冒険者ギルドがある異世界とは限らない
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レベル差に嫌気が指してきたが、レイラの指導は的確であり、正直にいって普通にいい師匠であるのだ。
手加減は勿論してはくれないが、それでも魔族から身を護る術をつけるには自分程度の敏捷を捕らえる事が出来なければ簡単に捕まってしまう為にこれは俺がこの異世界で身を護る為に必須の修行であるのだ。
だが、レベル1でレベル45に挑むのは苦戦すると簡単な一言ではすまないレベルであった。
ハッキリいってレイラの動きが全然見えないし、気が付いたら背後を取られていたり、押し倒されて馬乗りにされたり負け続けだ。
レベル差があっても何とか逃げる知恵を絞り出す特訓も兼ねているのだが…
「レベル差がありすぎて何もさせて貰えねぇ!!! これ特訓になるのかよ!?」
「流石にレベル1だとこれくらいよ…私、レベル45だしね…」
流石に距離を取ろうが、詰めようが火力がない時点で攻撃手段がない。今は拘束能力のスキルを習得したからスキルレベルをあげるしか方法がない。
だが、流石にレベル1では特訓にもならないだろう。
これならば、先に俺でも倒せる魔物を倒して経験知を稼ぐのが効率が良いのではないか?
「なぁ~レイラさんよ。 先に先に俺でも倒せる魔物を倒して経験知を稼ぐのが効率が良いんじゃないの?」
「クロに攻撃スキルがあれば、それでも良いけど、それが無いからここでスキルのレベル上げを優先してるのよ? まぁ、確かにレベル1だとそう考えて焦るのもわかるけど…判断を謝るのはダメよ? 」
確かに俺に攻撃スキルがないのは致命傷か。前にレイラに経験値について質問した際に魔物に攻撃をつまりはダメージを与えられないと経験値は換算されないというのだ。
マジでクソゲー過ぎるぞ。 固有スキルが魔力と体力を奪い取れるのは大きいが攻撃スキルが取得で出来ないのは痛い。
レイラのナイフ捌きは小柄の 小猫族では習得できない。
持ててもスプーン程度のナイフが持てるが、武器として持つには心許ないのも事実だ。
「だぁーー!!!もう攻撃スキルがネェとレベル上げも出来ねぇのかよ… 」
「まぁ、こればかりは職業との相性もあるからね… 」
「そいや、レイラって冒険者ギルドとか所属してないの? 」
「冒険者ギルド…?何それ? 」
えっ?異世界ファンタジーの定番の冒険者ギルドないの? この世界どうなってるの?
「えっ?その魔物討伐とか薬草採取とかダンジョン攻略とかそういう組織団体無いの? 」
「いや、普通に魔物討伐とかは村人でも出来るし、わざわざ野良の薬草取らなくても農家が育ててるし…ダンジョン攻略とかも基本的に国の軍隊の仕事だから…」
俺の考え方が甘かった。 ファンタジー=ド○クエの世界観とは違うんだ。そもそもよくよく考えたらド○クエの仲間紹介は酒場だし、他のシリーズで冒険者ギルドで仲間とか集まってなかったわ。 異世界ファンタジー系だから冒険者ギルドがあるって思い込みがあったのだ。
「例えばだけどね? 農家を営んでる人でも職業が戦士とか普通にあるのよ?使える武器に斧スキルを習得すれば、木こりとか鍬スキル取れるから農家出身でも村に出た魔物討伐は当たり前だし、下手したら子どもでも選択スキルとレベルによっては討伐は出きる。
大方の野菜とか薬草とか育つ環境も作れるし、魔物とも戦えるからね? まぁ、農民じゃ手に追えない危険な魔物や魔族が出たらその国の軍隊が動くし…」
「え~… 今、カルチャーショックじゃなくて異世界ショック受けてる…えっ?俺、どうやって異世界で生計を立てれば良いの?金ねぇよ?」
「私のペットになれば生活はできるわよ?」
「なるほど。 当面の間はお世話になります…師匠? ご主人?」
あーうん。めんどくさい。小猫族の黒猫の一件もあるし、強い人が側にいないと今の状況は非常に不味い。
仮にレイラではなく、魔族に捕まっていたら間違えなく、梨央奈達の迷惑を掛けてしまっていた。 ハッキリいってレイラがショタコンでいい
女であった事に救われた所はある。
あの爆乳女神のヤツ重要な情報を全く話してなかったんだな。
しかも、固有スキルと選択スキルの相性よりも種族と職業が重要なだし、冒険者ギルドがない世界観の為か農民でも戦えるスキルがあるから冒険者ギルドが存在しないのはファンタジーショックを受けた。
まぁ、日本史で習った所でいう所の兵役制度的なものがこの世界にはあるから農家生まれでも戦えるような設定になっているのだろう。
だが、それは前の世界とそこまで変わらないと憂鬱な気分になった。
前に日本史の担当教師が『もし、仮に戦争が起きたら兵士として戦場に向かうか?』という質問に場合によると答えたのだ。
この世界なら身を護る為に魔物や魔族に対抗する術として必要かもしれないが、人間同士の上のいざこざに巻き込まれる位なら、自国と戦うという選択もあるからだ。
長いものに巻かれて懐に入って状況みて裏切るのも生き残る手段の一つだからだ。
「…異世界転移してもどこでも人間は人間か… 」
「賢者モード?まだシテないからなるには速いわよ~」
「いや、そうじゃなくてさ~ なーんか、どの世界の人間も王族や貴族がクソなら下の農民も平気で徴兵しそうだから可哀想だなぁって…」
「あぁ…まぁね。それがこの世界の生業でもあるし、戦争でしか成り立たない争いは何処でもあるのよ? 私は戦争での略奪とかは面白くないし…盗賊は楽しむものよ? ダンジョンを見つけて未知のお宝を見つけるロマンを探す職業よ? 」
まぁ、そうなんだろうけどね?レイラさん、拘束能力のスキルを夜の拘○プレイで使わせて特訓とかいって自分の性癖に巻き込まないで下さい。こっちがハマってしまいます。