三十九 土嚢の行方
武内は半年掛けて火薬を土嚢袋に入れて地上に出した。
そして、一部を避難通路の倉庫に入れた。
渡辺から火薬の処分を任された武内は英介を呼び相談した。
「火薬の処分ですが苦労させられた。相手に仕返しして遣りたい。あの大国の
工場に仕掛けたいが? 前に工場に水が出ると聞きましたが? もう少し
情報がありますか?」
「確か、北側の敷地沿いに幅三メートル位の川があります。いつも水量が多く
大雨が降ると溢れて工場の敷地に流れ込むらしい。工場敷地が元々低くて
建物はプレハブで外廻りの床下は隙間が開いていて其処から水が入り
込むらしいです」
「廻りの塀は、コンクリートで囲われているようで水が入る隙間が無いと
思いますが?」
「早急に作って長くは使用しない考え方で鉄骨を地面に打ち込んでそれに
コンクリートのパネルを掛ける工法なので地面とパネルの間に隙間ができて其処
に土嚢を置いている。でも押えきれないで建物の床下に水が浸入してくるそうです」
「分かりました。方法は検討してみます」
数日後、工場の北側の川の下流に工事車両が来た。工事中の看板を立てて川を
部分的に堰き止め川底の補修に来た。
ポンプ数台で堰き止めた水を補修部分の川下に流していた。
武内はリニアの工事監督に土嚢を暫く地下にストックするように依頼した。
地上には火薬の入った土嚢だけになっていた。
次の日の夜に大雨が降った。やはり川の水が溢れた。
しかも故意にポンプの電源が切ってあったので殆どの川の水が工場の敷地に
流れ込んだ。
工事現場に菊池がトラック数台を引き連れて来た。急いでいるようで土嚢を
使いたいと武内に伝えた。
JRの監督はもう帰っている。私が許可を得ておくが何処に使うか教えてくれ
と武内は聞いた。
菊池は工場に大量の水が出て建物の廻りに敷き詰めると答えた。
それから菊池達は全ての土嚢を積んで引き揚げていった。




