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純喫茶ぎふまふ奇譚  作者: 勢良希雄
13/19

12 ジビエと冬瓜のテールスープ風

金曜日。

 五時のアラームが鳴ると、母さんが目の前に現れた。

「ねえねえ、私、夢を見た」

「夢? どんな」

「あんたにくっついて、三佐子さんとリンダさんと一緒に山道を歩いて、神社と滝の前に行った」

 …まさか!

「僕も同じ夢を見たよ」

「え?」

「桃太郎の話した?」

「した」

「イノシシ出た?」

「出た」

「塾長が七月十三日って言いよらんかった?」

「言うとった」

「今日は何日?」

「七月十二日」

「明日か。もう一日ある」


 いつもどおり、自転車で店に行った。

 リンダさんもエプロンと頭巾をして、三佐子さんの調理をサポートしている。

「おはようございます。魔女様、教皇様」

「勇者ヤマショウ、大義である」

「教皇様、お加減は?」

「ありがと。だいぶんええみたい。ただ飯食わせてもろうとるんじゃけん、少しは手伝わんとね」

 ここで一緒にバイトしていたと言う。無言で立ち位置を入れ替わりながら、効率よく仕事をしている。

 あれこれ喋りながら、手伝っている気分になっていた僕。ただ、三佐子さんの邪魔をしていただけかもしれない。このコンビネーション、惚れ惚れする。嫉妬もする。

「と、ところで三佐子さん。昨夜なのか今朝なのか分からんけど、僕と母さんが同じ夢を見たんよ」

「え?」

 三佐子さんとリンダさんは、顔を見合わせた。

「どんな夢?」

 夢の説明をする。

「その夢、私たちも見たんよ」

「私たちって、二人とも?」

「うん。今朝、二人で夢の話をして、びっくりした。じゃあ、お兄さんとお母さんと、四人で同時に同じ夢を見たってこと?」

「こないだ、リンダさんと同じ夢を見とったことが分かったんじゃけど、今度は四人か」

「不思議なね」

「七月十三日、言うとったね」

「うん、明日じゃ」

 母さんに電話して、あの夢は四人で同時に見たことを伝えた。母さんは驚いていた。


 開店の七時、常連の工場長が来た。僕には話したいことがある。

 …今日こそ言おう。

「工場長」

「何?」

「ちょっとお話が」

「何なに? 三佐子さんと結婚するけん、仲人やってくれとか?」

 冗談を言って、お茶目な笑顔を見せた。

「ああ、僕じゃなくて、技能実習生のことなんですけど」

「ああ、こないだ何か言いかけよったね」

「はい。恋愛禁止じゃないって言われてましたよね」

「うん。『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』って言うじゃろう。少なし、うちの工場じゃ、そんな野暮なことは言わんよ」

「そうなんです。彼女たち、誤解してるんです」

「知っとるよ。公民館でほかの工場の奴らに、変なこと言われて」

「それも誤解なんです。というか順番が反対なんです」

「ん? どういうこと?」

「工場長が公民館に行くことを禁止したことで、交際禁止だと思ったんです」

「そんとなことはないんじゃけど、そう思うとったんか」

「ホーさんとレーさん、公民館で出会った同じ国の出身者と、結婚を前提に交際してます」

「そうなん。そうじゃったんか。馬に蹴られて死なんといけんのは、ワシか。申し訳ない」

 聞いていたリンダさんが言う。

「言葉が通じないと、誤解も生まれるよね。そのホーさん、レーさん、こないだ、ちょっと話したけど、純朴ないい子たちですね」

「そうよ。うちの子たちはみんなええ子よ」

「言葉は違うても、人間の親心とか恋心は同じなんですよ」

「分かった。あの二人と話してみる」

「世界中を旅したリンダさんの言葉は説得力があるね」

 僕がそう言うと、工場長は目を丸くした。

「え? 誰かと思えばリンダちゃんなん?」

「そうですよ。忘れられたかと思いましたよ」

「なんか、ほっそりしちゃって…」

「ちょっと病気してたので」

「入院してたいうて、三佐子ちゃんが言うてたけど、もう、大丈夫なん?」

「このまちに帰って、皆さんに会えば、元気になります」

「そう、良かったね」


 昼の二時頃、郷土史会長が現れた。

「会長、教えてください」

 僕は塾長の小説を持って横に座り、文庫本に挟んであった地図を開いた。

「この絵地図は、十九世紀に描かれた矢野村絵図。塾長と引き延ばした写真を見ながら、読み解こうとしたものよ。小説じゃあ十六世紀に存在しとることになっとったけどね。しかし、こがいな付録はワシの文庫本にはついとらんかったが」

「会長、この『ちこくはし』って何ですか」

「『地獄橋(じごくばし)』よ。縁起が悪いけんか知らんが、明治時代から『極楽橋』いう名前になった」

「ああ、駅からここに来る途中の橋」

「そうそう。毛利に追われた矢野城の侍が、『もはやこれまで』いうて自決しようとしたとき、橋の下に大穴が空いたそうな。その中に次々と飛び込んで、誰も首は取られんかったという言い伝えがある。ただ、それじゃあ、飛び込んだ侍が皆、地獄に落ちたことになってしまうけん、極楽天神に蘇るという言い伝えが付け加わったようなよ」

「地獄橋から飛び込むと、極楽天神に蘇る…」

 …夢では、極楽天神の滝でリンダさんが倒れていたが、そのシステムと関係があるのだろうか。

「ワシらが子どもの頃は、行方不明になることを『極楽橋から落ちた』言いよった。ほいで、ホンマかウソか知らんけど、何年も経って山から出てくることがあったらしいんよ。それを『極楽天神に生き返った』とか言うんじゃけど、その間のことは、何も覚えとらんとか」

「不思議な話ですね」

奇譚(きたん)ようね」

「きたん?」

「不思議な話、気味(きび)(わり)い話いう意味よ」

「そう聞くと、確かに極楽橋という名前は気味が悪い」

「塾長は『極楽橋と極楽天神は、極楽への入口じゃないか』言うとった」

「異世界ファンタジーじゃないですか。その極楽天神というのは実在するんですか」

「塾長は見つけたと言うたが、ワシが連れてってもろうた時には消えとった。塾長の妄想か創作か。ワシは信じとらん」

「そうなんですか」

 …塾長は、友人の会長にとっても変人だったんだな。

「そういやあ、いつじゃったか、塾長が極楽橋の下でごそごそしよって、通報されたことがあったよ。ありゃあ、何をしよったんじゃろうか」

「極楽橋の下でごそごそ…」

 …きっと、武瑠を探してたんだ。

 もう一つ聞いてみる。

「この『おんてん』って何でしょう」

「おお、これも塾長と考えたことがあったよ。隠田(おんでん)、つまり、隠し田じゃろうということになった。どこのことかはよう分からん」

 この「おんてん」は、教皇が血で付けた掌紋の、一番近くに書いてある文字。三佐子さんの話だと、「塾長がハーブ畑は隠し田の跡だ」と言っていたらしい。

 …だとすると、ハーブ畑のところの、あの分かれ道が、極楽天神の入口!


 会長が帰ると、リンダさんが寄ってきて言う。

「勇者ヤマショウ、今日は積極的なね」

「明日は岡山に帰るけん」

「桃太郎さん、やっぱり二人のミサコを置いて、岡山に帰るのね」

「二人のって…」

 リンダさんは何か取り繕うように言う。

「三佐子が泣いたら、リンダも泣くんじゃけんね」

「そういうことか。それはそうならんようにがんばる」


 三時過ぎ、店に電話がかかってきた。三佐子さんが受話器を取ったが、工場長が僕と話したいと言っているらしい。

「バイト君の言うとおりじゃった。ワシも馬に蹴られて死にとうないけん、罪滅ぼしをしたい」

「罪滅ぼしとまでは…」

「いやまあ、あの子らが、その店でパーティしたいと言うとるんじゃけど、明日の夕方、貸し切りはできんかね。急で申し訳ない」

「あ、いいですね。ちょっと待ってください」

 受話器を塞いで、三佐子さんにそのことを伝えた。三佐子さんは両手を上げて、丸を出した。

「三佐子さんの了解を得ました」

「そう。料理は任すね。五万円、ワシが払うけん。あ、なんか、あの子らが喜びそうなことがあったら、やっちゃってや」

「三佐子さんが二万円でいいと言っています」

「余るようなかったら、なんかプレゼントでも作ってやって。あの子ら、とにかく、その店のファンみたいなんよ」

「はい。頑張ります」

 電話を切った。大仕事を請け負ってしまったが、ものすごくうれしい。

「お兄さん、ええことしたね」

「勇者ヤマショウ、やるじゃん」

「三佐子さん、リンダさん、料理とプレゼントと喜びそうなこと考えて」

「丸投げかい!」

「警察官が考えるよりええじゃろ」

「勇者ヤマショウが警察官いうこと、すっかり忘れとったわ」

 とは言え、二人ともやる気満々だ。

 六時前、仕事を終えたグエンさんとグエンさんが現れた。

「ホーさんとレーさんから、電話があって、聞いた。この店のバイトクンが工場長に話しをしてくれたと」

「バイトクンって、僕のこと?」

「ごめんなさい。ミサコさんのボイフレン。名前を知りません。教えてください」

「ヤマトと言います。よろしく」

「ヤマトさん。ありがとう」

「いえいえ、明日のパーティでは、何か希望がありますか」

「はい。私たちは希望に満ちています」

「なんか、意味が違うな。リンダさん、通訳お願いします」

 リンダさんが通訳した。グエンさんたちは、流暢な母国語を話す日本人に、驚いているようだ。

「三佐子。工場の同僚を十人くらい呼びたいみたいよ」

「じゃあ、立食にしようかね。リンダ、現地の味のアドバイスしてね」

「御意御意」

 店を閉めようとすると、母さんから電話がかかってきた。「今日はうちで四人で食事をしないか」と言う。三佐子さんとリンダさんは「せっかくなので行かせてもらおうか」と言った。

 明日は、夢で見た「七月十三日」。三佐子さんは「臨時休店」の貼り紙をした。


 三人でぎふまふ号に乗り、うちに着いた。母さんはキッチンで忙しそうに料理を作っている。

「お母さん、お言葉に甘えてすみません。お手伝いしますよ」

「いやいや、来てくれてありがとう。もうできるけん。座っといて」

 リビングのテーブルには、どっさり盛られた夏野菜のサラダが四皿前並んでいた。

「広島の人、『多い』とか『濃い』とか発音できんで、『おいい』、『こいい』言うじゃん。母さんの料理は、だいたいそれ」

「お母さんの料理に、そんなこと言わんの」

 三佐子さんに(たしな)められた。

 リンダさんは外国語もできるが、広島弁にも興味があるようだ。「()いい、()いい、()いい、()いい、()いい」と言いながら、類似のパターンを確認していた。

 母さんは、テーブルの真ん中の鍋敷きに、これまた具沢山の鍋を置いた。

「洋風牡丹鍋!」

「牡丹といえば、イノシシですか?」

「そう。昨日、四人で同じ夢を見たんでしょ。その記念に」

「そういえば、イノシシが出てきて、桃太郎がやっつけましたよね」

「まさか、これは僕が夢の中で倒したイノシシの肉が、現実化したものとか?」

「ということにしてもええよ。実は、熊野で知り合いがジビエ専門のお肉屋さんを始めてね。試してくれって、赤身の部分を一ブロックくれたんよ」

「へえ。イノシシ食べたことないです。スープにしたんですね」

 三佐子さんが興味深そうに鍋の中を見る。

「そう。ちょっと切って、焼いて食べてみたんじゃけど、赤身は豚肉というより牛肉に近い感じがしたん。ちょっと硬いけえ、テールスープ風にしたんよ」

「なるほど、閃きましたね」

 三佐子さんが「この半透明の野菜は大根ですか」と尋ねると、「ふふん。これ、冬瓜なんよ」と得意げな母。そこに、リンダさんが「冬瓜! 塾長の小説にしつこいほど出てくるけど、こんな感じなんですね」と反応した。

「冬の瓜と書くけど、夏野菜なんよ。大きいけん、冬まで貯蔵が効くんじゃね」

「なるほど。でも、それをテールスープに入れるって、意外な組み合わせですね」

「意外な組み合わせが、新たな料理の扉を開く!」

「名言ですね」

「調子に乗るからやめて。グルメドラマの決め台詞よ。母さん、すぐに何でも混ぜるんじゃけん」

 母さんは四人分を深めの皿によそって、出した。

「いただきます!」

「美味しい! お肉の最初の歯ごたえと解け感がいいですね。冬瓜も適度に味を吸って」

 三佐子さんが一番に感想を言った。確かに美味しい。

「ありがとう。塩コショウベースじゃけど、ねぎ、玉ねぎ、にんにく、生姜。これでもかって言うくらいのにおい消し。さらには、山翔が三佐子さんにもらったローリエも入れて、じっくり三時間煮込んだよ」

「本格的。確かに、テールスープは香り付けが大事ですね。ホント、美味しいです」

「三佐子さんに褒めてもらった。うれしい」


 食事を済ませると、昨夜の夢の話になった。

 ストーリーを確認すると全く同じ。時間も同じだったと分かった。

「三佐子さん、リンダさん。今夜、うちに泊っていかん?」

 母さんが言い出した。

「え?」

「昨日の夢、途中じゃったじゃろ。今日、続きがあるんじゃないかね」

「母さん、何言いよるん?」

「お母さん、私も続きがあると思います。見終わったら、一緒に起きて、明日の行動について作戦を立てましょう」

 と三佐子さんが言い、全員が賛成して決定した。

 僕は、テレビドラマの続きを見ていたが、三人はリビングで楽しそうに話している。途中、武瑠の話になったようで、耳を澄ましたが、「ごめん。話さなくていいのよ」という母さんの声だけが聞こえた。リンダさんが笑える話に戻していた。

 三佐子さんがお風呂に入るとき、なぜか、リンダさんから「覗くなよ」という心の声が届いた。「覗かんて」と返すと、「デバカメ刑事(でか)の話は全部聞いた」と言う。「三佐子さんはスケベ刑事って言うたんよ。デバカメって何や?」。

 三佐子さんとリンダさんは、母さんのジャージを着ている。二人とも袖も裾も短いくて、かわいい。そして、テレビの前に、マットレスとタオルケットを並べて四人で眠ることにした。

「何かの儀式みたい」

 そう言う僕に、三佐子さんは言った。

「お兄さん、大蘇鉄を出して。一緒に食べましょう。あの木の実には、夢と現実をつなぐ霊力があるんよ、きっと」

 リンダさんが、「集団自殺みたいだ」と言って苦笑いした。


 夢を見始めた。極楽天神の滝の前に四人が立っている。昨日の夢の続きに入れたようだ。現実の記憶を引き継いでいる。夢であるという自覚はあるが、見ているというより、そこにいる感覚だ。

 時計を見ると、正午。

「三佐子さん、あの呪文を!」

「呪文?」

「蒸留器の前で唱えた、ナムナムってやつ」

「分かった! あれね」

「そう、あれ!」

「ナムアフ・サマンタ・ヴァジュラナム・ハム!」

 手を前に振り、滝を指さすと、滝の裏側が光り出した。水の向こうの岩壁が、鏡にでもなったのか、僕と三佐子さんの影がぼんやりと映る。二人は滝壺に入って、そこに近づく。

 よく見ると、それは鏡ではなく、すりガラスのように透けている。

 向こう側から呪文を唱えたらしく、ガラスがクリアになった。

 …武瑠?

 向こうにいるのは、武将と忍者の恰好をしているが、武瑠と三佐子さんに見える。しかし、僕の横にも三佐子さんは確かにいる。

「武瑠なのか?」

 三佐子さんと母さんが同時に声を上げた。

 「武瑠君!」、「武瑠!」。

 母さんも滝壺に飛び込み、落ちて来る滝の水に打たれながら、壁を叩いた。声は聞こえないようだが、向こうからも見えている様子。こちらに向かって何か言っている。

「リンダさん、鍵を開けて!」

「私? 鍵?」

「リンダさんはこの壁を開ける方法を知っているはず」

「知らんよ」

「思い出して!」

 リンダさんは、胸のペンダントの鍵を握った。何か思い出したのか、大きく頷き、やおら滝壺の水に潜った。ガラス壁が自動ドアのように左右に開いた。

 向こう側から風が吹き出し、水が大量に流れ込み、四人は後ろに吹き飛ばされた。

「お兄ちゃん! サンザちゃん! 母さん! リンダちゃん!」

 間違いなく武瑠だ。

 「武瑠君!」、「武瑠!」。

 全員が立ち上がり、武瑠のところへ走った。

「こっちには来れん!」

 武瑠のその声を最後に、夢は消えた。


 四人は同時に飛び起きた。三佐子さんと母さんは涙を流している。

「武瑠がおった!」

「武瑠君がいました」

 三佐子さんはいつもと様子が違う。涙を流しているだけではなく、息を切らせ、目は泳いでいる。

「お兄さん、明日、現実で武瑠君に会えるかね」

「現実で? それは分からん」

「会いたい。会ってちゃんと話したい」

 感情の大波に溺れそうな三佐子さん、母さんとリンダさんが両方から背中を撫でている。

 顔を手で覆い、下を向いて、嗚咽。そして、ついに爆発した。

「私、やっぱり、お兄さんとは結婚できん!」

 …プロポーズもしてないのに、ふられた。

「私、武瑠君と終わってない。お兄さんに、また、同じことをしてしまう」

 三佐子さんは混乱している。「同じことをしてしまう」の意味はよく分からない。

「三佐子さん、落ち着いて」

「落ち着けん! 落ち着けるわけないじゃん! 謝って許してもらえることじゃないんじゃけん! お兄さん、私。リンダ、私。お母さん、私。どうすればええん?」

 泣きながら、喚き散らす三佐子さん。僕も少し、大きな声を出す。

「三佐子さん! 三佐子さんは一生、武瑠との約束や塾長のエンディングノートに縛られて生きていくん? 僕と結婚せんでもええけど、三佐子さんは三佐子さんの生きたいように、人生を生きたらええんじゃないん?」

「分からん。どうしたらええか分からん。もう、死にたい!」

 今度はリンダさんは口を結んで、死にたいと言った三佐子さんの頬を思いきり叩いた。

「三佐子、落ち着け! 落ち着きんちゃい」

 背中を擦っていた母さんが言う。

「三佐子さん。武瑠は死んだんじゃと思う。さっきの夢で、武瑠はこの世におらんことを確信したよ」

「お母さん…」

 泣きじゃくる三佐子さんを母さんが抱きしめている。

 僕はリンダさんと台所に行って、セントジョンズワートティーを淹れた。大蘇鉄を添える。激しい動揺を鎮める。三佐子さんも落ち着いた。四人とも朝まで夢を見ずに眠った。

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