2. 演技派の現世 1
前世で死んだと思った次にはこの世界で生まれたところだった。
第2王妃の兄で私の叔父であるエスファル公爵は野心家で自分がこの王国の実権を握るため私が女と分かるや否や男の子と偽り、第2王子とした。
本当に苛立たしいことだ。当時赤ちゃんだった私にそれを拒否することなどできなく、今も第2王子として生きている。
まあ、赤ちゃんでなくとも私は拒否などできなかっただろう。エスファル公爵はとても頭の回る人だ。今の私では到底敵わない。
だが私は諦めてはいない。必ずやあの男に復讐する。
あの人を、またたくさんの人々を殺した、そしてこの国を壊していくあの男を
私は絶対に許さない。
どんな手を使ってでもあの男を裁き、この国を守る。たとえ自分を犠牲にしても。
そして優秀である第1王子を王太子とし、将来は賢王としてこの国を豊かにしてもらう。
それが私の望みだ。
そのために私は何をするにもそこそこできるが、第1王子と比べれば霞んでしまうような人を演じる。そのために必要以上には本気を出さないようにしている。
そして裏ではあの男に対抗するため知識を、力をつけている。でもまだまだだ。もっと頑張らなければ。そうしなければあの男には到底太刀打ちできない。
今は裏で準備を進めなくては。
そして必ず、
あの男に地獄を見せてやる。