世の中は廻っていった。


暴徒の数は減って行ったが反政府的な思想の暴徒が集団化し祐介達の防衛軍

と交戦していた。


物を奪う暴徒は少なくなり、防衛軍は海底マンションの出入口の確保を

度々依頼された。


特に相模湾沖の海底マンションは深刻で海上の浮島は爆破され、海底リニアも

地上側のホームは暴徒に占領されていた。


リニアと並行して地上に繋がっている空気の換気ダクトが破壊されたら、

五万人近くの住人の生命が危うくなる。


 祐介は五百人の部下を連れてリニアに乗って向かった。リニアはまだ本格始動は

してなかったが、緊急の場合と食料の運搬時には稼働していた。


リニアの駅に着き一個小隊五十名を偵察に出した。後は待機させた。

祐介はその小隊を引き連れてリニアの駅の構内のトイレに入った。


トイレの奥にドアがあり鍵を開け入って行った。


中は秘密の通路になっていて海底リニアのホームのトイレに繋がっていた。


海底リニアのトイレの入り口からホームを見ると、武装した民間人七、八人が

ホームにまばらに展開していた。


警戒はしていないようで煙草を吸い椅子に座り雑談していた。


祐介はトイレの前に静かに十人の兵士を展開させた。


「手を上げろ!」


声がした方向を見た男達は銃を突きつけられている状況を把握して

全員が手を上げた。


武装しているが民間人で訓練はしていなく、軍服を着た兵士を見た時は恐怖心が

湧いたようだった。武器を回収し、祐介は聞いた。


「他に仲間はいないか? リーダーは?」


「地上に百人程、リーダーも其処にいます」


「連格は取れるのか?」


「取れます。携帯電話で」祐介はリーダーに連絡させ代わった。


臨時政府の防衛軍で五百名の兵士を連れて来ている。流血は避けたい投降すれば

臨時政府に連れて行き希望があれば兵士にする。または解放すると伝えた。


リーダーは地下の政府には恨みがあるが臨時政府の総裁は尊敬していると言って

投降した。


祐介はマンションに連絡し海底リニアの遮断を解除させて警護隊を元に戻した。


その間、マンションはパニックに陥っていた。


換気ダクトが破壊されたら二、三日しか生きていけないと噂が広まり地上の人々

より早く死ぬのは我慢できないとか不満が噴出し事務局は

一般の電話回線を遮断した。


人々は群れて事務局に押し寄せていたが厚い鋼製のシャッターに遮られていた。


いつの間にか、地上の人間は自分達より劣っていると思い始めていた。


その地上の暴徒が自分達の命を握っていると思うと我慢できなかった。


集団でリニアのホームに行ったが厚い鉄板で遮蔽されていた。そこにいた警備隊

に開けるように迫ったが拒否された。


先頭にいた数人の男達が暴徒を鎮圧するため鉄板を開け武器を貸すように迫ったが

暴徒は百人以上いる。今の警備隊五十人分の武器では無理だと断られた。


それでも、武器を奪おうと掴み掛かろうとした数人はあっと言う間に倒された。


警備隊は自衛官で格闘の訓練は受けていた。


直ぐにマンションに戻るように言われ皆は渋々と帰って行った。


その中に英治もいた。英治も地上の人間より早く死ぬのは我慢出来なかった。

増しては、自分を袖にした円華より先に死ぬなんて気が狂いそうだった。


 暫くしてマンション内に緊急放送を知らせるサイレンが鳴った。

皆、これで最後だと思った。


(私は事務局長です。以前より、換気ダクト廻りを占拠していた暴徒の鎮圧を

臨時政府に依頼していました。今日、臨時政府の防衛軍が暴徒を鎮圧しました。

明日より地上に行けますが、まだ暴徒がいる可能性がありますので駐車場まで

として下さい。それと海上の浮島も地上より修理に入ります。海上への開通は

二、三カ月後になります。宜しくお願いします」


マンション中の住民は狂喜した。しかし、助けてくれたのは軍にしても工事に

しても地上の人間だった。


英治は円華より先に死なない事に胸を撫で下ろしていた。


そして、駐車場に行き自分の燃えた欧州製のスポーツカーを確認した。

そんなに悔しくなかった。

それは一時的にもそれ以上に切羽詰まった経験をしたからだった。


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