五十五 英治の思い
英治は居間で首相の発表を見ていた。
国民の七十五%が死んで自分が助かるとの事実に呆然としていたが、徐々に
八億円を出して助かった。自分の幸運さを噛みしめて歓喜の気持ちが
湧いてきた。
自分の誘いを断った円華に対しては、いい気味と思う気持ちと可哀そうな気持ち
の両方があった。
数日が経ちゲーム会社に電話した。
副社長よりこの状況だとゲームは売れないから解散したいと言われた。
そして、何処にいると聞かれたので地方のホテルにいると嘘を付いてしまった。
解散は待ってくれと頼んだが、もう社員の全部は地方に戻って副社長も故郷に
帰ると言われた。
状況が悪くゲームなど売れないので仕方ないと承諾した。
母親の事が気になり携帯に連絡した。久しぶりの息子の電話に母親は驚いていた。
何処か避難する処があるのかと尋ねたら親戚が地下施設にコネで入れたので一緒に
入ったと聞いて安心した。
何故、母親の事に気が付かなかったのか後悔した。
暇だったのでテレビを付けたが、ほとんどがニュースか情報番組だった。
あとは過去のドラマ、映画を繰り返し放送していた。
英治は円華も仕事が無さそうなので円華の事務所に電話をした。
事務員が出て名前を伝えると「取りつがないように言われています」
言われて腹が立った。
「来年に死ぬのに良く平気で仕事が出来るな!」と悪態を付き電話を切った。
英治は事務員がパニックになっていると思っていたが、以外と冷静な態度で期待
が外れて面白くなかった。




