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四十三 大家の話


 英介は工事が終了間際になって来た時、武内から呼ばれた。


地下施設のメンテナンス員になり1Kに住むように依頼されたが

英介は迷っていた。


「英介さん大丈夫です。期間は2027年の十二月まで、その後は家に帰って

良いです。2025年の二、三月中に入居してください。工事が終わっても、

その日までの報酬は今の半分を支払います」と武内は話した。


英介は報酬が貰えるのも魅力で承諾した。


帰りのバスの乗車人数は減り、多い時の半分以下になっていた。工事終了まで

一カ月を残し作業も減って来たからだった。


バスの駐車場に着くと耐火シートを満載したトラックが工場の門を何台も出て

行くのが見えた。自分の国の大国に輸出しているようだった。


アパートに帰り夕食を食べて、久しぶりに息子の部屋に行った。

メンテナンス員の話をすると、息子も空調のメンテナンス員で残るように言われて

承諾したと話した。


地下施設は違うが英介は何故か少し安心した。


日曜日の午前中に英介はアパートの近くにある大家の家に挨拶に行った。


大家は八十歳代の夫婦で歳の割には元気だった。


家に上げて貰いお茶も出してくれた。英介は一カ月後に出て行くことを

知らせて礼を言った。


「英介さんは前にあの工場にいたと聞いたが夜中に変な音がしませんでしたか?」

と大家は変な事を聞いてきた。


「私は十日位しか居なかったので聞いた事はありませんが何か?」


「いや、最近工場の廻りの家から変な音が聞こえるとの苦情があって役所が

訪問したら治外法権で立ち入りが出来なかったらしいです」


「土地が低くて水が噴き出ると聞いた事はありますが音は聞いたこと

無いですが?」


「そうですか、あの工場が立つ前は戦時中の軍部の施設が建っていた。私の親の

話だと地下三階まであり当時は防空壕の要素があり広く頑固に作ってあった

らしい。戦後にそこは大国の大使館になり何年かして都心に大使館は移転して

行った。だから、其処はそのまま治外法権になっていた。時が過ぎて廻りは

造成して工場より敷地が高くなり水が貯まるようになった。売地の看板が

立ったが水浸しでは売れなかった。八年前に建物を解体した。私は丁度、

暇なので良く見ていた。地下は残してその上にコンクリートで蓋をしていた。

工場が出来てから地下で何か作業をしているのか? 時々、音が響いて

聞こえてきた」


英介は大家の話を聞いて、黒岩の言った軍事訓練のことを思い出した。

恐らく訓練で音が出たと思われた。


三千人の兵士が訓練していると思うと不安にはなるが、そのような状況には

慣れてないので警戒心はなかった。


次の日に、英介は現場行きのバスに乗った。

作業員は少なく三人しか乗っていなかった。


現場事務所は全て撤去して武内は数人の監督と地下施設の最上階の警護室の

一つを事務所として使用していた。


出入口が上がっていて其処から階段で降りて行った。

英介は大家から聞いた話を武内にした。


「よし!」と武内は言って目を輝かせた。


英介が怪訝そうな顔をしていたので武内は説明した。


「恐らく、その地下に武器とか練習場があり大勢の兵士が待機している。

菊池が地下に水が入る事を恐れて土嚢を取りに来た。土嚢が爆発して地下の

出入口が塞がれば成功です」


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