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1、愛しの旦那様



「アナベル、俺と結婚して欲しい」


私は夢を見ているのでしょうか……

私の名前は、アナベル・グランド。18歳。伯爵令嬢です。

ずっと大好きだった、4つ年上の侯爵令息のエルビン様に、今プロポーズをされています!


「返事は?」


「はい! 結婚します! したいです! お願いします!!」


エルビン様は笑顔で、頭を撫でてくださいました。少しがっつき過ぎたかな……恥ずかしい……

でも、ずっと好きだった方に結婚して欲しいと言われたら、嬉しいに決まってるじゃないですか!


この時はまだ、この結婚が地獄の入口だとは知る由もありませんでした。





素敵なウェディングドレス姿を彼に見せたくて、ダイエットを頑張りました。


そのかいもあって、


「綺麗だよ。本当に綺麗だ。こんなに素敵な妻で、俺は本当に幸せ者だ」


好きな人に綺麗だと言われました。

こんなに幸せでいいのでしょうか。エルビン様は、とても素敵な方で、金色の髪に緑色の大きな目、うっとりするような容姿で優しくて紳士で……って、褒める所が多すぎるくらい素晴らしい方です!

そんな方の妻になるのですから、私も相応しい女性にならないといけませんね。


「エルビン様は、あまり容姿にこだわらない方なのですね」


出ました……

この人は、私の3つ年上の姉、イザベラです。

いつも私の事をバカにして来て、自分がこの世で1番美しいと思っている勘違い女です。


「まあ、イザベラはなんて事を……

アナベルは可愛らしいじゃない。イザベラと比べたら、みすぼらしいかもしれないけど、好みは人それぞれよ」


お母様、それはフォローになっていません。

お母様に悪気はありません。お姉様みたいに私には華がないのも分かっています。

だけど、それをエルビン様の前で言って欲しくありませんでした。


「お前達は何を騒いでいるんだ!?

アナベル、とても綺麗だよ。自信を持ちなさい」


お父様……

お父様は、いつも私を綺麗だと言ってくれます。

お姉様と比べたりしないで、私の事をちゃんと見てくれる、大好きなお父様です。


「アナベルを、必ず幸せにします!」


家族に、そう言い切ってくださったエルビン様。

私も必ず幸せになります!! そして、エルビン様を幸せにします!!




結婚式を終えた私達は、エルビン様のお父様のバディスト侯爵に用意していただいたお邸に、エルビン様と2人で住むことになりました。


「素敵なお邸ですね!エルビン様の妻になったなんて、まだ信じられません……」


「信じさせてあげるよ……」


エルビン様のお顔が、どんどん近づいて来て……


「……んッ……」


唇が重なりました。

エルビン様の唇、柔らかい……心臓がバクバクして、破裂しそう……私、すごく幸せです!




それから毎日、エルビン様はお出かけになる前と、お帰りになった時の1日2回、キスをしてくださいました。

唇に触れるだけの軽いキスだけれど、私にとっては最高のキスです。


「お帰りなさい、エルビン様」


「ただいま。チュッ……」


あーーーーッ!! 幸せでーーーーすッッ!!!


「今日は何をしていたんだ? 」


手を繋いで、エルビン様の部屋に向かいます。

エルビン様が帰宅すると、着替えをしに部屋に戻ります。その後、夕食を一緒にとります。エルビン様と少しでも一緒にいたい私は、部屋までついて行くのが当たり前になっていました。


「今日は刺繍をしました。思うように出来なくて、失敗しちゃったんです……

でも次は、絶対失敗しません!」


綺麗に出来たら、エルビン様に見せたかったのに……


「失敗しても、諦めないのが君のいい所だ。出来たら俺にも見せてくれるんだろ?」


そうやって褒めてくださるから、私は頑張れるんです! 本当に素敵な旦那様!


「もちろんです! 見た事もないくらいのすごーい刺繍をしますから、期待していてください!」


「あははっ! 期待して待ってるよ」


「あー! 信じてませんね? 」


「俺はいつでも、君を信じてるよ」


真顔でそんな事を言われたら、怒れないじゃないですか……

それどころか、胸がキュンッてしてしまいました。結婚をする前よりも、もっともっとエルビン様に惹かれていっています。愛し過ぎて、困ります。


「私も、エルビン様を信じてます」


「……ありがとう」


あ……れ? 今、エルビン様のお顔が暗くなったような気がしたのですが?


「さあ、食事にしよう! 実は、帰りの馬車の中で、腹がなりっぱなしだったんだ」


気のせい……でしょうか? 気のせいですね!

きっと、お腹が空いていただけです!




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