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二十九 殺された男


 祐介は順調に実験を進めていて耐火服を着て装備を背負って一時間程

動きまわれた。かなり筋肉が付いて来たと感じた。


一年になる前に実験は終了して自衛隊の幹部と屈強の隊員がやって来た。


祐介と同じ装備で確かめたが、隊員は祐介ほど早く動けなかった。

それを見ていた幹部は祐介に自衛隊の警護隊員になるように勧めた。


体を鍛えていた祐介にとって、結果を出せる機会なので承知した。

これからの予定は本物のマシンガンでの実射訓練などで工場の地下にある

施設で行うことだった。


他の九人の自衛隊員が一緒に訓練して期間は二年間の契約だった。


実験員はこのメーカーが政府の専属であること、訓練は週三日実施し報酬は

今までの倍になる事を祐介に伝えた。


アパートは其のままで良いと言われた。好きなゲームも続けられ安心した。


訓練は柔道、剣道、空手などの格闘技を最初に習い、次に銃の扱い短剣の

使い方を習った。


後は知識として要人警護の方法、敵国の状況などを勉強した。そして一年が

過ぎようとしていた。


政府が国民点数制⑧を発表した。


今回は子供の数で一人が五十点、二人が百点、三人以上は百五十点となった。

但し、今0~二十歳の子供とする。


今回も該当しない国民には封書は送られて来なかった。


米軍の基地の撤退も始まっていて、防衛省は秘密裏に体力のある若者を捜していた。


祐介は訓練をあと一年残していたが、政府の要人の警護もしていた。


時々、政府のNO2の政治家佐藤の護衛もした。


半年ほど過ぎた頃、点けたままのテレビから(黒岩)と言う言葉が聞こえて来た。


それは殺人事件の報道で東京近郊の山の中で山菜を取りに来た人が死体を

見つけた。死体は顔が潰され身元が不明だったが、下着の隅に小さい文字で

黒岩と書かれていたとの内容だった。

死後一週間ほど経っていたらしい。祐介はあの黒岩かと不安になったが、

それ以降は放送されなかった。


祐介は黒岩の生い立ちを思い出した。北関東で東北との境目に近い地方の出身

で祐介と同じ高卒だった。


母子家庭で貧しかった子供の頃の話を良く話していた。


確か、母親が学習用具とか持ち物に名前を描いて、それが嫌だと言っていた。


下着に書かれるのも当たり前で、何時しか自分もその癖が付いたと話していた。

下着の黒岩の字は間違いなく彼だと確信した。


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