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6、旦那様の変化



お姉様が邸に来た日から、数日が経ちました。あの日どんな話をしたのか、どうしてお姉様を邸に呼んだのか、エルビン様は何も話してはくれません。

それどころか、寝室も別になり、毎日してくれていたお出かけする前のキスも、お帰りになった時のキスもなくなりました。

理由が何なのか、全く分かりません。私が何か気に障るようなことをしてしまったのでしょうか……

それでも私は、いつもと同じようにエルビン様に接しています。私が暗くなってしまったら、エルビン様が心配してしまいます。私はエルビン様の妻です。それは変わっていないのですから、愛する夫を支えなくてはなりません。


「明日は、ホーリー侯爵邸でお茶会ですね。ホーリー侯爵夫人は、子供を授かったようです。何かお祝いの品を贈ろうと思うのですが、何がいいと思いますか?」


寝室が別になり、キスはなくなってしまったけど、食事はいつも通り一緒に食べてくださるエルビン様。夕食をとりながら、何気なく話した話題でしたが、機嫌を損ねたようです。


「……明日の茶会は、君1人で行ってくれ。仕事がたまっているから、俺は行けそうにない」


私の顔を見ずに話す時は、機嫌が悪い時だと知りました。子供の話をしたからでしょうか……

私も子供が欲しいと、催促したように聞こえたのかもしれません。


「分かりました。あまり無理はなさらないでくださいね」


また余計な事を言って、更に気分を害したくありません。それ以上、何も言うことが出来ませんでした。


「……仕事をする。お茶は必要ないから、書斎に誰も通すな」


まだ食事の途中なのに、エルビン様は席を立ち、書斎に行ってしまいました。


「はぁ……」


思わずため息が出てしまいました。こんなんじゃダメですね! 目の前に美味しい食事があるんだし、食べて元気を出しましょう!


「奥様、大丈夫ですか?」


執事のバランが、心配そうな顔で私を見ていました。


「大丈夫よ。ありがとう」


「あれほど仲がよろしかったのに、旦那様はどうしてしまわれたのでしょうか……」


確かに……

私に腹を立てる事なんてないと言っていたのに、最近はちょっとした事で気分を害してしまいます。

エルビン様に、何があったというのでしょうか……


でも、使用人達に心配かけるわけにはいきません。


「エルビン様は、最近お仕事がお忙しいから疲れているだけよ。すぐに、いつものエルビン様に戻るから心配しないで」


この言葉、まるで自分自身に言ってるみたいです。


「今日の料理も美味しかったと、ルークに伝えておいて」


エルビン様が食事を残してしまったから、美味しくなかったのではと、ルークは気にするでしょうから。




自室に戻ると、お茶会の事を考えます。

1人で社交の場に出席するのは、初めての事です。きっとまた、嫌味や悪口を言われるのでしょう。だけど、そんな事には負けたりしません。

明日のお茶会の主催者は、ホーリー侯爵だから、お姉様も出席するはずです。ホーリー侯爵はお姉様の恋人の1人です。

あの日、どんな話をしたのか、エルビン様が話してくれないのなら、お姉様に聞くしかありません。

普通なら、浮気をしている相手が主催するお茶会に出席するなんて、頭がおかしいと思います。だけど、お姉様はそんな事を気にしません。それどころか、ホーリー侯爵夫人をバカにしに行くと思います。お姉様は、そういう人です。

お姉様の旦那様のブライト公爵以外のほとんどの貴族は、お姉様が浮気をしている事を知っています。夫に浮気をされた妻が何も言えないのは、お姉様がブライト公爵の妻だから。ブライト公爵にお姉様の事を話しても、ブライト公爵はお姉様の言うことしか信じません。

お姉様のせいで、どれだけの人が傷ついているか……



私の予想とは違い、翌日のお茶会にお姉様は出席しませんでした。そしてこの日、人生最悪の日になりました。




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