四十 漫画家への報酬
円華が有名人と飲み歩いている事をネットで情報を得た英治は何とか接触
したいと思い色々検索していた。
そして、良く円華と飲んでいる著名な漫画家Kを見つけた。
漫画家Kは中年で既婚者だった。円華達と飲むのは仕事に役立てようとして
いるとの噂だった。
英治の会社の名前はゲームの世界ではある程度知れていた。
英治はある方法を考えついた。そして、漫画家Kの仕事場に電話した。
スタッフが出たので会社の名前を伝え先生をお願いしますと話したが用件は?
と聞かれた。先生の漫画のキャラをゲームにしたいと話した。
暫くお待ちくださいと言われて、漫画家Kが電話に出るのかと思ったら時間と
場所を指定され、そこで打ち合わせをしたいと言われた。
遅れないように念を押された。
平社員と思われたと感じたが、指定された場所が会員制のバーだと分かった。
ひょっとして円華も来るかも知れないと期待していた。
指定された時間に店に行き漫画家Kの名前を告げると個室に案内された。
漫画家Kとスタッフと2人だけで円華はもちろん他の俳優らしき人も居なかった。
二人の前に英治が坐り自己紹介すると漫画家Kは少し驚いて「わざわざ社長さん
が来なくても社員さんで良かったのにすいませんね」
「私が考えたことで先生への報酬が決まってから会社に報告したいと
考えています」
「えっ、まだ決まっていない? 没になる可能性もある。そのような話は会社の
決済が降りてからでないと困りますね」漫画家は不満そうに話した。
「すいません。其処は私の力で何とかします」と英治は少し焦って答えた。
「そうですか? 分かりました。それでは」と言って、スタッフにメモを
差し出させた。
そこにはかなりの金額が書かれてあった。
「どのキャラを選んでも同じです」とスタッフが言うと「もう仕事の話はこれ位で、
さあ飲みましょう」と漫画家Kは店に飲み物とツマミを注文した。
芸能界通の英治と、芸能人と交友のある漫画家は話が弾んでいった。
たまに円華の名前が出ていたので円華のファンだと伝えると、この仕事が
決まったら、お祝いに円華さんも呼んで飲会を開こうと言ってくれた。
英治は少し有頂天になった。
会計はもちろん英治が払うことになり、二時間居ただけで十数万円になっていた
が英治にとっては大した額ではなかった。
次の日に会社に行き副社長に会議をしたいと話し主要なスタッフ二人を入れて
会議を開始した。
英治は漫画家Kの漫画のキャラでゲームを作る事と報酬の額を話した。
「報酬が高すぎる。これでは採算が取れない」と副社長は反対した。
「漫画家Kは以前には売れていたが、今は落ち目ですよ。ゲームのキャラ
にしても古くてみんな興味が無いと思います」スタッフも反対した。
「Kは今仕事も少なく、ネットで芸能人や著名人と飲んでいると情報を流して
鴨を捜しているとの噂ですよ」もう一人のスタッフも反対した。
英治は鴨にされているのかと思ったが、円華と飲む事が諦められなかった。
そんな、英治の気持ちを察した副社長が話した。
「ゲームのキャラは古くても人気がなくても良い。ゲームが面白ければ良いと思うが報酬が高すぎる。この半分でないと無理です」
「分かった報酬の半分は私が出す!」と英治は副社長の助け舟に乗った。
漫画家Kとの契約も終わり英治は報酬の半分を支払った。
それは英治にとっても少なくない額だった。




