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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢と悪役令息

作者: 桃苗

 「やだ、これもしかして……」


 目覚めたら記憶に無い豪華なベッド。天蓋付きベッドとかっていうやつである。ベルサイユ宮殿で見たマリーアントワネットが使ってたみたいなの。今は、紗が纏められていて全開になっている、そしてどこを見ても紫紫、あらゆる種類の紫色のオンパレード。

 誓って言うが私の好みでは無い。一度でいいから天蓋付きベッドで寝てみたいと思った事はあるが、紫色は嫌いでは無い物のそこまで好きでは無い。私が好きな色は緑、もしくは青だ。ただ、寝室は落ち着いた雰囲気にしたかったのでこげ茶とベージュで纏めていた。緑は差し色的に壁の一面に、青は寒々しい雰囲気がするので寝室に向かない。高い物は買えないが割と拘って揃えた。

 こんなチカチカする程、紫な部屋では落ち着かない!


 「ラベンダー様!」


 声がした方を向くと、メイド服を着た外国人のお姉さんが叫んでいた。寝たまま頭を右に左に動かすと、他にもメイドさんがいっぱい。ここは秋葉原かな?

 あれ、あれやってください。指先をハートにしてキュンキュンとか、オムライスにお名前描いてくれるのとか。って、メイドカフェ行った事ないのでテレビの知識だけど。


 「ハンナ、直ぐに旦那様と奥様をお呼びして、それからお医者様も!」

 「は、はい」


 最初に私をラベンダーと呼んだメイドさんが、他のメイドさんに指示を出す。この人が一番偉くて、あの子は下っ端なのかしらまだ中学生くらいの歳よね、偉そうなメイドさんは三十代にはなってそう、と黙って見ていると、偉いらしいメイドさんがゆっくりと私に近付いて来た。なんか窶れてすごい泣きそうな顔してる。


 「お嬢様、お気が付かれましたか? ご気分は如何ですか?」

 「えっと、」


 答えようとしたら、目の前に選択肢が現れた。


 A:『ここはどこ?』

 B:『私の名前は?』


 (何これ……)


 所謂ゲームの画面が目の前にパッと現れたのだ。スマホゲームの選択肢画面。思った方を指でポチッとするやつ。

 おかしい。今流行の乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのかと思ったんだけど。これじゃまるでゲームそのものじゃない。普通転生したら、そこはゲームに似た別の世界で、登場人物達も個人の意志があるって云うのが定番じゃないの?

 戸惑いながらメイドさんに目を向けると、あらやだ嘘みたいにぴったり固まってるんですけど。って、他のメイドさんも同じ。再生中に一時停止された動画みたいに動作の途中で止まってる。

 むむむ。これは選ばないといけないやつですか? AかBどっちかを選ばないと話が進まないのかな? 選択肢があるのはゼロから考えるより楽って言えば楽だけど……、二択って失敗したら怖いやつだよね。


 (えっと、Bは無いな。だってさっきラベンダー様って呼ばれてたしね。って事は名前はラベンダーなんでしょ? じゃあ、Aで)


 正解でありますようにと祈りながら、Aをポチッとする。瞬間メイドさん達が動き出した。ドアから出て行く途中で固まってたハンナって名前の子も走り出した。おいおいメイドさんって走って良いのかよ。スカートくいって両手で持ち上げてる姿は可愛いけど。


 「ラベンダーお嬢様のお部屋で御座います。お嬢様は、ハーベスト王国ウィステリア公爵家の御長女、ラベンダー・ウィステリア様で御座います」


 おおおう。説明文みたいの来た。最初に話し掛けてきたメイドさんが、私の質問に蕩々と答える。


 「お嬢様には一つ年上のお兄様がいらっしゃいます。お名前は、サファイア様。サファイア・ウィステリア様です」

 「!」


 その名前には聞き覚えがある。

 寝る前までやってたスマホの乙女ゲームだ。いや、違う。乙女ゲームBL版の主人公だ。

 

 暇潰しになりそうなスマホのゲームを探していたら、『今一番人気の乙女ゲームから、遂にBL版が登場‼︎』と云う一文を見つけたんだよね。何を隠そう私は腐女子。だから早速そのゲームをインストールして、BL版の方をやってみる事にした。

 と言っても、インストールしたら最初に選択肢があって、ラベンダーを選ぶかサファイアを選ぶか聞かれる。ラベンダーを選ぶと乙女ゲーム、サファイアを選ぶとBL版になる。つまりは一つのゲーム。元あった乙女ゲームから新しくBL版が出来たとかじゃなくて、BL編が追加されたという訳。


 因みにラベンダーは悪役令嬢だ。

 ラベンダー版は、悪役令嬢であるラベンダーに転生してしまった主人公が、将来立ち塞がる転生お花畑ヒロインちゃん逆ハー状態に負けないように王子様始め攻略対象者達を早期に攻略して、転生知識で俺tueeeしてお金をがっぽがっぽ稼ぎいざ断罪されて国外追放されてもなんとか暮らしていけるようにする話らしい(アプリ紹介欄から)。

 ネット小説界隈では依然悪役令嬢物が人気だからね。アニメ化される作品もあるみたいだし。腐ってる私だが、悪役令嬢物も実は結構好きだったりする。所謂本家乙女ゲーは、ヒロインの立場でゲームを動かすのが主流。だけどこれは悪役令嬢に転生するって云う逆パターンが目新しくて人気が出たらしい。だからラベンダー版も結構気になるけどそこは初志貫徹。腐女子だもん、速攻サファイアを選択しました。


 サファイア版だと、悪役令息に転生した主人公が転生お花畑ヒロイン君逆ハー状態に負けないように頑張る話。登場人物はラベンダー版と同じなんだけど、ヒロインちゃんがヒロイン君つまり女の子じゃなくて男の子に変わる。

 うん、あのゲームに転生したのか。それも悪役令嬢。出来れば令息の方にして欲しかった。まだ途中迄しかやってなかったんだけど、ヒロイン君の可憐なビジュアルからして、ライバルのサファイアは受けちゃんだったと思うんだ。けど、私がサファイアに転生したならば華麗な攻め様になって、王子様始め攻略対象者のハーレム作って、なんならヒロイン君も入れてあげるのに。

 くっっそう。令嬢に生まれ変わったなら、お妃教育受けなくちゃならないじゃないか。嫌だなあ、勉強って好きな教科しかいい点取れないタイプなんだよね、私。好きな教科は100点満点だけど、嫌いな教科は赤点、みたいな。王妃様ってそれじゃあダメだろうな。


 考え込んでたら目の前のドアがパッと開いて、二十代くらいのイケメンと美女、お医者様っぽい格好のおじさんが飛び込んで来た。

 イケメン凄い強面、美女はすごいボンキュッボン。状況から見ても、容姿から見ても、この二人はラベンダーの両親。二人とも紫系統の髪色だし、さっきから顔の周りでふわふわしている私の髪の毛と美女の髪の色は同じだしね。多分ゲームに出て来たのと全く同じ見た目なんだろうけど……、二次元と三次元じゃやっぱ違うね。日本の漫画が、ハリウッドで実写映画化されたくらいの違和感があるよ。でも、この配役は失敗じゃ無い。違和感はあるけど、絶対に観たくないですって程の嫌悪感は無いもの。

 

 アワアワしている二人を他所に、お医者さんは私の腕を取った。


 「お脈は正常です」


 それから私に口を開けさせたり、腕や足を動かさせて違和感がないか聞かれたり、熱を測ったりとあちこち診察している。剣と魔法の世界なのに、お医者さんは魔法使いじゃないみたい。普通の診察。一通り終わると、暫定両親にもう心配は無いが念の為何日かベッドから出さない様にと伝えている。

 そこで気がついた。あれ、両親だけなんだ。サファイア君は来てくれないのかな? 

 確か、兄妹二人で遊んでいる時にサファイア君の不注意でラベンダーに怪我をさせちゃうんだよね。サファイア君は家庭教師について魔法を習い始めたところ、「お兄様魔法を見せて!」って可愛い妹にせがまれて子供だけの時にやって見せちゃう。でも習い始めたばかりだから失敗して妹に怪我させちゃうってのがBL版の導入部分だった。

 サファイアが怪我をさせたせいで、ラベンダーは寝込みがちな生活に。可哀想な妹を両親がべたべたに甘やかし、我儘令嬢の出来上がり。令嬢の望むまま王子様の婚約者の地位まで手に入れてくれる。一方サファイアは、妹の奴隷状態。未来の公爵様なんだけど、怪我をさせた妹に頭が上がらない。

 けど王子様は我儘な令嬢にうんざりして、虐げられている美しいその兄に惹かれて行くって云う話。ああ、いいなあ。禁断の愛。何で私はラベンダーなんだよう。サファイアになりたかった。


 「ラベンダー、父が分かるか?」

 「ラベンダー、お母様ですよ?」


 うん。何か、説明文っぽい会話してるぞ。だって見れば分かるでしょう? どう見ても他人じゃないですよね、貴方達。

 まあまだ導入部分だから仕方が無いのかな。あ、そう言えば私幼女なんだった。だったら仕方が無いのかしら、こんなアホみたいな質問されても。こくんって頷こうとしたら選択肢が出た!


 A:『だれ?』

 B:何も言わない。二人が出て行くのを待つ。


 (こんなの考えるまでも無いでしょ。A)


 「っ! ラベンダー、お父様だよ!」

 「ラベンダー、お母様よ!」


 世の中には、廃人と云う種族がある。ゲームをやり込む人達の事だ。そう云う人の中には検証するのが好き、と云う人が居る。敢えて、バッドエンドを目指してみる(勿論ハッピーエンドはクリアした後で)のだ。私もゲームは好きだけど、やり込む程では無い。ま、多分それが私の悪い所でもあるんだけど……。何でも中途半端なんだよね。でも好奇心は強い方なので、バッドエンドってどんなのかネットで漁っては見た。勿論BL版のだ。

 要約すると、悪い結果になりそうな選択肢を選び続ける→ヒロイン君無双。逆ハーされて、王子は取られる。妹の婚約者を禁断の道に誘ったサファイアは廃嫡されて国外追放。何とむかつく事に、ヒロイン君は王子とめでたしめでたし。希少な光の魔法が使えると言う事で、男でも王配として認められる。後継は血の近い子供を養子にし、ヒロイン君と愉快な仲間達で国を治めていく(但し、お花畑ヒロイン君なのでその後の国政は乱れていき、悲惨な末路を匂わせる終わり方)。

 一方ラベンダーは、王子を見限って婿を取り(って言うか公爵家の後継が居なくなったから仕方が無いんだろうけど)、夫婦仲は良く公爵家は安泰。王国のピンチにも左右されないっぽい感じの終わり方(女性対象の乙女ゲームを沢山作ってる会社だから、婚約者を兄に奪われた可哀想なラベンダーは被害者っていう認識がぬぐい去れなかったんだろうなぁBLに染まりきれてないプンプンって、感想が書かれてあった)。


 ラベンダー版だと妹が王子と婚約、BL版だと兄が王子と禁断の愛。何その王子の使い回し、って笑いたくなるけど元は一つのゲームだからね。違うのはヒロインが女か男かだけなのだよ。

 そして廃人達の検証に話は戻るが、その先が有るかもしれないので要検証って書かれていた。その先って云うのは、ボーナスステージ。あらゆるパターンをクリアすると、隠されているストーリーが現れる。その為にも、BL版だけじゃなくラベンダー版もやってみるべしって書いてあったね。廃人恐るべし、願わくば腐女子達が納得するバッドエンドをって思ったね。

 私はそこまでの根性はないからサファイア版のノーマル(ヒロイン君をざまぁして王子と結婚)しかプレイしてない。それも途中まで。だからラベンダー版の事は分からん。まあ多分、サファイア版と同じで当たり障り無い選択をして行けば良いのだろうと云う事で迷わずAを選択。冒険はしたく無いしね。カレールーと一緒だよ。特売品や新製品には目を向けず、いつも固定の商品を買うのが鉄則。下手に冒険すると、失敗するんだよね。カレールーの癖に普通に作っても美味しく無いって、最悪。

 間違えて無かったみたいで、両親は私をべたべたに甘やかし始めた。


 あれから数日経ち、ベッドから出てもいいよってなったけど、まだサファイアには会ってない。サファイアのサの字も出て来ない。多分両親が厳戒令発しちゃってるんだろうなぁ。でも私はサファイアに会いたい。ってか、サファイアと早い段階で仲直りしておかないといけない気がする。きっと、ラベンダー版ではサファイアはヒロインの攻略対象者なんだ。

 部屋から出ても、行って良い場所にばかり誘導させる。ダメな方へ行こうとすると、抱き上げられて方向転換させられてしまう。ダメな方にはきっとサファイアが居るんだろう。幼児な自分が憎い。あっちに行きたいと駄々をこねても、皆んな言う事をきいてくれない。あれー? 私は悪役令嬢なんよね? 我儘きいて貰えないなんておかしい、と憤慨しても幼児の喋りでは思うように伝えられず、大人達の都合のいいように解釈されてしまう。不味い、このままでは良くない。

 ご飯はいつも家族三人。多分サファイアは一人で食べている。あれから一週間くらい経ったと思うけど、一向に選択肢が出て来ない。サファイアだって幼児に毛が生えたようなもんだ。二歳上だから、五歳でしょ。貴族だから、メイドさんとかが居て完全に一人ではないだろうけど、五歳の子が一人でご飯なんてかわいそ過ぎる。考えに考え、私はハンナを使う事に決めた。


 以前、メイド服で走ってたように、ハンナはまだメイドになりきれてない。修行中の身だ。一番若いから、これから育てて私付きにって思惑なんだろう。だからこそ、ハンナには泣き落としが効く。


 「おにいちゃまにあいたいの」


 ハンナは困り果てたように眉根を寄せる。両親や先輩メイドからきつく言われてるだろうけど、経緯を知っているならそのままでは良くないって思ってるはず。メイドはご主人優先、つまり両親には逆らわない。けど、染まりきってないハンナなら私を優先する可能性大。

 渋っていたが、しつこく何度も強請ったらこっそり兄に会わせてくれるってなった。大丈夫、安心して。バレたら、私がごねたってちゃんと言ってあげるからね。

 お昼寝の時間にハンナに抱かれてこっそり抜け出す。洗濯物の振りする為に、シーツに巻かれてますよ。まだ子供のハンナだけど、抱っこは安定している。弟妹が沢山居るんだって。


 「お嬢様、苦しくないですか?」

 「だいしょぶ」


 何人かのメイド仲間をやり過ごし、無事お兄様の部屋に着いた。タイミング良く、お兄様は部屋に一人だった。


 「ラ、ラベンダー?」


 くわぁ、サフたんかわゆし。恐らく、サファイアもお昼寝の時間だったんだろう。ベッドの上で目を真ん丸くしている。

 海外の子供が着るようなすっぽり被るタイプの寝巻き。お貴族様だから、綿のシンプルなのとかじゃなく、シルクでフリフリ。私も同じの着ているけど、ショタのそれは最高! ごちです! 薄紫色のくりくり巻き毛も可愛い。


 「おにいたま、おあいちたかった」

 「ぐーかわ! おれのいもうとがとおとい」


 私の言葉に鼻を押さえるお兄様。鼻血出てませんか?

 慌てたハンナは、洗濯物な私をお兄様のベッドに置くと、自分のエプロンでお兄様の顔を拭い出した。ハンナ、そこはティッシュとかじゃないの?ってこの世界にはないのか、だったら私が巻かれているシーツの方が綺麗だよ、未使用だからね!

 よじよじとシーツから抜け出して、端っこを持ってお兄様に渡す。


 「おにいたま、これつめて?」

 「⁈ ありがとう、ラベンダー」


 テンパったハンナが先輩メイドを呼びに行こうとするのを慌てて止めた。私達、内緒でここに来ているからね。忘れたらダメだよ。


 「ボクのこと、おこってないの?」

 「あい」


 私はこくんと頷いた。だって魔法見たいってせがんだのは自分だしね。それに前世の私は兄が欲しかった。長女で妹と弟が居たけど、お姉ちゃんって柄じゃなかったんだよね。年上の兄姉が欲しいってずっと思ってたから、ストーリー関係なくサフたんとは仲良くしたいです。

 お兄様は鼻にシーツを詰めて、天井を見上げた。うん、そうすると鼻血止まるらしいよね。ハンナはまだアワアワしてるけど、そろそろ選択肢が出て来てもいいかなって呑気な事を私は考えてた。


 「ラベンダー。あくやくれいじょうってことばに、おもいあたることは?」

 「⁈」


 ぽかんと口を開けたら、鼻にシーツを詰めたままのサフたんに微笑まれた。何その顔可愛いって。

 割愛するが、サフたんも転生者だった。ハンナは二人の会話を⁇な顔で聞いてるが、口を挟んで来ないようなのでしばらくは空気になってて貰おう。


 お兄様は腐男子。但しゲイではなくて、彼女の影響を受けて腐男子化した異性愛者(それを聞いて思わず舌打ちしてしまった私に、お兄様は苦笑いしていたが)。

 彼女に付き合って、サファイア版もラベンダー版もやった。勿論バッドエンドも。な、廃人よりの方だった。但し、ボーナスステージはやってない(お兄様の彼女はそれもクリアしたが、お兄様自身はまだそこまでいってなくてやり方は知らないそう)。

 BL化はさせたくないので、取り敢えず様子を見ていたそうです。サファイアが主人公の場合、自分から動いても動かなくてもBL化してしまうと予想されたのでどうしようかなと悩んでいたところに私が飛び込んで来たと。そうなんだ、サファイア版恐るべし。


 「ララはどうしたいの?」

 

 前世の話をしているうちに、お互いを愛称で呼び合うようになった。でもね、『おにいたま』呼びがツボったらしくて、サフたんは却下されてしまった。

 考えたけど、自分には王妃は務まらなそう。恐らくラベンダーはハイスペックだから、努力したら出来ちゃうんだろうけどやりたくない。きっと胃潰瘍になる。それに、攻略対象者に意中の彼も居ない。押しはサフたんだもん。内政には興味ないし、強いて言えば冒険者かなぁ。


 「ぼうけんしゃか、おにいたまのヒモになりたいでちゅ」


 うっ、と胸を押さえるお兄様、「とおとい。おれのいもうとがとおとい」と呪文みたいに繰り返してますが、何処が尊いんでしょうかね。ほら、ハンナを見てください、会話には入って来ないけど、青い顔してダメですってしきりに首を振ってますよ。公爵令嬢の将来像が冒険者か穀潰しなんて許さないって、言った本人でさえ分かっているのに。あと、本来のお兄様の一人称、俺なんでしょうか? サフたんに俺は似合わないんで、僕でお願いします。その辺の統一もちゃんとして貰わないと。

 どうしよう、唯一の協力者がポンコツみたいです。



 それから、お兄様と協力して仲直りアピールした。勿論ハンナの手も借りてだ。家族四人で食事をするようになって、二人で相談しながら選択肢を選んでいく。どうやら選択肢は私の前にしか現れない、つまりこの世界はラベンダー版を下敷きにしているって安心したお兄様の前にヒロイン君が現れて、それが転生したお兄様の前世の彼女だったりするのはまた別の話。


 

気が向いたら続きを書きます。

連載にするとモチベが続かずエタってしまうので、短編にしました。


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