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十四 田舎の決まり


 暫くして、父親が亡くなり財産分与で父親名義の土地を貰った。


その頃は団地生活で長女が小学校に入る前に妻が家を建てたいと言い出し親からの

援助と銀行からの借金で家を建てた。


かなりの田舎で市の水道が引かれていなかった。


地元の人達が共同で引いた水道から権利金を払い水道を引いたが、その一年後に

市が家の前の道に水道を引いて十数万の権利金は無駄になった。

下水など永遠に来ないと思うほど田舎だった。


また引っ越した後に班に加入させられた。入らなければ村八分にされるのは目に

見えていた。夜七時の会合にぎりぎりに行くと三十分前に来るのが常識などと

言われた。今度は三十分前に行き待っていると皆は七時三十分頃に集まって来た。

苦情を言ったら時間より三十分遅れるのは何時もの事と言われた。


この頃は戦時中に若者だった年寄りが町内を仕切っていた。


先に住んでいるのが勝者で後から来た者はよそ者と言う敗者で町内の行事は

廻っていた。ちょっと前まではこの地域は他の地域から部落のように思われ

差別されていた。戦後に移住してきた人が多く貧しい人が多かった。


葬式などは自宅で行い費用は香典から捻出して赤字には成らなかった。


班の葬式は出席が必須で余程の理由が無い限り参加しなければならなかった。


英介は五年間も棺を持つ係で夏の葬式で中のドライアイスが溶けて棺を持つ手まで

流れて来て嫌な思いをしたことがあった。


その後は会計をしていたので良く事情は分かっていた。


昔は皆貧しかったが特にこの地域が貧しかった。


そんな田舎でも英介は自宅に事務所を開いた。


それから三十年も経つと新しい人も増えて年寄り達は居なくなり地域の格差は

なくなった。


英介はよくこんな事を考えた。


テレビなどを見ていると全て東京中心にこの世は廻っている。


自分も大学の就職活動で渋谷の代官山に開設する設計事務所に内定が決まった時

に母親が近くに置きたいと言う理由で反対された。


地元の設計事務所に仕方なく就職したが今でも後悔している。


もしも其処に就職していたらと今でも考える。


建築も他の全ては東京中心で廻っていると思っていた。

その一人に成りたかった。こんな田舎で事務所を開いた事を何時も後悔した。


其の点この地域の人は自分達をどう考えているのか?

市内では田舎で東の外れだった。


市は主要路線から外れて県の主要都市でもない地域性では敗者だと思った。


しかし地域の皆はそうは思っていなかった。と言うよりもそんなことは考えて

いなかった。でも政府の国民点数に関する③の政策で多少自覚させられた。


国民点数制に関する④の政策が発表された。

国家資格に対するものだった。医師百点、司法試験九十点、一級建築士八十点、

他は五十~七十五点までに振り分けられてリストに載っていた。

自動車の免許は該当外だった。


暫くして行政から(貴方の点数は合計百二十点です)の封書が英介に届いた。


この時から該当しない人には封書は配布されなかった。


一緒にもう一つの政策も発表された。それは原発に関するものだった。


今休止している原発が多くあり地上の原発は全て廃止して地下に原発を各エリアに

一か所ずつ建設する。

完成は四年後を目指す計画だった。四年は至難の業のように思えたが、もう五年

も前に工事は始まっていた。事後報告だった。


マスコミも取り上げたが政府は地下に設置した場合は事故が起きても密閉でき

地上への被害が少ない事を強調していた。

場所は地上の原発の横の地下で、多少の反対があったが工事は進行していった。


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