四十二 評論家の話と英介の自慢
暫くして、漫画家が評論家に国民点数制の話を聞いた。
「政府が発表している国民点数制は何の意味があるのか?」
「最初は、私もテレビで年金とか介護とか言っていたが、どうやら違うと
感じてきた。政府と地方自冶体が地下に施設を作っている。極秘でマスコミは
放送しないが地下施設が大きいので自然に噂が広がってしまった。JRも
新しいリニアの路線を地下に作っている。何かに備えているようですが、
先生、何か分かりますか?」専門職の女性に聞いた。
「私の専門は地質学で地震学ではないが知り合いの地震学者は近く首都直下型か
南海トラフ地震が起きると言っていた。確率はかなり高くてパニックになるので
国民には兆候があるまで発表しないそうだと言っていました」
「先生の話で一つは地震で、もう一つは核だと思う。米軍が引き揚げて核の傘
もなくなり、原潜による核武装をした。最近、大国の動きも怪しい。二つの
どちらかが起こったら地下施設に入る。規模が大きくても国民全員が入れない。
だから、国民点数で決める。あくまで推測ですが」評論家は話した。
「皆は国民点数が何点になっている? 何点から地下施設に入れる?」
漫画家は尋ねた。
「分からない。まだ項目は残っているらしい」評論家は答えた。
英治を含めた六人は二百~三百点の間だった。
「私には二百三十点になってから行政から封書が届かなくなりました」
英治は話した。
「どうして?」皆からの質問があった。
「私が海底マンションを買ったときから来なくなったので地下施設と
海底マンションは同じ意味合いを持つと思います」と自慢げに話した。
「凄い! 確か、高価で抽選でも確率が低く当たらないと知り合いの俳優が
言っていた。何億だった?」女優Sは驚いて聞いた。
「年収の四倍位です。抽選ではなく申し込んだら空いていた。たまたま運が
良かっただけです」
「えー 八億?」皆、驚いて聞いた。
「ねえー ねえー 海底マンションの構造は如何なっているの?
行ったことある?」女優Sが聞いた。
「行った事はないけど詳しいカタログがあるので、次の飲み会に持って来る」
と話して自分の優位を確かめた。
「地震は予知が出来ないし、起きてから地下施設に行っても、間に合わない
ことも多いし、核なら発射してから時間があるので、地下施設に入れるかも
知れないが、放射能が消えるまで五十年以上も掛かり、食料を考えれば二年間位
しか地下生活は出来ない。核を使ったら世界が終りになるから、普通に考えたら
核はあり得ない」漫画家が少し悔しそうに話した。
「2025年の二、三月中に入居するように書いてあった」英治は話した。
「やはり、国民点数の最終発表の前でその後に何かが起こると政府が考えて
いるからだと思う」評論家は話した。
暫く、雑談していたが、そろそろ失礼しますと円華と女優Sが立ち上がった。
英治は円華と話をしてないので焦って連絡先を聞いた。
「すいません。携帯番号は教えないように事務所の方針なので直接事務所に
連絡ください。事務所には話をしておきます。もし、飲み会の連絡だったら
事務所でスケジュールを管理していますので行ける時間を連絡すると思います」
「今日の会計は?」円華は漫画家に聞いた。
「女性の方は支払わなくて良いです。男三人で支払います」
それは駄目ですと円華は詰め寄ったが、漫画家に押し切られてしまった。




