五十六 英介の思い
英介も地下施設で政府の発表を聞いた。
災害が、恒星の熱によるものだと分かり納得した。
地中二十メートル以上も深く施設があること、緑地帯の地上部の耐火ガラス、
水平のガラスの何重もの区画は断熱を考えたことだった。
子供達も無事に施設に入れて、自分もこんな形で避難施設に入れるのは
幸運だと思った。
ただ一つだけ気がかりがあった。それは今回、東京に来る時に搬送して
もらった物だった。
それは高校生の時から乗っていた。古い小型のバイクだった。五十年以上も前の
バイクで部品を色々交換して今まで大切に乗ってきた。
アナログでポイントによる点火方式で予備は幾つも用意してあった。
それが地上の塀の側の倉庫に入っていた。
武内に相談したら地上には暴徒がいるから私事は駄目だと言われた。
倉庫に入っていても、三百度の熱ではゴム部分が溶け駄目だと諦めた。
それに秘密の通路も極秘にと念を押された。
武内が自衛隊員の服を着ていたので尋ねたら自衛隊の工作部隊で騙していて
悪かったと話した。
施設の最上階が自衛隊、つまり警護隊二千人とメンテナンス員二千人の宿舎だった。
地方の施設も同じだが警護隊とメンテナンス員は共に三百名であった。
ある時から、英介もマシンガンの扱い方と射撃を教えられて不審に思い
武内に聞いた。
メンテで地上に出る事が想定されて暴徒と遭遇したときに援護するためと
教えられた。
警護隊は? と聞いたら、警護隊は政府の要人を守るためで今でも人数が足りない。
他の警護で失いたくないと言われた。
そして暴徒がいるときは緊急時以外のメンテでは外に出ないようにと言われた。




